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「異論も含め、まとめ上げていくのが仕事」自民党高市早苗政調会長

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写真)ⒸJapan In-depth編集部

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(黒沼瑠子)

編集長が聞く!」

【まとめ】

・自民党の政策決定プロセスは、全員参加型で反対者ゼロになるまで詰めるかなり厳密なものなので、今のままでよい。

 ・スタートアップ企業支援や賃上げによる消費マインド改善を目指し、またCO2削減のために原子力の研究やEV車普及にも力を入れる。

 ・昨年タイミングが合わず提出を断念した人権に関する国会決議案は今年の通常国会で再度提出をねらう。

年も明け、通常国会も始まろうとしている。今年夏に参院選が控えている。自民党の政調会長に就いた高市早苗衆議院議員に話を聞いた。

■ 党の意志決定プロセス

安倍:去年、児童手当の件では混乱があった。「政髙党低」ではなく、「政高党高」にしていくためにはどうしたら良いと考えるか?

高市政策決定プロセスは今のままでいいと思う。自民党の政策決定プロセスはかなり厳密で、内閣が重要な閣議決定を行う場合は、必ず自民党の政調会の部会で反対者がゼロになるまで揉んで、内容によっては修正し、その後、政調審議会で政調会長、会長代行、会長代理、副会長が議論して、そこでも反対者ゼロにする。その上で総務会でまた反対者ゼロにしてという感じで常に詰めていき、ようやくその後、自民党、公明党の両政調会長が合意して内閣が閣議決定できる、という仕組みだ。

法律案一つにしても予算案にしても税制にしても、ものすごくプロセスを踏んで全員参加型でやっている。これは自民党の良き伝統だと思う。

なぜここまでやるかといったら、やはり内閣は与党が議席を得てその上で構成されるものなので、 国民の皆さんに対して与党・内閣として責任を負うから、主権者の代表である私たち国会議員がしっかり納得していかなければならない(からだ)。

その代わり党議決定したものについては、本会議中や委員会の場では決して反対しない。異論は色々出るけれども、それをまとめ上げていくのが政調会長の仕事だと私は思う。そのプロセスはすごく大事にしたいと思っている。

安倍:10万円給付では支給対象の線引きで混乱も見られた。

高市:10万円給付の時は総選挙の前に、自公の総裁で政権合意をまとめた。その中には具体的な記載はなく、公明党の公約では18歳以下の子ども全員に10万円を、自民党の方はお困りの方々に対して経済的支援を、と言う書きぶりにしていたので、元々選挙の公約が違っていたことになる。選挙直後なので、政策事項というよりは連立事項というような扱いにした。それは(岸田)総裁と私が電話で相談した上での決定だ。

政調会長同士が出て行くと、お互い公約をつくった者同士だから政策では譲れない。連立事項ということで党の代表同士で扱ってもらうことで幹事長にお任せしたので納得している。

ただその後、政調全体会議を行った時には異論もかなり出た。しかしもうすでに岸田総理ができるだけ早い給付を、と言明されていて、ここで児童手当の所得制限の枠組みを活用することをひっくり返してしまうと、年内の給付は無理になるので、そこはむしろ私が政調全体会議で事情を話して、皆さんにここは理解をして欲しいとまとめる側だった。個人的には相当不満はあった。働き方によって給付を受けられる家庭と受けられない家庭があると不公平感は残るので、本来は世代合算でやるべきだったと思う。

児童手当の仕組みそのものがもともと不公平だ。主たる所得者の年収を基準に児童手当を支給することになっているが、主たる所得者と従たる所得者の年収を比較しないと本来大変不公平である。世帯合算収入の高い家が受け取れて、世帯合算収入の低い家が受け取れないという状態が生まれている。

数ヶ月時間があれば世帯合算の作業はできたのにと思う。例えば不妊治療に対する支援とか、保育料とか世帯合算でやっている政策は他に色々あるので、あと数ヶ月時間をもらえたら世帯合算でもっと公平にできたのに、本当にお困りの方に対して出来たのに、という悔しさはある。

しかし、ここはやはり連立事項ということでの合意だし、総理が一日も早い給付とおっしゃっていたので政調としては折れたというか、皆さんに納得していただいた。

安倍:今後も同じようなケースが出てきた時は、不公平感ないようにするか?

高市:既に予算委員会で私も世帯合算の重要性ということを表明したし、もともと児童手当の仕組みそのものが常に不公平で世帯合算になっていないということで、政調の中の「少子化対策調査会」で世帯合算に児童手当の所得制限を変えていく議論をするように、という要請を調査会長に対して出しているので、政調の方で議論を進めていくつもりだ。

■ 「新しい資本主義」について

安倍:岸田政権は「新しい資本主義」を標榜しているが、党としてはどのような政策を考えているか。

高市:私が政調会長になったのが去年の10月1日で、10月31日投票の衆議院選挙に間に合わせて公約を作らなくてはならなかったので、私も「新しい資本主義」という言葉が当初は咀嚼できなくて、岸田総裁に電話をかけてレクチャーしていただかないと公約に落とし込めないという相談をしたぐらい、最初はあんまりわかっていなかったのが正直なところだ。

成長と分配の好循環」という言葉は、安倍内閣時代から使われてきたので、どこがどう違うのかというところが非常に難しかったが、基本的にはそれほど大きく変わるものではない。ただ市場や競争に全て任せるのではなくて、市場の失敗を是正する仕組みをしっかり続けていこう、ということだ。

これから政府の中で、新しい資本主義の姿が徐々に明示されていく段階だと思う。令和3年度補正予算、それから令和4年度の予算案など、これから国会で審議してもらうものの中では、一つはやはりデジタル化、あと気候変動対策、それから経済安全保障科学技術などの分野で、まず政府による投資を行い、それから必要な規制改革を行って民間投資を呼び込んでいく。そういう姿というのが見えてきたのかなと思う。

それからもう一つは岸田総理がとても力を入れている「スタートアップ支援」だ。これは今まで日本が弱かった部分で、スタートアップをいかに育てていくかということが国力の増強に繋がると思う。

私は自分の著書にも書いたが、日本の「創薬力」=薬を作る力が弱いというところに目をつけた。アメリカと比較するとアメリカの場合はものすごいスタートアップを支援するシステムがあり、そういう所がまた創薬にも相当貢献している。国の研究機関などの成果もスタートアップに対し提供して、できるだけ早く実用化させるチャンスも与えながら、資金をきちっと確保できるシステムがアメリカは強いなと思っていたので、岸田総理が最近とてもスタートアップを支援するという方向を打ち出してくださっているのは嬉しい。やはりなんといっても人への投資で3年間に4000億円規模ということで、人材育成を強力に支援する。この方向も間違ってない、とっても重要なことだと思う。

分配の方はやはり賃上げ税制を抜本的に強化したが、これは法人税を払ってないところには対応できない。特に中小企業の中で経営が苦しい、法人税払えないところに対しては、例えば持続化給付金や、色々な給付を受ける時にメリットを与えたり、賃上げをした場合にメリットを与えたり、政府調達の時の点数を加点したりするというメリットを付与して、賃上げのモチベーションにするという方向は固まった。

賃上げがなければ消費マインドは改善しないから、これは凄く大事なポイントだと思う。それからこれは私が総裁選挙の時に特に主張していた点だが、フリーランスの方が全く契約書なしに働かされていたり、契約書の中身が酷いものだったりするということで、法整備が必要だということを打ち出した。これも政府の方で、しっかりと契約を義務付ける形の法整備をしてくれるということなので、ここは期待している。これも分配政策になっていくと思われる。

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