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「買うから上がる、上がるから買う」不動産バブルに踊る韓国経済を待ち受ける大失速リスク

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追加利上げせざるを得ない3つの深刻な背景

2022年、韓国銀行(中央銀行)は追加利上げに追い込まれる可能性が高まっている。その背景の1つ目は、不動産価格の高騰に歯止めがかからないことだ。近年、低金利環境の継続期待などに支えられて、先行きを過度に楽観視する投資家が世界的に増えた。その結果、韓国では、政治・経済の中心であるソウルに人口が集中し、不動産市場に資金が大規模に流れ込み不動産価格の上昇が鮮明になっている。

韓国の文在寅大統領=2021年12月20日、韓国・ソウル 韓国の文在寅大統領=2021年12月20日、韓国・ソウル - EPA/時事通信フォト

2つ目は、韓国の家計債務残高が増えていることだ。韓国では、所得減少に直面する家計が増えている一方で、住宅価格や家賃相場が上昇し続けているため、借り入れに頼らざるを得ない家計が増えている。

3つ目は、インフレリスクの高まりに直面していることだ。今後、コロナ感染再拡大による世界のサプライチェーンの寸断などによって、世界的に物価は一段と上昇するだろう。通貨価値の安定と、金融システムの健全性を可能な限り維持するために、2022年の年明け以降、韓国銀行がタカ派姿勢を強め、急ピッチで複数回の追加利上げを実施する可能性が高まっている。それによって韓国経済の成長率は低下するだろう。

“コントロール・イリュージョン”に陥っている投資家は多い

韓国の国民銀行の不動産価格のデータを確認すると、2008年4月から2021年12月20日まで、韓国全土で不動産の価格は上昇トレンドを維持してきた。

特に、2020年4月以降は、価格上昇の勢いが一段と強まった。その背景には、新型コロナウイルスの感染発生によって2020年春以降に韓国銀行をはじめ世界の中央銀行が積極的に金融を緩和したことが大きく影響している。低金利と過剰流動性(カネ余り)の環境が長期的に続くと過度に先行きを楽観視する投資家が増え、“買うから上がる、上がるから買う”という強気な相場展開が鮮明化した。

不動産価格高騰に危機感を強めた文在寅(ムン・ジェイン)政権は、総量規制など複数の対策を実施した。2021年8月以降は韓国銀行が2回の利上げを実施した。それによってアパートなどの価格上昇率は幾分か穏やかにはなっているが、依然として相場は上昇し続けている。

目線を変えて考えると、韓国のマンションやアパートの価格は長期的に上昇し続けると考える投資家はかなり多い。行動経済学でいうところの“コントロール・イリュージョン”の心理に浸る投資家は多く、相場は過熱している。

ソウルのアパート価格上昇率は約1年で24%に

それに加えて、より多くの就業機会などを求めて政治と経済の中心地であるソウルに人口が集中した影響も大きい。人口の流入によってソウルの住宅需要は増える。それは不動産価格の上昇を支える。

韓国は2012年に世宗(セジョン)市を発足させ政府機能を一部移転した。その目的の一つは、ソウルへの人口の流入を減らし、不動産価格の上昇を抑えることにあったと考えられる。それでもソウルの一極集中を是正することは難しい。

国民銀行のデータをもとに計算すると2021年年初から12月20日までのアパート価格上昇率は、セジョンの6%に対して、ソウルの中心地区は24%、ソウル全体でも16%だ。それだけソウルでの就業などを目指す人は多い。当面の間はソウルを中心に韓国の不動産価格は上昇基調を維持するだろう。不動産価格の高騰を食い止めるために、韓国銀行は追加の利上げを実施するだろう。

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