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ファーストリテイリング、持続可能なビジネスモデルへの転換を発表 環境・人権対策を強化へ

柳井康治取締役

ファーストリテイリングはこのほど、2030年に向け、持続可能な社会と事業の成長を両立させる新たなビジネスモデルへと転換することを発表した。同社がこれまで、品質やデザイン、価格などを通して追求してきた、あらゆる人の生活をより豊かにする「LifeWear (究極の普段着)」の考え方に、環境・人権・社会への取り組みを加え、標準化していく方針だ。具体的には、2030年までに素材の約50%をリサイクル素材などの環境負荷低減素材にし、店舗でも環境負荷削減に取り組むほか、ウイルグル族の強制労働問題で注目を集めるサプライチェーンのすべての縫製工場を来年3月をめどに開示する。(サステナブル・ブランド ジャパン=小松遥香)

LifeWearを再定義

「LifeWearを新しい産業にする」――。柳井康治取締役兼グループ上席執行役員は記者会見でそう語った。ファーストリテーリングがこれまで考えてきた「LifeWear(究極の普段着)」づくりに環境・人権・社会への配慮を組み入れることで、「今までにない服やファッションのあり方、事業モデルのあり方を世の中に提示し、持続可能な社会に貢献する衣食住の中の衣料分野において新しい産業革命を起こしたい」と説明した。

つくって終わりではなく、長く着ることのできる服をつくり、さらに着終えた服を再生・再利用するという循環型のビジネスモデルに本格的に取り組み、さまざまなサービスや技術を開発し提供していくという。

柳井氏は「LifeWear=サステナビリティではない。LifeWearという概念はサステナビリティ以上の存在になりうる」と語り、このほど、環境・人権・社会に関する取り組み、そしてそれを下支えする基盤体制の強化に関して、多岐にわたる具体的な新目標を設定したことを強調した。


取引先の間接排出量、2030年までに20%削減


環境への取り組みについては、オフィスや店舗など自社領域において2030年度までに温室効果ガスの排出量を2019年度比で90%削減する。全世界の店舗と主要オフィスの使用電力を2030年までに再生可能エネルギーに切り替え、2023年中にエネルギー効率の高い店舗設計を施したプロトタイプ店を出店する。

一方、事業全体の排出量の90%を占めるサプライチェーンの取引先に関しては、2030年度までに2019年度比で20%削減することを目指すという。これに関してはファッション業界他社は、ZARAを擁するインディテックスが材料調達に関連する取引先での間接排出量を2030年までに2018年比で20%減に、H&Mは2030年までにサプライチェーンをクライメート・ニュートラルに、2040年までにバリューチェーン全体においてクライメート・ポジティブ(温室効果ガスの排出量よりも吸収量が多い状態)を目指す目標を掲げている。

ファーストリテイリングは、素材については2030年度までに全使用素材の約50%をリサイクル素材や低環境負荷素材などに切り替えていく方針。また商品が顧客に届くまでに生じる資材に関しても削減や切り替え、再利用、リサイクルを実施して、廃棄物を実質ゼロにすることを目指す。さらに植物系素材や動物系素材に関してはそれぞれに調達方針を定め、倫理的で責任ある方法で原材料を調達するという。

人権の取り組み強化へ 新チーム立ち上げ

サプライチェーンの人権への取り組みについては、サプライチェーンの透明性を高め、サプライチェーンにおける人権、労働環境、環境に関する問題を特定し「確実に是正していく」とした。これまで開示してきたのは主要な縫製工場・素材工場のみだったが、来年3月からすべての縫製工場を開示する。さらに今年7月には、全世界で100人体制のプロジェクトチームを立ち上げており、これからは素材調達の最上流にいたるサプライチェーン全体で人権デューディリジェンスを実施し、人権リスクの早期把握を目指す。

また、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)によって2020年に指摘されたウイグル族の強制労働問題への関与については改めて否定した。同問題に関しては、第三者監査であっても中国での透明性のある実態調査の難しさから、疑わしい限りは取り引きを停止することが最善とされているが、同グループの新田幸弘執行役員は「第三者認証などを通じて確認しているが、人権侵害問題は起こっていない」とした。今後、ファーストリーテリングは7月から稼働する新たなチームの下で、第三者認証のみならず自社による訪問も新たに実施していくという。

ファーストリテイリングは、こうした新たな取り組みを加速させるためにもダイバーシティ&インクルージョンを加速させ、従業員の個と多様性を尊重し、それぞれが能力を最大限発揮できる体制をつくる。その一環として、2030年度までに全世界で管理職の女性比率を50%に引き上げる方針。

同時に、同社やファーストリテイリング財団、柳井正財団の3者での社会貢献を世界規模で拡大し、2025年度までに100億円規模を社会貢献活動にあてる。

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