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42.3%の地方議員がハラスメント経験者。困るのは誰?

 地方議員へのセクハラ、パワハラの調査結果が公表された。あってはならないことで再発防止は必要不可欠。だが、このままだと、どうなっていくのか?

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■女性議員は57.6%が経験者

 調査結果は、1月13日にオンラインで開催された内閣府の『「令和3年度政治分野におけるハラスメント防止研修教材」等の作成に関する検討会(第1回)』の資料、「政治分野におけるハラスメント防止研修教材の作成について」に具体的なハラスメントの内容などが示されている。
 
 調査の背景にあるのは、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が改正されたことにより国及び地方公共団体は性的な言動等に起因する問題の発生防止に資する研修等を実施する施策を講ずる旨の規定が追加されたこと。

 令和2年度に内閣府男女共同参画局で行った「女性の政治参画への障壁等に関する調査研究」で、議員活動や選挙活動中に全体の42.3%の議員がハラスメントを受けたと回答があり、ハラスメントをなくすために有効な取組として、議会による「議員向け研修」が最も回答が多かったことから各議会などでハラスメント防止研修を実施する際に活用できる教材を令和3年度に作成することになったことがある。

 調査は、全国の地方議会の男女議員10,100人を対象として、令和2年12月25日〜令和3年1月31日にかけて調査し、合計5,513人(男性3,243人、女性2,164人。回収率54.6%)から得た回答と、立候補を検討したが断念した人、約1,000人にも行ったネットアンケート。
 さらに、令和3年10月14日から11月14日までの1ヶ月間、専用の投稿サイトを開設し、全国の地方議会議員から議員活動や選挙活動中に、有権者や議員等から実際に受けた、または見聞きしたハラスメント事例を収集した内容も含まれている。事例は1,324件が集まっている。

 ハラスメントを受けた42.3%の男女別内訳は、男性の32.5%、女性の57.6%と女性が多いことが分かる。

■多いのは有権者からのハラスメント

 ハラスメントの行為主体(した人)は、議員が46.%。有権者が53.5%となっている。

 ハラスメントの内容は、パワハラが68.4%。セクハラが22.9%。マタハラが1.4%。その他が7.4%。議員から議員、有権者から議員へのハラスメントの内容は下記だった。

 議員から議員へのパワハラは、胸ぐらをつかまれる。殴られる、殴り掛かられる。突き飛ばされるなどの肉体的なものや大声で暴力的な言葉をいう。属性(性別、年齢、出身、学歴、外見等)に基づく誹謗中傷。事実に基づかない噂話、陰口。懇親会への参加や酒の酌の強要などの精神的なもの。具体的には、議会の質問中に、「何様だと思っているんだ」「女は、黙っとけ」というヤジを激しく飛ばされるなど。

 有権者から議員(候補者)へのハラスメントの具体例には、街頭演説中で、有権者から握手を求められ、それに応じたら手を急に強く握られたり、大きな力で引っ張られたりする。正面から歩いてきて、突然罵声を浴びせられ、暴力を振るわれる。
 精神的なものとしては、匿名によるSNSやメール、電話での嫌がらせ。投票の見返りに不条理な要求をされる。年齢や性別、当選回数に基づく誹謗中傷。個人情報を勝手に使用した嫌がらせ。自宅の電話番号や住所等の個人情報をSNS上に無断で公開される。異性との交際関係等を暴露されるなどだ。

■もっとあるのでは? 


 これらを読むと私にも経験があるものもあり、ハラスメントを受けた例は全体の42.3%というのは少ないのではと思えてならない。特に選挙が近い時や期間中には、うちには5票あるから言うことを聞けといったことは何回も聞かされている。

 また、SNSでの嫌がらせ、というより匿名をいいことに「おまえ」「こいつ」として、決めつけや捏造した情報を拡散しようとする例は常にある。ここ最近では特にそうだった。
 議員同士であれば、研修は一つの対策となるが、議員以外の対策、特にネット上では、それこそ、時間と金をかけて訴訟するなどしかなく野放しに近い状況だ。

 他にもあるが、このような状況から議員からの情報発信をなくすことや立候補断念、あるいは議員を辞めてしまうことにもなっている。このことは、住民にとって情報が少なくなり、貴重な人材を失うことにもなってしまう。結果として住民のために働く議会機能が損なわれるように思えてならない。

 もちろん、一部のごく少数の人によるものとは承知をしているし、議員が全員、聖人君子であるとは限らない。だが、一部のごく少数の快楽のためのこのようなハラスメントで情報や人材が失われていくとなれば、被害者だけでなく、困るのは住民ではないだろうか。

 被害者の救済は必要であり、再発防止策は必要不可欠として、まずは、議員同士のハラスメントは議会としてなくしていくしかない。どのような研修内容になるのか。どのような「政治分野におけるハラスメント防止研修教材」になるのか注目したい。

【参考】
内閣府 「令和3年度政治分野におけるハラスメント防止研修教材」等の作成に関する検討会(第1回)

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