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- 2022年01月17日 12:33 (配信日時 01月16日 14:55)
人間の本質を映し出す「婚活」『ザ・ノンフィクション』密着Dが見た奮闘女性の成長と強さ
●家庭環境、仕事内容、給料までさらけ出す
フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、16日に放送された『結婚したい彼女の場合 ~コロナ禍の婚活漂流記~ 前編』。結婚相談所に入会して婚活を始めた30歳の女性・ミナミさんを追った作品だ。恋愛経験のない彼女は、敏腕婚活アドバイザー・植草美幸さんの指南のもと、自分と向き合い、様々な壁とぶつかる中で、外見だけでなく内面も大きく変化。「専業主婦になりたい」という願いをかなえる40代の資産家と、初めて恋心を抱いた30代の介護士という2人の男性の間で揺れ動く姿が映し出され、23日放送の「後編」でその決断が描かれる。
取材したのは、八木里美ディレクター(バンエイト)。「婚活」という人間の本質を映し出すテーマを通して感じたことは何か。“応援者”として密着した立場から見たミナミさんの成長や、強さについても語ってくれた――。

お見合いをするミナミさん (C)フジテレビ
■超個人的な話から世の中が見えてくる
今回の舞台である結婚相談所「マリーミー」を、フジテレビのニュース番組『Live News イット!』の企画コーナーで、シリーズとして取材してきた八木D。「結婚相談所は、カウンセリングルームの中で超個人的な話をしているのに、世の中が見えてくるというのがすごく面白いところだと思いました」と約3年取材してきたが、コロナ禍になったタイミングでそれが終了となった。そこで、「コロナ禍という人類史上初めてのことを経験する中で、きっと人の気持ちや心のあり方が変わってくるというのを感じていたのですが、それを暗い話題で表現したくないと思っていたんです。何かポジティブなテーマで、コロナ禍で人間がどう変わっていったのかを表現したいと考えていたときに、“婚活”というのを思いつき、『ザ・ノンフィクション』で提案させていただきました」と、今回の放送につながった。
それを象徴した取材対象が、前編の冒頭に登場した、大手人材紹介会社のキャリアアドバイザー・あゆみさん(31)。コロナ前は中国の現地法人で人と関わる仕事にやりがいを持っていたが、帰国直後にコロナ禍になると、テレワークで3食を仕事机で食べ、人と会わない生活が続き、ついに体に異変が。それまで「おひとりさま上等」という生き方だったが、「やっぱり人がいないとダメだな」と婚活を始めた。
八木Dは「まさにコロナ禍での社会現象だと思い、最初にお見せしなければという気持ちで、この構成にしました。コロナというのは、本当に全てを変えてしまったのだと、改めて思わされました」と語る。
■婚活が進むにつれて驚きの変化
婚活は、相手選び、お見合い、デートと楽しいことばかりではない。自分が歩んできた人生を見つめ直し、自分の内面ととことん向き合う作業から始まるため、番組が密着するとその人の本質がどんどんさらけ出されていく。さらに、家庭環境、仕事内容、給料といったことまで明かされる取材だ。それでも今回、半年以上にわたる長期密着を受けたミナミさん。八木Dは「最初は、いつ『取材は嫌です』と言われてもおかしくないと思っていたので、途中でダメになっても仕方ないなという覚悟を持ってやっていました」というが、婚活が進むにつれて「すごく深いところまでインタビューに答えてくれるようになったんです」と変化があった。
その背景を「1人で植草さんにいろいろ言われて、うまくいかなかったり、自分で抱えきれないところがあったりして、誰かに今の気持ちを言いたいのかもしれないと思いました」と分析し、「私が第三者として居ることが、婚活に関しては精神衛生上で実は良かったのかな…というのを、取材しながら最後のほうになって思いました」と感触を語る。

結婚相談所で出会った男性とお台場デートへ (C)フジテレビ
「出会ったときはとても純粋で素朴で、ある意味で世間知らずの面もあったりして、すごく興味深い取材対象だったのですが、それが植草さんからの指導を受けてどんどん変わっていったんです。ここまで成長を遂げていくのは、私の中でもすごく驚きでした」と振り返った。
●親の支配下から脱しようともがくことが成長に

ビデオ通話をするミナミさん (C)フジテレビ
その変化は、八木Dに対してもあったそうで、「私が『これを撮らせてください』と言ったら、最初は何でも『はい、いいですよ』と言っていたんですが、最後のほうは『これはこういう理由で心配だから嫌です』ってはっきり言うようになったんです。これはすごく変わったなと感じましたね。取材者としては困るところではあるんですが(笑)」と苦笑い。
彼女からは“強さ”も感じたといい、「植草先生からいろいろ聞かれたり、ときには叱られたりもしながら、とことん自分と向き合っていく作業をして、結婚を目指して進んでいくのは、純粋にすごいなと思いました。私だったら、『結婚なんかしなくていいんだから』とか適当に言い訳して、逃げ出していたと思います(笑)」と感心した。

婚活のカウンセリングで涙するミナミさん (C)フジテレビ
■敏腕アドバイザーの驚異のマッチング力
今回の番組では、ミナミさんら会員たちの気持ちを受け止める植草さんのエネルギーあふれる姿も見どころだ。「初めてお会いしたときからものすごくパワーを感じる方でした。“成婚率8割”という文言に半信半疑で密着を始めたのですが、取材をしていって彼女の著書も全部読んだら、本当に目からウロコで!」と圧倒されたそう。既婚者である八木Dだが「お相手選びに関して誰も教えてくれないじゃないですか。だから、こういうふうに結婚すべきだったのか…と思って(笑)」と冗談を飛ばしながら、「植草さんの手腕と、“この人とこの人が合う”と察知するマッチング力。これはすごいなと思いますね」と舌を巻いた。
23日放送の後編については、「純粋無垢なミナミさんが初めて恋をして、そのお相手との恋心か、将来の安定か…というどちらを取るのかですごく揺れ動きます。なかなかこういう人間のリアルというのは見ることがないと思うので、同世代の方は共感してもらえると思いますし、上の年代の方は若い頃を思い出しながら見ていただけると思います」と予告。
さらに、「初恋ってこんなにウキウキした気持ちなんだなと思うんですが、ここに結婚という要素が入ってくるのが興味深いところで、恋と結婚というのが相容れないものなのかもしれないというのも、改めて考えてもらえるのではないかと思います」と、恋愛ドラマでは描けないシビアな現実が映し出される。
●八木里美1977年生まれ、東京都出身。学習院大学卒業後、青森朝日放送でニュースキャスター・記者・ディレクターとして取材現場に従事し、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』を経て、04年にバンエイト入社。フジテレビ報道局で『スーパーニュース』を担当し、11年からは制作部でドキュメンタリー番組などを制作。『ザ・ノンフィクション』では、『愛はみえる~全盲夫婦の“たからもの”~』『わ・す・れ・な・い 明日に向かって~運命の少年~』『私、生きてもいいですか ~心臓移植を待つ夫婦の1000日~』『わすれない 僕らが歩んだ震災の10年』などを担当し、11年間にわたって取材した『熱血和尚』シリーズでは、「第36回ATP賞」グランプリ、「2020年日本民間放送連盟賞」テレビ教養番組部門・最優秀賞、「第57回ギャラクシー賞」奨励賞、「ニューヨークフェスティバル2020」ドキュメンタリー宗教/哲学部門・銀賞&国連グローバルコミュニケーション賞・銅賞と、国内外で数々の賞を受賞した。現在はほかにも、『フューチャーランナーズ~17の未来~』(フジ)で総合演出を務める。



