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“MMT=バラマキ”という思い込み

■MT(貨幣理論)とMMT(現代貨幣理論)の違い

 世間における「MMT」に関する意見(主に批判的な意見)を見ていると、リベラル系はもとより、保守系の人々ですら、大きな誤解をしていることに驚かされる。政治的な意見は真っ当でも、お金のことになると、既存の経済理論がバイアスとなって、全く筋違いなことを言っている著名人も多く見られる。

 彼らに共通しているのは、“MMT=バラマキ”という強い思い込みがある点。「MMT」というのは、その言葉(現代貨幣理論)通り、単なる理論であって、バラマキとは直接的には関係がない。その具体的な実践行為(財政出動)がバラマキに見えるというだけであって、必ずしも「バラマキ」を意味しているわけではない。

 「MMT」批判論者達は、結局のところ、MT(貨幣理論)MMT(現代貨幣理論)の違いが解っていない(混同している)のではないかと思われる。

 貨幣とは本来、貨幣自体に価値が有るものだった。昔の貨幣が「金」や「銀」で出来ていたことは周知の事実であり、それは、お金自体に物理的な交換価値が有ることを意味していた。

 しかし、現代の貨幣(紙幣)は、ただの紙切れか数字に過ぎず、それ自体には物理的な価値はほとんど無い。言わば、信用で成り立っているのが現代の貨幣の正体であるということ。「過去のお金」と「現代のお金」の違いを正しく認識していないと、恥ずかしげもなく、的外れな意見を言うことに繋がってしまう。

■MMT(現代貨幣理論)は「信用創造」システム上でしか成立しない

 かつてのMT時代にあって、MMT(現代貨幣理論)は通用するかというと、通用しない。「現代(の貨幣)」であるからこそ、MMT(現代貨幣理論)は成立する。

 銀行は誰かから借りたお金を、借り入れた範囲内で貸し出しているのではなくて、借り入れたお金の10倍以上の金額を貸し出すことができる。所謂、「無いものを貸して実利を得る」というもので、例えば、100万円を10回払いのローンで貸し出したとしても、1回目の10万円が返ってくれば、実質的には損をしない。元々、9割以上が無かったお金なのだから当たり前。良くも悪くも、これが現代貨幣の「信用創造」というものである。

 MMTは、その「信用創造」システムが成立している現代だからこそ成り立つのであり、信用創造が無かった時代では成り立たないという制約がある。この制約の有無を理解していない人が、「MMTはバラマキだ」「MMTは詐欺だ」と言っているだけなのだが、彼らは、現代の金融システム自体が詐欺的なシステムだということには気付いていないのかもしれない。

 世界中の国が信用創造を行って経済を運用している中で、日本だけが信用創造を否定して経済を運用すればどうなるか? 答えは、日本だけが没落して貧乏国になる。実際、この30年間、日本だけが経済成長していないことが、その証拠だとも言える。
 それでも、銀行の信用創造は無条件に受け入れているわけだから、信用創造を否定していると言うよりも、単に、お金を増やすことに罪悪感を刷り込まれているだけかもしれないが。

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