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「デルタ株とは違う」医療現場から嘆き 社会制限だけでなく適切な医療体制の構築急げ

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AP

社会制限だけでなく、医療者の持つ「恐れ」解消を

ところが、新型インフルエンザの行動計画に準じて、感染流行期の態勢に切り替える時間は政府にも専門家にも与えられていたにもかかわらず、「早めの対応」はできなかった(もちろん、地域の病院間の連携や訪問診療の体制づくりにおいては進展はあったのだが……)上に、保健所や実際に発熱外来を担当する現場の要望や感覚とはかけ離れた社会制限ばかりが議論されてきた。

こうした状況はなぜ続くのか。ひとつの手がかりとなるのが、保健所、都庁の内部で新型コロナ対策の最前線に立っていた関なおみの『保健所の「コロナ戦記」 TOKYO2020-2021』(光文社新書)内で、国際感染症センターの医師・大曲貴夫が語った内容だ。大曲は東京都の新型コロナ感染症医療アドバイザーも務めている医師だ。

本書の中で、関は大曲に新型コロナを全部の医療機関で診察できるようにはならないのか、と問う。これだけの規模で発生したパンデミック下にあって、発熱患者すらろくに診察しようとしない医師、病院もあったのだから、関の問いは極めて真っ当だ。

これに対して、大曲は「全部の医療機関でちゃんと診られるような体制になる」ことが大前提としつつ、そうはならない理由を、新型コロナを診たことのない医療者が「みんな、やはり恐れまくっている」からだと背景を明かしている。

なるほど街の内科クリニックならば、医師が一人しかいないのかもしれない。診察の過程でもし感染してしまえば休みが続き、患者も減ってしまうかもしれない。あそこは感染したクリニックだと言われ、患者が戻ってこないかもしれない。恐れにも合理的な理由はあるだろう。

だが、実際にSNSで声高に危機を叫ばず、地道に患者を診察してきたクリニックや、訪問診療に取り組んできた医師はいる。もし対面が怖いのならば、軽症者の電話やオンラインの診察と薬の処方、経過観察のなかで悪化した場合に地域のコロナ病床がある病院につなぐといった役割を果たすことはできる。行動計画にあるように、すべての医師ではなく、従来から感染症を診察してきた医師を新型コロナの患者の医療システムに組み込むことはさほどおかしな発想とは思えない。

政府も専門家も「恐れまくっている」医療者の不安の解消にどれだけ力を入れてきたのか。いまだに「都内は全員に感染の可能性」と社会を恐れさせることには熱心なのだが、それだけでは効果的な医療体制は構築できない。

社会制限よりも先に、変わるべきは医療体制だ。現実に即した変化が望まれる。

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