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12月FOMC議事要旨:タカ派シフト鮮明、複数の参加者は早期QTを望む

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〇経済への影響について

<経済全般>

・現状の経済動向につき、参加者はワクチンの普及と力強い政策支援を受け、経済活動や雇用の指標は力強さを示し続けたと認識した。

・経済活動は7~9月期の鈍化を経て、10~12月に力強く回復したようにみえる。

・参加者は、経済の道筋が引き続きウイルス次第と指摘。ワクチンと供給制約解消へ向けた進展が経済活動と雇用を引き続き支え、インフレを低減させると見込むが、経済見通しのリスクは残存する。

・消費財への需要は、緩和的な金融政策や財政政策、さらに高い貯蓄率を支えに引き続き力強い。

<経済見通し>

・参加者は、経済見通しをめぐる不確実性が高いと判断した。大半の参加者は、インフレに上方リスクがあるとの見解で一致。

一部の参加者は、テクノロジーの変化、人口動態、実効下限制約の状況など、過去数十年においてインフレを抑制させた要因がパンデミック後に再度浮上する可能性を挙げた。

・数人の参加者は、生産の伸びを上回る実質賃金の上昇が続けば、インフレを誘発する賃金価格変動が起こるリスクがあると指摘。

・参加者は概して、労働市場、特に労働力人口の推移や、供給制約の解決に時間が掛かる場合の不確実性を引き続き協調。

・多くの参加者はパンデミック、特に新たな変異株が引き続き経済活動の下振れリスクとインフレの上振れリスクをもたらすと言及した。

<供給制約>

・参加者は引き続き、供給制約と人手不足により企業が力強い需要に対応する能力が制限されていると指摘した。

こうした課題は、従来予想より長く続き、より広範に及ぶ可能性が高いと判断した。参加者は概して、供給制約が2022年まで続くと見込む

・一部の参加者は供給網に段階的な改善の兆しがあると指摘したが、他の数人は供給網の悪化がみられ、変異株の出現によって悪化する可能性があると指摘。

・企業が直面しているボトルネック圧力は、出荷や輸送の大規模な滞留に加え、様々な商品に対する需要の急増、労働力やその他の資材の不足、生産コストの上昇、主要部門の在庫水準の低下などに伴う世界的な供給網の混乱を伴った。

・多くの企業が、あらゆる技能レベルの労働者の採用にあたって引き続き困難に直面しており、適格な候補者の不足も指摘された。

・複数の参加者は、企業が労働者を獲得するために賃上げ、賞与の拡大、またはより柔軟な勤務形態を提供していると指摘した。

<労働市場>

・参加者は、失業率が急速に低下し、就労者数も堅調なペースで増加するなか、労働市場は引き続き力強く拡大していると判断した。

数人の参加者は、黒人とヒスパニック系の失業率が足元で低下し、働き盛り世代での就業率も人種・民族間格差が縮小し、より包括的な労働市場の回復を示唆していると指摘した。

・複数の参加者は、11月に労働参加率が小幅に上昇したことを取り上げた。

・一部の参加者は、労働参加率の大幅な改善には、これまでの予想よりも時間がかかると判断。他の数人は、労働参加率の一段の改善はかなりゆるやかなものになるだろうと見込む。

参加者は、パンデミックや経済的な要因が労働参加率を抑制していると指摘、介護業界や託児所などの人手不足とこれらのニーズの増加、ウイルスに対する懸念の残存、家計の健全なバランスシートを背景とした早期退職者オズかなどがこうした要因となる。
・数人の参加者は、財政支援の減退のほか低所得世帯の貯蓄の低下、労働市場の改善にラグを伴う労働力参加率の傾向などを踏まえ、今後数年間に労働参加率が上昇すると予想した。

参加者は、過去最高水準に近い退職者数や求人数、著しい賃金昇率など、米国の労働市場が非常にひっ迫していることを表す多くの兆候を挙げた。

・雇用コスト指数の上昇に沿い、多くの参加者は、企業から現在の従業員を維持すべく、または新たな従業員を獲得すべく大幅賃上げを計画または実施したとの報告を受けた。

・物価の安定に見合う最大限の雇用水準は時間とともに変化する可能性があることを認識しつつ、多くの参加者は米国経済が委員会の目標である雇用の最大化に向け急速に進展していると判断した。

<物価>

・参加者は、インフレ指標が従来予想を上回り、持続的で広範囲に及んでいると指摘。

複数の参加者は、トリム平均が10年来の高水準に達し、大幅な値上げを行った製品カテゴリーの割合が上昇を続けていることに言及した。

参加者は概して、供給制約が緩和するにつれてインフレ率が2022年の間に大幅に低下すると引き続き予想したが、特にほぼ全員が2022年のインフレ率予測を上方修正したと述べ、多くの参加者は2023年についても同様に上方修正した。

・インフレ見通しの修正について、参加者は住宅コストや家賃の上昇、労働力不足による賃金上昇の広がり、世界的な供給制約の長期化(オミクロン株により悪化する可能性)を指摘。

・さらに参加者は、企業が人件費や資材のコスト上昇を顧客に転嫁できると確信していると指摘

参加者は、特に生活必需品の値上げへの耐性が低い家計の重石となる生活費の大幅な上昇と、その懸念をめぐり引き続き注目している。

インフレ見通しに関し、複数の参加者は足元のインフレ高止まりが長期的インフレ期待を引き上げ、委員会の長期的なインフレ目標を達成する上でリスクになりうるとの見解を示した。こうした複数の参加者は、この展開が顕在化すれば、委員会が長期的に2%のインフレを達成することが難しくなる可能性があると指摘した。

数人の参加者は、インフレ期待の上昇のつながる初期の動きとして、企業のインフレ期待の高まりや、賃金交渉における生計費調整(賃金交渉で物価上昇を織り込むこと)の利用増加の報告を指摘した。

・しかし、数人の参加者は、市場ベースでの安定的なインフレ期待のほか低水準にある長期債利回りを挙げ、長期的なインフレ期待は依然として十分に落ち着いていると指摘した。

チャート:PCEデフレーターも、賃金を上回る伸び

(作成:My Big Apple NY)

<スタッフの経済見通し>

・10~12月期実質GDP成長率は、鈍化した前期から回復が見込まれる。

・労働市場は10~11月に回復を続け、賃金は今年急激に上昇した。

・CPIは前年比で高止まりを継続。

・12月FOMC時点でのスタッフ経済見通しは、力強さを維持しつつも前回から下方修正した。10~12月期も需要は高まるが、新規コロナ感染者数や入院患者の増加が冬場の経済活動の重石に

・加えて、供給制約の解決に予想より時間が掛かる見通し。

・それでも、実質GDP成長率は2021年に大幅に拡大する見通し。

・2022年の実質GDP成長率は、経済活動の再開や供給制約の緩和に支えられつつ昨年を小幅に下回る見通しで、

・2023年の実質GDP成長率は、経済活動再開による押し上げなどが低減する上、緩和的な金融政策が取り除かれるため、大幅鈍化へ。インフレの高止まりへ見通しを修正したため成長見通しを引き下げたが、潜在成長率を上回る見通しで、労働市場も非常にひっ迫した状態が続くだろう。

・スタッフは、経済活動の基本見通しには引き続き下方リスクがあるとみなし、インフレ見通しには上方リスクに傾いていると判断する。

・特に、オミクロン株により大規模な感染者の増加がみられれば重要なリスクとなるほか、一段と深刻な供給制約な状況も、さらなる経済活動の減速を招き、インフレの上方リスクを与えうる。

〇金融市場、金融環境

・全体的に金融動向は、経済活動及び家計や企業の信用の流れを支援する政策を一部反映し、引き続き緩和的だった。

<スタッフの評価>

・インフレ上昇とFOMCのコミュニケーションが、短期を中心に米国債利回りを押し上げた。ただし、米長期債利回りは低下し、(オミクロン株感染拡大による)パンデミックへの懸念に加え安全資産としての投資妙味が高まったとみられる。
・インフレ警戒やFedの引き締め寄りへの政策転換への懸念に加え、パンデミックへの憂慮を背景にリスク資産の重石に。ただし、米株の指数は概して変わらず。ボラティリティは著しく高まり、信用スプレッドは緩やかに拡大した。

――11月2~3日開催のFOMCでテーパリングを決定して早々、インフレ高進を受けてテーパリング加速だけでなく、早期の利上げに加え量的引き締め(QT)を示唆してきました。年末はサンタ・ラリーに沸いたものの、2022年は早々にナスダックを中心に総崩れとなり、米債利回りも長期を含め上昇中。波乱の幕開けとなりました。

個人的には、冒頭の政策正常化の議論が楽観的で驚きました。QTにつき、以下のような議論が確認されましたよね。

・最も注目すべきは経済見通しが以前よりはるかに力強いとみなしている点で、インフレ高進と労働市場のひっ迫を認識
・一部(several)の参加者は、米国債市場の脆弱性を懸念、こうした脆弱性が適切な正常化へ向けた圧縮ペースに影響をもたらすと指摘した一方で、数人(a couple of)の参加者は、常設レポ・ファシリティー(SRF)が(米国債市場の脆弱性をめぐる)懸念を低減させると予想

はい、SRFによる市場の安定を指摘する参加者を確認しました。2021年12月FOMC議事要旨時点では米国債市場の脆弱性を懸念する参加者が上回ったとみられますが、こうした趨勢の変化がQTの時期を教えてくれることでしょう。

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