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国連予算と人権巡る大国の綱引き

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トップ写真:2021年9月25日、ニューヨークの国連本部で開催された第76回国連総会でのロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の演説 出典:Photo by EduardoMunoz – Pool/Getty Images

植木安弘(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授)

【まとめ】

・国連総会は、年末に31.2億ドルの2022年度通常予算を採択したが、人権に関する予算をめぐり米欧と中露が対立。

・対立の背景には、欧米の相対的地位や影響力の低下とその価値外交に対し、権威主義傾向を高める中露の挑戦がある。

・中露の人権に対する態度が国連の通常予算審議でも表面化していることは、国際関係がより不確実性を増している一つの具体的現れである。

国連総会は、年末に31.2億ドルの2022年度通常予算を採択したが、人権に関する予算をめぐって米欧と中露の対立が顕著に現れた。

ここ数年見られた人権をめぐる対立が国連においてもより表面化した背景には、国際政治における中国の台頭とロシアの復活があり、欧米の相対的地位や影響力の低下とその価値外交に対し権威主義傾向を高める中露の挑戦があると言える。

国連通常予算は、2020年度からそれまでの2年毎の予算から単年の予算に変更となった。これはアントニオ・グテレス事務総長の提案で、時事動く国際情勢により柔軟に対応するため国連予算をより機能的に運用しようとするものだった。

国連の活動が数年に渡る活動計画に基づいているため、予算を単年化することには懸念する声もあったが、事務総長の国連改革の一つの事業としての試みが受け入れられた。

前回2021年度予算審議の時には、シリアとミャンマーにおける人権侵害調査メカニズムの予算付けで中露の反対があった。

シリアへの人権調査メカニズムは、長期的となったシリア紛争に深く関与しているロシアが反対しており、これはシリアによる化学兵器使用疑惑解明のための国連とOPCW(化学兵器禁止機関)による調査団の活動を制限してきたロシアの思惑の延長線上にある。

ミャンマーの場合は、国連の人権問題での内政への干渉を嫌う中国が同様に国連による人権調査団には否定的だったが、

二つの人権調査メカニズムは、拒否権の行使ができない人権理事会で決議されていることからその設立には反対できなかった。

人権理事会は国連の一部であり、その予算は国連の通常予算に組み込まれていることから、中露は予算審議の段階でも抵抗したのだった。

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