- 2021年12月13日 09:40 (配信日時 12月13日 08:15)
「弟がいる長女は文系を選びやすく収入が低い」きょうだいの組み合わせが人生に及ぼす意外な影響
1/2きょうだいの組み合わせはその人の人生に影響があるのか。拓殖大学准教授の佐藤一磨さんは「弟がいる長女のほうが男性が少ない職場で働き、所得水準が低くなる傾向にある」という。その理由とは――。
※写真はイメージです - iStock.com/AzmanL
兄弟姉妹の組み合わせによって人生は変わるのか
我々人間はさまざまなものから影響を受けて成長します。この中でも大きな影響を及ぼす要因の1つとして、家庭環境があげられます。
家庭環境は子どもの成長に大きな影響を及ぼすと考えられ、経済学でもこれまでさまざまな分析が行われてきました。
この中で最近注目を集めつつあるのが「兄弟姉妹の組み合わせ」です。ここでの「兄弟姉妹の組み合わせ」とは子どもが2人以上いる場合において、同性のみなのか、それとも異性も含まれているのかという点を指しています。
子どもを持つ親にとって、何人の子どもを持つのかという点は自分たちでコントロールできますが、生まれてくる子どもの性別まではコントロールできません。
このコントロールできない子どもの性別の組み合わせが子どものその後の人生(所得水準、職種、高等教育機関における専攻、結婚・子どもの有無や配偶者の特徴)に影響を及ぼすのかという点が分析されています。
結論を先取りすれば、デンマークやアメリカの研究から「兄弟姉妹の組み合わせは子どもの人生に変化をもたらす」ことがわかってきています(※1)。
※1デンマークのデータを用いた研究は、Brenøe, A.A., 2021. Brothers increase women’s gender conformity. J Popul Econ. アメリカのデータを用いた研究は、Cools, A., Patacchini, E., 2019. The brother earnings penalty. Labour Econ. 58, 37–51.
弟がいる長女と妹がいる長女の違いに注目
デンマークやアメリカの研究で注目されているのは、第1子が女の子(長女)であった場合です。ここで第2子が男の子(弟)なのか、それとも女の子(妹)なのかによって、長女のその後の行動に変化が生じるのかという点が検証されています。
なぜ弟がいる場合と妹がいる場合で、長女の行動に変化が生じると考えられるのでしょうか。
この点に関して、デンマークとアメリカの研究は2つの理由を指摘しています。
兄弟姉妹の組み合わせによって親の行動パターンが変わる
1つ目は、「親の行動パターンの変化」です。
「長女・弟」と「長女・妹」では親の子どもへの接し方に変化が生じると考えられます。この背景には、親は自分と同じ性別の子どもの方が一緒の時間を共有しやすいといった傾向があるためです(※2)。
例えば、男の子の場合、ある程度の年齢になると野球やサッカーといったスポーツをやることが多くなりますが、このような活動は母親よりも父親とやることが多いでしょう。
また、女の子の場合、成長とともにオシャレやメイクに興味を持つようになりますが、このような活動は母親とやることが多いでしょう。
このように、「父親は男の子」と「母親は女の子」と共に過ごす時間が多くなるため、「長女・弟」の場合だと、より同性の親の影響を強く受けるようになります。子どもはこの中でさまざまな行動や考え方、社会的規範も学んでいきます。
この結果、「長女・妹」と比較して、「長女・弟」の場合ほど、より伝統的な性別役割分業意識を持つようになると考えられます。
つまり、「長女・弟」の場合ほど、「男性=仕事、女性=家事・育児」という考えを意識し、それに準じた行動をとりやすくなるわけです。
※2 Brenøe, A.A., 2021. Brothers increase women’s gender conformity. J Popul Econ. の分析によれば、弟がいる長女ほど幼少期に母親と過ごす時間が増え、父親と過ごす時間が減少することがわかっています。
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