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犬猫の“殺処分”は本当に減っているのか? 不透明な実態に「救いたいの気持ちは同じ」

 獣医師らの手によって、治療を施される子猫……毛並みも悪く、やせ細っている。これは“猫の殺処分ゼロ”を目指し、東京で活動を行うNPO法人「ねこけん」による猫の避妊や去勢手術の様子を撮影した映像だ。「ねこけん」は去年、獣医師たちともに愛媛県で出張手術を行っている。

【映像】治療を施される子猫たち

 避妊・去勢手術は、殺処分により失われる命を生まないために重要な手術。「ねこけん」の溝上奈緒子代表理事は「手術は絶対的に有効です」と断言している。

 犬・猫の殺処分はこれまでも社会問題とされてきたが、2020年度に殺処分されたのは約2万4000匹で過去最少を記録。10年前に比べると、約10分の1と減少傾向にある。しかし、溝上代表はこう指摘する。

「殺処分数の“数字”は減ったと思います。実際に減った数というのは、ボランティアさんがTNR(捕獲・手術・元の場所に戻すこと)をしたり、不妊・去勢手術を進めていったりした結果だと思います。(一方で、)自治体によってカウントの仕方が変わりまして、譲渡不適切や病気、引き取り後の死亡を殺処分数としてカウントしない自治体が結構あって。数が減ってはいるんですけど、実際どれくらいの子が殺処分されているかは全く不明だと思っています」

 また、動物愛護と管理に関する法律が改正されたことにより、自治体が引き取りを拒否できるようになったことも殺処分数減少に影響しているのではないかと溝上代表は話す。

「例えば、(飼い主に)『事情があって(犬・猫を)飼えません。引き取ってください』と言われても、(自治体は)『いや、無理です』と言えるようになったんですね。」

Q. 自治体が引き取りを断っても、行政での殺処分数にはカウントされない?

「そうですね。今までは引き取り義務があったんですよ。でも、(法律の改正で)引き取り拒否の選択肢が取れるようになっています」

 溝上代表は、殺処分を減らすために重要になる避妊・去勢手術においても、課題が多く残っているという。自由診療となる避妊・去勢手術は、病院によって費用に大きく差が出てしまうところもあり、結果として飼い主やボランティアの負担に繋がっている。

 すでに各自治体では“殺処分ゼロ”を目指す取り組みが進められていて、避妊・去勢手術のための助成金を出す動きも出ているが、自治体によって助成金の額にバラつきがあるのが現状。そのうえで、溝上代表は「全国一律で手術が受けられるようにしてほしい」と訴える。

「(手術の)値段を下げるか、助成金の値段を上げるかです。個人の負担をできる限り少なくするという方法だと思います。動物に対して、その自治体ごとに(対応が)違うということが問題。“ここは出て、ここは出ない”というのがおかしくて、日本全体で統一するべきだと思います。そうすれば、みんな平等じゃないですか。『命を救いたい』って気持ちは同じだと思います。ただ、その条件が違うことで救えないことがあるので、日本全体で助成金を統一することが必要だと思います」(『ABEMAヒルズ』より)

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