- 2022年01月19日 13:46 (配信日時 01月18日 20:15)
「1回5000円だけど行き先は選べない」ピーチが航空券ガチャを発売した本当の理由
1/2お得感を前面に押し出さないピーチの「旅くじ」
格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションの「旅くじ」が好評だ。大阪心斎橋に初めて「旅くじ」のガチャガチャを設置したのは2021年8月。SNSで話題になり、10月には東京、11月には名古屋、12月には福岡と全国4か所に設置された。現在までに約1万5000個が販売されたという。
※写真はイメージです - iStock.com/Meiyi524
ガチャガチャは1回5000円。ハズレはなく、行き先指定の航空券が買えるピーチポイント6000円分または1万円分が当たる。カプセルの中にパスワードが書かれた紙が入っており、サイトにそれらを打ち込むとポイントが付与される仕組みだ。
カプセルには行き先と一緒に「ミッション」が封入されている。「一番ハンサムな石垣牛を探してきて」(石垣)、「大宰府天満宮に行って、その後ずっとかしこいフリをして」(福岡)などのほか、「仙台ナンバーの車を1000台数えてきて」(仙台)というダジャレも。まるでテレビ番組のような非日常感がある。
ただし、カプセルの中身の多くは6000円分で、5000円払って6000円分の航空券を買うのでは、1000円しか安くならない。ピーチがこれまでに行ってきた定期的なセールと比べると、割引額だけを見るとインパクトは小さい。「旅くじ」を企画したブランドマネジャーの小笹俊太郎氏は、「お得感よりワクワク感を狙いました」と話す。
「旅くじのコンセプトは『福袋』です。福袋には、安くて服がたくさん入っているお得感重視のものと、お得感はそこそこで、自分で選んでない服との偶然の出合いを楽しむワクワク感重視のものがあります。『旅くじ』は後者のバランスを大きく取って設計しました」(小笹氏)
カプセルの中に入っている紙。この購入者は石垣便でのみ使用できるポイントが当たった。 - プレジデントオンライン編集部撮影
旅くじの購入者の半数以上が新規顧客
経営企画部長の福島志幸氏は、「そもそもLCCですから」と、最初から格安であることを強調する。ピーチの航空券料金は空席連動型で、需要の少ない便を選べば東京(成田)―沖縄(那覇)が片道4000円台。また、月2回のセールのタイミングを選べば片道2000円台の航空券もあって、6000円分で往復できてしまう。
「実は『旅くじ』の利用者の半数以上が新規のお客様です。今回初めてピーチをご利用になったお客様は、1000円の割引以上に、『LCCってこんなに安いのか』とそもそもの安さに驚かれる。『旅くじ』をきっかけにLCCの魅力に気づいてもらえれば、旅行需要をもっと喚起できると考えています」(福島氏)
職員が手作業でこしらえたカプセル。購入者は行き先を運試しで決められる。 - プレジデントオンライン編集部撮影
つまり、緊急事態宣言の解除で激減した旅行需要が徐々に回復することを見越し、既存の利用者だけでなく、これまでLCCを利用してこなかったり、そもそも航空機を使った旅行をしてこなかった層を新たに取り込もうというのがピーチの狙いなのだ。
ちなみに「旅くじ」で付与されるピーチポイントは期間限定だ。引いた時期によって期限は異なるが、数カ月から最大半年に設定されている。オミクロン株の感染拡大が気になるところだが、すぐに出発しなくてもいいのはありがたい。
座席を居心地よくする企画は「ピーチとは合わない」
航空版ミステリーツアーと言ってもいいユニークな企画が、なぜ生まれたのか。
背景にあるのは新型コロナウイルスだ。コロナ禍による移動自粛で航空業界は壊滅的な打撃を受けたが、それはピーチも同じだ。2021年3月期(単独)は、旅客数が前期比7割減の約208万人に。営業収入は前期比69%減の219億円、最終損益は295億円の赤字で過去最大となった。
この苦境を乗り越えるため、消費者にコロナ禍でも旅行を楽しんでもらうためのアイデアを社内で出し合った。このとき福島氏が強調したのは、LCCの要とも言える「運賃」を大前提にしたうえでの「企画の面白さ」だった。
「例えば、コロナ禍で180席ある機体が90席しか埋まらなかったとき、スペースを有効活用して居心地を良くする企画があったとしても、『それはピーチがやることじゃない』と私は考えます。我々はLCCですから、運賃の魅力は死守しなければならない。そのうえでピーチらしい新しさや面白さのある企画をやろうと話しました」(福島氏)
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