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自民の方が頼りになっているという現実

JA全中、参院選へ圧力…首相に反TPP陳情(読売新聞)

 環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加問題で、全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長は1日、安倍首相、自民党の石破幹事長、公明党の山口代表とそれぞれ会談し、交渉参加に反対するとともに、関税撤廃の「聖域」確保を陳情した。

 万歳会長は首相官邸で行われた首相との会談で、「TPPには反対。農業を壊滅させてしまう」と強調した上で、コメ、麦、牛肉、乳製品、甘味資源作物などの関税撤廃からの例外扱いを求める申し入れ書を首相に手渡し、「例外ができなければ、参加はできないですね」と確約を求めた。

 首相は、「(衆院選)政権公約にたがわないよう対応していきたい。申し入れを十分踏まえて判断する」と応じたという。

 参院比例選では、これまで農業団体の支援を受けた自民党候補が健闘してきた。夏の参院選で自民党が重視する改選定数1の「1人区」は、農業票の比重が比較的大きいとされ、これまでは自民党候補を支援することが多かった。JA全中は昨年の衆院選の際、「TPP交渉参加反対を明確にした各候補者、政党を支援する」とする会長談話を出しており、参院選でも今後、支援候補から外すことをちらつかせつつ、候補者への圧力を強める構えだ。

 農協関係者や農家を守るのと農業を守るのとでは全く別の対応が求められるように思うところですが、とりあえずJA全中はTPP反対の立場から与党への働きかけを進めていることが伝えられています。「例外ができなければ、参加はできないですね」だそうで、交渉に参加しないことには日本向けの例外項目なんて作られるはずもないのですけれど、「交渉」に参加することの意味をどう捉えているのやら。まぁ北朝鮮/拉致問題外交よろしく話し合いを避けて対岸から相手の悪口を言うことの方を好む人も多いですからね。

 例えば日本の鶏卵は世界的に見ても安価な部類に入ったりしまして、ところが日本の鶏が食べている餌は専ら輸入で日本式にカウントした食糧自給率の向上には全く寄与しないわけです。それに限らず家畜の餌が輸入ばっかりであることが日本のカロリーベース食糧自給率を大きく押し下げているのですが、「小麦の大輸入国にしてパスタの大輸出国」というイタリアみたいな生き方だってあります。飼料の輸出がもっと容易になれば畜産業は逆に好機だったりするんじゃないかと思わないでもありません。ともあれJA全中は「TPP交渉参加反対を明確にした各候補者、政党を支援する」との会長談話を出すなど、次回選挙で自民党を支援対象から外すことも辞さない構えを見せているようです。

連合だけに依存よくない…民主・細野幹事長(読売新聞)
 民主党の細野幹事長は2日、静岡市で講演し、党綱領で「働く者の立場に立つ」と明記したことについて、「連合だけを示しているわけではない。中小企業で働く皆さん、経営者も働く方々だ。アルバイトや派遣社員として厳しい待遇で働く方々のために何が出来るか。それが民主党だ」と強調した。

 細野氏は講演後、記者団に「連合だけに依存するのはいいことではない」と語った。「労組依存体質」批判をかわす狙いもありそうだ。

 ……で、連合も民主党を支援対象から外すことをもっと真剣に考えるべきだと思うのです。連合幹部にとってはいざ知らず、連合に属している組合員にとって民主党が何をしてくれたのか。むしろ連合からの支援を恥部として労組の声を「聞かない」ことに徹してきたのが民主党だったはずです。民主党とは違って多少なりとも労働者寄りの姿勢を見せる政党/候補に鞍替えする、そういう素振りの一つも見せて圧力をかけられないようでは何のための大型組織なのかと問いたくなりますね。

 細野の発言では、あたかも連合の利害と「中小企業で働く皆さん、経営者(略)アルバイトや派遣社員」とのそれが相容れないかのように語られています。確かに民主党の前政権を継いだ雇用側一辺倒の政策は労働者全般にとって受け入れがたいものであり続けましたけれど、しかし連合寄りの政策を採ることが中小企業の従業員や非正規雇用にとっての利益を損ねるものなのかどうかは大いに疑わしいものです。

 コンサルや経済誌のライターが描き出す世界観では、そういうものなのかも知れません。彼らにとって分配とはあくまで被雇用者間で行われるものであり、ある被雇用者の取り分(これを改革論者は既得権と呼びます)を守ることは、別の被雇用者の機会を損なうものであるという設定になっているわけです。ゆえに連合の立場を守ることで「中小企業で働く皆さん、経営者(略)アルバイトや派遣社員」が蔑ろにされると、そういう位置づけにもなるのでしょう。細野もこのような世界観の信奉者であることが窺われます。ところが現実には人件費は固定ではありません(減り続けてきたのですから!)。固定された人件費をいかに分配するのか、という現実世界では全く意味のない論議とは別に、企業の支出の中からいかに働く人の取り分を増やすかという問があるのです。

麻生氏、連合に攻勢 労組やり玉 民主の支持基盤揺るがす(産経新聞)
 春闘を舞台に麻生太郎副総理兼財務相が民主党最大の支持団体、日本労働組合総連合会(連合)に対する攻勢を強めている。賃上げが進まない現状を連合の努力不足とみて、その責任に言及し、自ら労組の代わりとして経団連と交渉する姿をアピールしている。先の衆院選で民主党が大敗し求心力が低下した連合に「無能」のレッテルを貼り、賃上げを政権の手柄とすることで、夏の参院選を有利に進めたい思惑があるようだ。

 麻生氏は1日、経団連の米倉弘昌会長と都内で会談し、安倍政権が掲げるデフレ脱却に向け、一時金や賞与の引き上げを要請した。席上、「連合に代わって給料を上げてもらう交渉をしている。この10年間労働分配率は下がり、物価以上に給与が下がった。企業の一番上の方々に決断していただく」と意気込み、連合を牽制(けんせい)してみせた。

 麻生氏は2月20日の参院予算委員会でも「連合はきっと賃上げを一生懸命やっていたんでしょう」と持ち上げた直後に「この3年間、(賃上げは)あまり聞いたことはない」と嫌みたっぷりに述べた。

 なんでも「賃上げを政権の手柄とすることで、夏の参院選を有利に進めたい思惑があるようだ」とのこと。まぁ実際に賃金が上がれば、現政権の手柄には違いないでしょう。結局のところは強制力のない口先ばかりの引き上げ要請であってアリバイ作りに終わってしまう可能性がないでもないながら、前政権に比べればまだしも好感の持てる姿勢ではあります。なお「この3年間、(賃上げは)あまり聞いたことはない」と麻生は語ったそうですが、麻生が首相だった頃は元より第一次安倍内閣の時代もまた給与の平均は下がり続けていたわけで、「この3年間」よりも「この13年間」と言うべきではないか思うところです。

 ともあれ、連合の無力さが問われるべき局面に来ていることは既に否定できないのではないでしょうか。麻生にとやかく言われずとも賃上げ交渉の席には着いていたにせよ、全くといっていいほど結果を出すことができなかった、自らが最大の支援団体として議席獲得に貢献してきた政党が一時は与党の座に就いていたにも関わらず、自民党時代から何も変えることができなかったのですから。もうちょっと政府与党に圧力をかけられる立場であったことを活かすこともできたはず、それでも結局のところ何事もなしえなかった以上は、麻生に嫌みを言われても仕方がないでしょう。連合もまた民主党と同様、いかに消去法的な選択であろうと自民党に票が流れるばかりという現実にどう向き合うかが問われています。

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