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内部通報制度の充実が「人的資本の開示」とつながる時代

最近、また大きな問題を抱える会計不正事案が目につきますね。私はコロナ禍において「監査の不全」を理由に「コロナ禍から3年経過したころから会計不正事案が急増する」とブログで何度か書きました。しかし、本日お昼に市場関係者の方々とお話をしていて「コロナ禍によってカネ余りとなり、行き場を失った余剰資金が『わけあり企業』の新規上場を後押ししている」との解説にはナルホド・・と納得いたしました。個別の事件とは関係ありませんが、このような理由から問題案件が増えているとなれば、今後ますます会計不正事案は増えると思います(以下、本題)。

週刊東洋経済の最新号(2022年1月22日号)の特集記事「気候変動対応の次はこれ!-人的資本の開示で企業価値を向上させる」を読みました。環境経営への取組みに関する基準であるTCFDのような開示指標がない「人的資本」について、各社思い悩んでいる様子が紹介されています。

たしかに「人事部」は情報開示の世界とはこれまで無縁だったので、「人的資本の開示」と言われても、何を開示すれば「他社比較」の参考になるのか、よくわからないと思います。しかしながら、非財務情報の開示の中で、気候変動への対応の“次”として注目を集めているのが「人的資本の開示」・・・だそうです。

各社取組みの中で「従業員が自社の強みであること、スキルやモチベーションを上げる具体策を丁寧に述べた上新電機の『まごころ統合報告書』も参考になる」といった上新電機の例に目が留まりました。

上新電機でユニークなのは、年度ごとの内部通報件数を時系列で開示していること。件数は年々少しずつ増えている。マイナス情報にも見えるが、従業員の経営への信頼感の向上やオープンな社風への会社側の自信の表れとも受け取れる。いずれにしろ、開示が投資家との対話のきっかけになる可能性は高い

とのこと。実は上新電機ではありませんが、別の上場会社に私が提言した内容と全く同じだったので「同じ考えを持った人がいるんだ」と少しうれしくなりました。内部通報の窓口を担当してわかるところですが、ハラスメントの通報の半分以上が同じ職場の第三者から、という時代です(以前はほとんどがハラスメントの被害を受けている、という社員からの通報でした)。自分の私利私欲のためではなく、職場環境配慮の視点から通報をする社員が増えています。つまり内部通報の件数が多くなれば、それだけ経営に関心を持つ社員が増えている、という見方もできるのではないでしょうか。

もちろん、件数が増えることにより「トンデモ通報」(不誠実目的通報)や「オレオレ通報」(他責型通報)も増えていきます。また、通報制度の充実を図ることは「件数を増やすこと」が最終目的ではなく、「健全なレポートラインを担保する組織風土を醸成すること」が最終目的です。ただ、副次的産物として、通報件数の増加は社員の経営関与意識の高まりを社内外で認知するための良い指標になりうることは間違いないと思っています。

そもそもESG経営への取組みを示す開示基準が不明確なので(社会的な合意が得られていないので)、むしろエンゲージメントのための材料として「なぜ、この数値を(人的資源の評価基準として)開示したのか」というところも含めて対外的に説明できることがポイントではないかと。

「どうすれば通報件数が増えるのか」という悩みは、通報制度の仕組みを整備している企業ならばどこでもお持ちではないでしょうか。ステークホルダーに示している「事業戦略」を実践するための優秀な中途採用者が(新しい職場環境を形成するために)通報制度を活用するのか、「うーーん、外から見ていたのと、この会社、ちょっと違う」と嘆いてさっさと退職していくかは、エライ違いだと思います。

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