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創業20年の建築業者社長から学んだ「部下が付いてくる」振る舞い方

先日、駅近の焼き鳥屋で1人寂しく夜飯を食べていたところ、高校の時にバイトをしていたドン・キホーテの先輩とばったり出くわした。

彼は今、建築の仕事をしており部長ポストで働いている。その日は建築業者の社長と飯を食べに来たとのことだったが、久しぶりに会ったので一緒に食事をすることになった。その社長は気前がよく、「後輩の後輩はオレの後輩みたいなもんだからな。笑 ごちそうしてやるよ!」といったノリで誘ってくれた。

その会社は都内に事務所を持っており、今年で創業20周年、従業員は正社員が10名程度(建築業界ではあまり正社員は雇わないらしい)、アルバイト(いわゆる日雇い労働)を含めると50〜60人規模の会社だ。

普段はWeb業界人、たまにイベントや広告関係の方としか会わないので建築業界の人と話す機会は少ない。いいチャンスだと思い、色々な話を聞いたのだが、その中でも建築業界で最も顕著な親方のカリスマ性、部下がついてくる秘訣について聞いてみたので共有を。

1.文句を言われたくないなら距離を置け

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まず、話をしていて感じたのが私の先輩である現部長ポストの彼が明らかに黙り込んでいる。ほとんど社長と私の会話にうなずいているか、「そうですね」と返事をするぐらいだった。

私からすると、話しやすい社長だったし話も面白く、緊張する要素はなかった。が、その会社の話になり、最近やたら文句を言ってくる社員の話になると徐々に部長も話始めた。

文句を言う社員はアルバイトの人達は仕事ができなさすぎるから、新しい人を雇ってくれということを度々言ってくるそうだ。

会社としては経験を詰ませた人を辞めさせて新しい人を雇うのは求人紙に載せる広告料もかかり、教育コストもかかるためなるべく避けたい。しかも、その社員以外からはそういったクレームはない。だが、その文句をいう社員は一番仕事のできる社員のため、会社にはなんとか残しておきたいそうだ。

部長がこの悩みについて社長に聞くと、「それはお前(部長)の問題だろ」とひと言。

社長は「文句を言われるような立ち位置に居るのが悪いんだよ。お前とあいつの距離感が近すぎるから文句言われるんだろ?」と言い、私はふむふむと思いながら話を聞く。

社長:「オレはあいつから文句言われたことは無いし、お前だってオレに文句言ったことないだろ?なんでだと思う?」

部長:「いや、それはまぁ怖いっていうのもありますし、自分で何とかしたいと思うということもあります。」

社長:「じゃあ、お前もそうなればいいんじゃん。あいつだってオレに言わないってことは絶対解決しなきゃいけない問題じゃないし、お前に言えばあいつの居心地の良いようになると思われてるから言うんだろ。 あいつが一番できるなら、あいつにアルバイトの教育もやらせろよ。」

なるほど。たしかに、社長のオーラみたいなものは見た目が厳ついのもあるが、喋り方から座り方から感じ取れる。

この距離感というのは非常に難しいものではあるが、慣れ慣れしくイジってくるような関係にはならずに、建設的な意見や本当に深刻な悩みの相談は受けるような立ち位置になるということだ。

社長は普段から社員とはよく飲みにいくそうだが、酔っていても絶対に近すぎると判断すれば自分から距離を置いたり、少し雰囲気を変えたりしているという。

酔っぱらって肩を組んでくるようなことがあれば、すかさず一喝して若干距離を置く(でも、本当に怒るわけではなく、やや冗談か本気かわからない程度で)。

上手く距離感を置くことで、提案や意見ではなく単なる愚痴のような文句は絶対に言わせないようなオーラを身につけているのだ。

2.ビジネスのヒントや、ちゃんとした意見には耳を傾ける

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ここまでの話を聞くと、とんでもない独裁経営者だな。と思われるかもしれない。
私も経営の話を聞いて、距離感を置けという話を聞いてる時は「これだと普通に社員辞めちゃうんじゃないの?」と思った。

しかし、建築業界全体の話になり、どこも経営は厳しいから新しいビジネスも考えなきゃなぁ。という話になるとすかさず質問攻めしてきた。

私がWebやITの分野で仕事をしていて、わりと新しいものはチェックしているという話をすると、建築業界と上手くやれそうなビジネスは無いのか?という質問をしてきた。

そこで、ハードプロダクトで最近重宝されているクラウドファンディングや、安価になってきた3Dプリンタについて私が知っていることを全て話した。

この話をしている時はわからない点があれば、恥ずかしがらずに「3Dプリンタって何?」「どういう製品がクラウドファンディングっちゅーやつで流行ってるの?」など30分ぐらい話していたと思う。

3Dプリンタの話になったときは、建築に使うモデルとかをこれで作れば簡単だね。という話もしたのだが、その会話には部長も参加し、社長も意見を取り入れていた。

社員やアルバイトと絶妙な距離感を置く一方で、会社の成長に役立つ情報に関しては誰に対してであれ、積極的に意見を求める。

時間のムダになるような文句は言わせないが、しっかりと考えられた提案や意見には耳を傾けて一緒に議論する。

この他にも喋り方などもポイントだとは思うのだが、上記の2点「近すぎないよう、距離を置く」、「ちゃんとした”意見”には耳を傾ける」は親方として生きていくためには重要な要素なのだろう。

慣れ慣れしく話しかけてくる社員と距離を置くのは苦手な人も居るだろうけど、それは経営者としての素質と言えるのかも。

スタートアップだと、人数も少ないし同世代・友達と起業する人も多いので、全ての人にオススメできるわけではないが、雇用する人数が増えてきたら頭の片隅に置いておくと良いかもしれない。

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