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あなたは丸餅派? それとも切り餅派? 正月に読む「餅」の話

正月。みんな今日は、餅を美味しく食べている頃だと思う。餅には四角と丸という2大派閥があるが、あなたのうちはどちら派だろうか?(文・昼間たかし)

四角い餅は江戸時代以前からあった

四角い餅と丸い餅は、大ざっぱに西日本と東日本で分けられる。西日本では丸餅、東日本では四角い餅が一般的だ。この二つの餅は、製法も違う。

四角い餅は「切り餅」と呼ばれているとおり、ついたものを器に広げて冷ました後に切りわける。対して、丸餅は冷めて固くなる前にちぎって丸めるという、シンプルな製法だ。

メディアで多く紹介される説では、もともと餅は丸いものが主流だったとされる。四角い切り餅が一般的になったのは、江戸時代に入ってからである。人口の多かった江戸では餅の消費量も多く、効率的に餅を製造する方法として、四角い切り餅が生まれたのではないかと考えられている。

この切り餅を誰が発明したかは定かではない。江戸時代に尾張藩士の天野信景という人物が1697~1733年にかけて執筆した随筆『塩尻』には雑煮の習俗に触れた部分で「江戸ハ切餅ヲ焼キ、小松菜ヲ加ヘ、鰹節ヲ用ヒシ醤油ノ煮ダシ也、塩鯛裏白等ノコトナシ」と記している。

このことから、江戸に人口が増えた早い段階で、切り餅は普及していたことがわかる。

ただ、平安末期から鎌倉時代初期に内大臣を務めた中山忠親の日記『山槐記』にも「切餅」の記述がある。ここの「切餅」が、江戸時代以降の切り餅と同じかどうかはわからないが、似たようなものはもっと古くからあったのかもしれない。

いずれにしても、作業効率の高い四角い切り餅は江戸で著しく普及した。江戸後期の文人・喜田川守貞の『守貞謾稿』にも、大坂(大阪)は丸餅、江戸は切り餅とあり、すでに東西で形の異なっている様子を指摘していた。

切り餅でよく知られるものといえば「つきたてシングルパック」のCMで知られるサトウ食品の製造販売する「サトウの切り餅」がもっとも知られるところだが、同社では丸餅も製造販売している。

もともと1973年に販売を開始した「サトウの切り餅」がヒットした同社だが、丸餅のほうも1980年から販売しているそうで歴史は古い。ちなみに丸餅の7割以上は関西圏で売れるという。

東西で分かれる餅の文化

農林水産省のサイトによれば、餅の四角と丸は、岐阜県の関ケ原を境にわかれるとされている。もっとも、明確にわかれるわけでなく境界線上にある岐阜、石川、福井、三重、和歌山では両者が混在。さらに、物流の都合で関西の文化が強かった山形県では丸餅が普及している。

自分が食べている餅の形を見れば、ご先祖さまの意外なルーツが見えてくるかも?

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