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【読書感想】バカに民主主義は無理なのか?

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バカに民主主義は無理なのか? (光文社新書)

内容(「BOOK」データベースより)

民主主義だからダメなのか?まだ民主主義じゃないからダメなのか?本書では、日本の民主制の危機、問題点を考えるにあたり、民主制や自由思想の歴史、そしてそれを近代日本がどのように移入したのか、さらに、改正が取り沙汰される日本国憲法の、国民の見落としている根本原理などについて一から学び直す。また戦後政治が何を積み残してきたのかを丁寧に振り返り、最後には、我々に最も欠かけている思考について検証。民主主義の限界を克服する道を探る。「必要悪としての政治」という視点から、民主制の主体=民衆に求められる資質・精神について考える。

『前田敦子はキリストを超えた』『ネットはバカと暇人のもの』に並ぶくらい、壮絶な「釣りタイトル」なのですが、うーむ、これはちょっとなんというか、買って、読んで失敗した感じです。

280ページのなかで、第1章の「日本人は、いったい政治に何を望んでいるのか」は、なかなか興味深い内容です。

 その一方、「民主主義が足りないのが問題だ」という主張にも、素直に従いがたいところがある。

「だいたいそういう人が言っているのは、「私の話を聞け」である。

「私という民衆の話(願い)を聞いてくれるのが、民主主義というものだ」と多くの民衆は思っている。

 そして「民主主義の限界」を嘆く人は、「誰も私の話を聞いてくれない」とあきらめているか、そうでなければ「他人の話など聞きたくない」と思っている。

まあ、こういうところは、「そうだよね」と頷けます。

この章のなかで(というか、この本のなかで)、いちばん印象的だったのは、この部分でした。

 現代日本では、くじ引きで代議士や公務員を決めるというのは、突飛な発想に思われるかもしれない

 しかし裁判員制度はそうしたものである。無作為に抽出された(つまりは「くじ」で選ばれた)民衆の代表に、死刑を含む裁判の裁定を任せられるなら、法案の審議や行政判断が下せないとする根拠はないだろう。

たしかに、「三権」のひとつである司法の裁判員制度がそれなりに機能していて、「抽選で選ばれた国民が裁くこと」が認められているのであれば、立法、行政だって、本当に「プロ」が必要なのか?とも思えます。

もっとも、裁判員制度も本職の裁判官が3人加わって討議し、裁判官が3人とも裁判員と意見を異にする場合にはその判決は下せない、というセーフティネットがあるんですが。

本当に「プロの政治家」が必要なのか?

どういう人が、「プロの政治家」だと言えるのか?

それは、もう一度考えてみたほうが良いのかもしれません。

しかしまあ、なんというか、第2章以降は、局所的に勉強になる知識はあるのですが、全体としては、著者の主観による「政治談義」という感じで、正直、人気タレントでも国民的ベストセラー作家でもない人のこんな「世間のブログでさんざん読み飽きてきたような、世界の民主主義についてのけっしてわかりやすいとは言えないような概説や、日本の戦後民主主義についての著者の主観と愚痴だらけの解釈」を読まされるのは、かなりの苦痛でした。

やたらと「ポジティブ!」みたいな話も読んでいてつらいのですが、この本を読んでいると、なんだか著者の接待をさせられているような気がしてきます。

なぜ金払って本を買ったのに、「接待」しなければならないのか……

 ちなみに鳩山由紀夫は、脱税問題が忘れられたと見るや、次も選挙に出ると言い出した。自分の利権にだけは執着するのである。そして再び、内外で適当な主張を公言して、物議を醸した。元首相が外国で、勝手な約束まがいを口にしてはいけない。

 また鳩山は原発反対デモに参加したが、それなら官邸に行って直接、野田首相(当時)に文句を言えばいいのである。話くらいは聞いてくれただろうに。

 根拠のない希望を口にするうぬぼれ屋(「俺はビッグになるぜ」の若者とか)は少なくないが、それを政治の場で表明するのは、自己愛と虚栄心がよほど強いのだろう。

 鳩山は金も学歴もあるが、「頭がよくても馬鹿は馬鹿だが、分別があって馬鹿だということは絶えてない」というラ・ロシュフコーの箴言を証明する存在だった。

 彼は政界で「いい人」と呼ばれることがあるが、それは「政治に関わらないほうがいい人」の含意でもある。

あーはいはい。

たぶん、著者は「思いっきりガツンと言ってやったぜ!」って気分爽快なんでしょうけど、こういう「ありきたりな批判」は、僕にとってはもう、「耳にタコができるくらい」聞き飽きているのです。

「政治談義好きの、自称『毒舌』のオッサンのブログ」って、こんなのばっかり。

この本の後半は、ほとんどこんな感じなんです。

鳩山さんが酷いのは、もうみんな解ってるから!

お金出して買った本なのに「面白くもなく、役にも立たない」と、さすがに悲しい。


『バカに民主主義は無理』なのかもしれませんが、そもそも、他人をバカにすることしかできない人間に、そんなこと言われたってねえ……と思いつつ、最後のほうは流してしまいました。

著者の大ファン、という人以外は、スルー推奨です。


僕も文句ばかり言っていてはあまりに申し訳ないので、本当に「民主主義の現在」について知りたい、考えたい方は、こちらの『社会を変えるには』を読むことをオススメしておきます。

この本はかなり歯ごたえがありますし、読みこなそうと思ったら大学の1年間の講義のテキストに使えるくらいの内容だと思います。読むためにはそれなりの努力が必要ですが、少なくとも「血肉になる本」ですよ。

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社会を変えるには (講談社現代新書)

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