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機械に仕事が奪われる - 次はホワイトカラーのターン

手塚治虫の「火の鳥(未来編)」を読んだことがあるだろうか?この作品で描かれた未来の世界では、人類は過去の反省から、国家的に重要な判断をすべてマザーコンピューターに委ねており、その命令に絶対服従していれば、間違った未来の選択を回避できるとものと信じられていた。

リンク先を見る世界の5大都市はそれぞれのマザーコンピューターが統治していたが、ある日、ちょっとした都市間のイザコザを解決しようとネットワーク上で話合いをしていた最中に、意見が物別れとなってしまった。そして、それぞれのマザーコンピューターが、相手は頭が狂っているので水素爆弾で都市ものとも吹き飛ばすように命令をし、人類は一瞬にして絶滅してしまうのである。

もちろんこれは漫画の話であって、人類のテクノロジーはここまでは発達していない。だが、PCが生まれて40年、ネットが生まれて20年経ち、すでに多くの仕事が機械に置き換えられているのは事実である。企業からしても、雇用した後で教育をしなければならない人員を雇うより、単純な繰り返し作業であれば機械にやらせた方が正確であるしコストも安い。

派遣法の改正によって非正規雇用が容易にできるようになったこともこの流れを助長させた。付加価値のない仕事は、景気が良い時には増やし、景気の悪い時には減少させる調整弁に格下げされた。まるで機械をオンオフするような感覚である。これまで人海戦術に頼っていたような保険や証券のような営業職も、ネットサービスに置き換えられていった。この人たちはまさに、機械によって淘汰された人々である。

リーマンショック後の景気回復のスピードが、過去のどの景気回復局面よりも遅いことが問題となっているが、その理由の一つに、雇用者数の伸びが世界的に弱くなってきていることがあげられる。これはまさに上記のような機械化・IT化による効率性のアップが要因の一つとなっている。

事実「従業員一人当たりの営業利益」を見ると、実はその数値はどの景気回復局面よりも力強く伸びている。米企業は失業率が歴史的な水準で高止まりする中でも、過去最高益を更新している。2000年のITバブルの時に爆騰したIT銘柄は、将来彼らに移転していくであろう富を先取りしたという意味では、ある意味では間違ったプライシングではなかったとも言える。

ところで、国立情報学研究所の新井教授は「コンピュータが仕事を奪う」という著書の中で、将来は付加価値の低い仕事が減るだけではなく、ホワイトカラーと呼ばれる仕事も、その4割はコンピューターに置き換わると指摘する。

同著によると、コンピューターが苦手な論理的な思考を伴う作業を克服するようなAI(人工知能)の開発が進んでおり、最新のAIではセンター試験の6割を回答でき、2021年までに東大に合格するAIが誕生するとしている。そのうち東大よりも、芸大やお笑いセンター試験の方が難関となるかもしれない。

リンク先を見るホワイトカラーであっても、「私の仕事は大丈夫」と思い油断をしていると、テクノロジーの進化に追いつかれて職を失うか、給料が下がってくる恐れがある。火の鳥(未来編)の設定は西暦2300年だが、このペースであれば、もっと早くに人間が機械に管理されるような時代が来るかもしれない。

人間というのは、世代を重ねてもその愚かさは変わらないが、一方でテクノロジーは完全に次世代へと引き継がれ、常に進化していく。百年後の未来、機械では決して真似できない生身の人間の希少能力とは、「愚かであること」だけになっているかも知れない。

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