記事

12月FOMC議事要旨:タカ派シフト鮮明、複数の参加者は早期QTを望む

1/2

Some Participants Noted That It Could Be Appropriate To Begin To Reduce The Size Of The Balance Sheet.

2021年12月14~15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が1月5日、公表された。同会合では 市場予想通りFF誘導金利目標を0~0.25%で据え置いた。一方で、パウエルFRB議長が同年11月の議会証言で発言した通り、資産買入の減額規模を150億ドル(米国債:100億ドル、住宅ローン担保証券(MBS):50億ドル)から、300億ドル(米国債:100億ドル、MBS:50億ドル)に修正した。

そのほか、2022年の利上げ見通しが従来の1回から3回へ引き上げられたが、議事要旨では利上げ開始前から政策正常化に向け協議されていたことが分かった。利上げについて、参加者は「当初予想していたよりも早く、あるいは速いペースで利上げすることが正当化される可能性」を指摘。さらに保有資産の圧縮をめぐっては、複数の参加者が「利上げを開始した後、比較的早期に保有資産の圧縮を開始することが適切な可能性がある」と言及。タカ派へのシフトが鮮明となった。詳細は、以下の通り。

〇金融政策について

<政策正常化に関する協議>

・参加者は、金融政策の正常化をめぐり広範囲にわたるテーマについて協議を開始した。テーマについては、過去の政策正常化の経験を基に、緩和的な政策を取り除く手法、一連の正常化をめぐる行動のタイミング、長期的な保有資産に関する適切な規模と構成などが含まれる。

・金融政策の正常化は、世間に理解を深め効率性を高めるべく事前に対話をして進める。

・同時に、参加者はこれまでの経験から、経済や金融の情勢に応じて正常化アプローチの詳細を調整する柔軟性を維持することの利点を強調。

・”金融政策戦略の長期的目標”に明記されるように、FF金利誘導目標のレンジの調整が政策ツールの第一の手段とする。

・数人(a few)の参加者はFF金利が実効下限レンジ(ELB)から離れている場合、委員会は経済状況に応じてバランスシート政策よりも金利をより機敏に変更することが可能と指摘した。

―保有資産の圧縮について

・参加者は、足元の経済状況とこれまでの違いを協議し、委員会が政策緩和を解除する際にはこれらの違いを考慮する必要があると発言した。最も注目すべきは経済見通しが以前よりはるかに力強いとみなしている点で、インフレ高進と労働市場のひっ迫を認識している。

・また、保有資産が2014年後半時点よりドルベース並びに名目GDP比で非常に大きいと指摘。複数(some)の参加者は、圧縮ペースに設定する上限次第だが、委員会が満期を迎える財務省証券の再投資とMBSの元本支払いを段階的に停止するという前回の手法に従うならば,保有資産は潜在的に前回より速く縮小する可能性があるとの認識を示した。

・しかしながら、一部(several)の参加者は、米国債市場の脆弱性を懸念、こうした脆弱性が適切な正常化へ向けた圧縮ペースに影響をもたらすと指摘した。

数人(a couple of)の参加者は、常設レポ・ファシリティー(SRF)が(米国債市場の脆弱性をめぐる)懸念を低減させると予想した(筆者注:つまり、SRFが金利上昇の懸念を低減させるという意味)。

・参加者はまた、潤沢な準備金や準備金残高に対する金利や翌日物リバース・レポ取引(RRP)制度を含む連邦準備制度の現在の手法が整備され、うまく機能していることから、Fedは以前よりも正常化に向けてより良い立場にあると判断。複数の参加者は、特に金融市場の豊富な流動性と翌日物RRPの高い利用頻度を考慮すると、正常化プロセスにおいて保有資産の大幅な縮小が適切であると判断した。

・参加者は、ELBからのFF金利引き上げに対し保有資産の圧縮の開始をめぐる適切な状況と時期について協議を開始した。参加者は、利上げから約2年後となり十分進んだ段階で開始した前回とタイミングがいかに異なるかについて協議した。

ほぼ全員の参加者は、利上げ開始後のいずれかの時点で保有資産の圧縮が適切である可能性が高いとの意見で一致した。また、保有資産圧縮の適切なタイミングは、委員会のこれまでの経験よりも、政策金利引き上げに近くなる可能性が高いと判断した。

・参加者は力強い経済見通しに加え高インフレ、大規模な保有資産を含めた現状を受け、潜在的に政策正常化のペースは以前より速いものになると指摘。保有資産圧縮の決定は、経済指標次第だとした。

複数の参加者は、利上げよりも保有資産の圧縮に依存することで政策緩和を取り除けば、金融政策の正常化過程でイールドカーブのフラット化を抑制できると言及した。これらの参加者のうち数人は、イールドカーブが相対的にフラット化することで、一部の金融仲介機関の利ざやに悪影響が生じ、金融安定リスクが高まる可能性があると懸念を示した。

・しかし、他の数人の参加者は、スタッフの分析や過去の実績に言及し、多くの要因が長期債の利回りに影響を与え、異なる政策がイールドカーブの形状にどのように影響するかを判断することが困難であることを指摘した。

多くの参加者は保有資産の適切な圧縮ペースが、前回の正常化時点よりも速くなる可能性が高いと判断した。また多くの参加者は、特にFedが保有する米国債の残存期間が短いことから、証券の流出に月毎の上限を設けることで、圧縮のペースを予測可能にする上で役立つと判断した。

―長期的な保有資産の規模について
・参加者は、潤沢な準備金を有する状況下、金融政策を効率的かつ効果的に実施する上で整合的な保有資産の長期的な規模に関し協議した。
・参加者は、足元の保有資産の規模が高止まりしており、正常化に着手してもそのような状況が暫く続くと予想
・一部の参加者は、金融政策を効果的に実施すべく最終的に必要となる準備金の水準につき、銀行による準備金の需要が基本的に日々変化するため、不確実であると指摘。この不確実性と前回の実績を考慮し、数人の参加者は金利を支えるため、かなりレベルでの準備金を許容することを望んだ。参加者は、長期的な保有資産の適切な水準に関する委員会の最終的な評価に資するため、準備金の水準が低下する際の金融市場の動向を注視することが重要であると指摘した。
複数の参加者は、保有資産の規模が長期的な水準に近づくにつれ、SRFは金利の抑制に役立つと いう見解を示した。また一部の参加者は、SRFが過去よりも速いペースでの資産圧縮を可能にしうると指摘他の一部の参加者は、SRFの設立が長期的な準備金の需要を低下させ、長期的な保有資産はこれまでの水準以下にとどまる可能性があると言及した。

―保有資産の構成について

・参加者はまた、保有資産の構成について協議した。

・前回の正常化をめぐる方針と同様に、複数の参加者は保有資産を長期的には主として米国債で構成することを望んだ。そのような構成にすべく、複数の参加者はMBS元本を比較的速やかに米国債に再投資すること、MBSを米国債よりも早期に保有資産から外すべきとの考えで一致した。

<金融政策のスタンスについて>

・金融政策のスタンスを検討するにあたり、参加者は、困難な時期に米国経済を支えるためにあらゆる手段を駆使し、最大限の雇用と物価安定という委員会の統治目標を推進するとのコミットメントを再確認した。

参加者は、インフレ率が暫く2%をゆるやかに上回るという委員会の条件は、十分に満たされているとの見解で一致した。

・雇用の最大化をめぐり、参加者は足元数ヵ月間で報告された堅調な就労者の増加や、前年を大幅に下回る水準まで低下した失業率、労働参加率の足元の改善傾向など、様々な指標で測定されるように、労働市場が(雇用の最大化に向け)急速に進展していることに言及した。

多くの参加者は、現在の改善ペースが続けば労働市場は早期に雇用の最大化に近づくと判断した。一部の参加者は、概ね雇用の最大化とほぼ一致していると言及した。

チャート:12月FOMCでの参加者のFF金利見通し


(作成:My Big Apple NY)

・数人の参加者は、物価安定に沿った雇用の最大化という統治目標につき、経済が拡大するなかで時間と共に変化すると指摘。

複数の参加者はまた、雇用の最大化が完全に達成する前に利上げが適切となる可能性があると指摘。例えば、委員会の長期目標の達成を妨げるような形で、インフレ圧力とインフレ期待が実質的かつ持続的に上昇している場合などが相当する。

<テーパリング加速について>

インフレ圧力の高まりと力強い労働市場を受け、参加者は、資産買入による政策緩和の拡大は、もはや必要ないと判断した。
・参加者は、資産買入の早期終了は、起こり得るあらゆる経済的結果に委員会が対処する上で、より良い立場を与えるとみなした。

参加者は、資産買入の減額ペースを2倍にすることが適切と判断した。結果、1月から米国債と住宅ローン担保証券の購入額額を毎月200億ドル、100億ドルずつ削減することになり、22年3月半ばに資産買い入れが終了すると予想した。
・さらに、参加者は経済見通しの変化により、必要とされる場合には委員会は引き続き買い入れペースを調整する用意があるべきであるとした。

<今後の金融政策、利上げ、資産圧縮について>

参加者は引き続き、現在の極めて不確実な環境下で、リスクへの配慮に基づいて適切に政策を調整する柔軟性を維持することが、政策運営の指針であるべきだと強調した。

・参加者は概して、それぞれの経済、労働市場、インフレに関する見通しを基に、当初予想していたよりも早く、あるいは速いペースで利上げすることが正当化される可能性を指摘した。

・また複数の参加者は、利上げを開始した後、比較的早期に保有資産の圧縮を開始することが適切な可能性があると指摘した。
複数の参加者は、将来の政策スタンスは緩和的でないことが保証される可能性が高く、委員会は高まったインフレ圧力に対処するための強いコミットメントを伝えるべきと判断した。こうした参加者は、引き締め策への慎重なアプローチは、経済指標を精査し、起こりうるあらゆる経済的な動向に対応する上で役立つと指摘した。

あわせて読みたい

「FOMC」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    菅直人・元総理から維新へ突然の宣戦布告!とりあえずその勘違いを正す

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    01月20日 09:29

  2. 2

    「こんなの三越じゃない」11期連続赤字の地方店が仕掛けた"前代未聞のデパ地下"の狙い

    PRESIDENT Online

    01月20日 09:00

  3. 3

    コロナ問題の整理 あくまで感染症は致死率で考えよう

    中村ゆきつぐ

    01月20日 09:14

  4. 4

    <『M-1』の漫才論争>オズワルドの錦鯉に対する敗北が、『M-1』を競技漫才化させる理由

    メディアゴン

    01月20日 09:40

  5. 5

    西村知美 心の叫び綴った娘の日記をテレビで暴露も「ゾッとする」「可哀想」と物議

    女性自身

    01月20日 16:15

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。