記事
  • 女性自身
  • 2022年01月05日 15:44 (配信日時 01月04日 11:00)

65%の企業がすでに払ってない…「賃上げで法人税減税」効果に疑問視


12月10日、政府与党が「税制改正大綱」をまとめた。今年の目玉は「賃上げ税制」。だが、この税制で本当に給料が上がるのだろうか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた--。

■法人税を納めてない赤字企業が過半数

給料を上げた企業に、中小企業なら給料増加分の最大40%、大企業では最大30%を、法人税から差し引くというもの。つまり、賃上げした企業に法人税軽減という“ご褒美”を与えて、賃上げを促そうというのです。また、給料を上げず設備投資もしない大企業には、研究対策費などの減税をはずす罰則規定も導入しました。

いま雇われて働く方の平均給与は、約433万円です(’20年・国税庁)。’97年の約467万円からずっと下がったままですが、この税制で本当に給料が上がるのでしょうか。

たとえば従業員10人のA社で、年収が全員360万円だとすると、A社が払う給料の総額は年3,600万円です。この税制が開始すると、中小企業が最大限の優遇を受けるには、会社が払う給料総額を2.5%アップしなければなりません。A社の場合は3,600万円×2.5%=90万円分の給与アップが必要です。

次に法人税ですが、A社の利益が年500万円だとすると、法人税率は15%、法人税は75万円です(法人税率は会社の規模、収益、開業年などによる)。賃上げした90万円の40%である36万円を法人税から差し引くので、今年の法人税は75万円−36万円=39万円で済むというわけです。 ですが、経営者は「給料は一度上げるとなかなか下げられない」と考える方が多いもの。一時的に法人税が下がっても、この先ずっと上げた給料を維持できるのか、不安を感じる方が多いでしょう。

加えて、そもそも日本の企業の65.4%は赤字で、法人税を納めていません(’21年・国税庁)。法人税を払わない企業に、法人税を下げるといっても、なんの影響もないでしょう。給料を上げる原動力にならないと思います。

実は、賃上げ税制は今回初めてではなく、安倍政権下の’13年度から行われています。効果のほどは、皆さんが実感されていることでしょう。今回は法人税は最大40%と引下げ率が大きいものの、構造自体は安倍政権時代と同じ。失敗し続けた政策をバージョンアップしただけですから、賃上げは期待できないと言わざるをえません。

いっぽう、新型コロナの感染状況が落ち着き、求人が増えているようです。自動車メーカーのマツダは期間制労働者を約350人増やし、基本給も9%引き上げると発表。また、11月のフード系のアルバイト・パートの募集時平均時給(三大都市圏)は、前年同月より3%アップの1,062円(’21年12月・リクルート)。

人手が必要になれば給料は自然と上がります。政府は賃上げ税制より、景気をどう回復させるかに注力してほしいと思います。

残念ながら、’22年も給料は大幅には上がらない流れが続きそうです。財布のひもを引き締め、生活の自主防衛に努めましょう。

あわせて読みたい

「法人税」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    菅直人・元総理から維新へ突然の宣戦布告!とりあえずその勘違いを正す

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    01月20日 09:29

  2. 2

    「こんなの三越じゃない」11期連続赤字の地方店が仕掛けた"前代未聞のデパ地下"の狙い

    PRESIDENT Online

    01月20日 09:00

  3. 3

    コロナ問題の整理 あくまで感染症は致死率で考えよう

    中村ゆきつぐ

    01月20日 09:14

  4. 4

    <『M-1』の漫才論争>オズワルドの錦鯉に対する敗北が、『M-1』を競技漫才化させる理由

    メディアゴン

    01月20日 09:40

  5. 5

    西村知美 心の叫び綴った娘の日記をテレビで暴露も「ゾッとする」「可哀想」と物議

    女性自身

    01月20日 16:15

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。