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米11月雇用統計:労働市場の改善に取り残される黒人と中卒

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Johnny Silvercloud/Flickr)

Black And People With Less Than A High School Diploma Left Behind In Overall Labor Market Recovery.

米11月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比21.0万人増となり、こちらでご紹介したように年初来で最も小幅な伸びにとどまりました。一方で、失業率は4.2%、労働参加率は61.8%とそれぞれ2020年3月以来の水準へ改善。平均時給は労働参加率の改善を一因に、市場予想以下にとどまりました。米国債は利回り低下で反応しましたが、これは米国債発行高の減少観測に加え、長期債の利回り低下は利上げによる景気減速を先取りしたようにも見えます。年末商戦は高水準を維持しつつ、前年割れとなったのは、需要の先食いのほか貯蓄率の低下が考えられます。何より、インフラ計画の成長押し上げ効果は限定的とされるだけに、2021年のような高成長は想定できません。

それはともかくとして、ここでは業種別の就労者数の変化や平均時給を始め人種や学歴別など詳細を拾っていきます。

〇業種別、生産労働者・非管理職部門の平均時給

生産労働者・非管理職(民間就労者の約8割)の前月比で0.5%上昇の26.40ドル前年比は5.9%の上昇と経済活動が再開し始めたばかりの2020年5月以来の上昇率を遂げた。

業種別を前月比でみると、同部門の平均時給の伸び以上だったのは13業種中で4業種にとどまり、前月の9業種を下回った。しかも、今回は1位の業種が全体を底上げするかたちとなった。1位は年末商戦を受け従業員確保が命綱となる輸送・倉庫で2.1%上昇。2位はその他サービス(0.6%上昇)、3位は教育・健康と金融(0.5%上昇)が並んだ。一方で、今回前月比で下落した業種は1業種と、前月と変わらず。デルタ株感染拡大中に賃上げが最も著しかった娯楽・宿泊のみ0.2%下落した。同業種の賃上げ後退は、人手不足解消に伴い賃金が急速に正常化に向かう可能性を示唆するか、注目される。なお、前月下落した工業・伐採は上昇に転じた。

チャート:業種別でみた前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額

(作成:My Big Apple NY)

〇労働参加率

労働参加率が61.8%2020年3月以来の水準を回復するなか、働き盛りの男性(25~54歳)も改善が優勢となった。25~34歳の全米男性のみ低下したが、他は全て改善し2020年3月以来の水準を回復している。以下、季節調整済みで、白人は季節調整前となる。

・25~54歳 88.2%、2020年3月(89.0%)以来の高水準>前月は88.1%、20年2月は89.1%
・25~54歳(白人) 89.4%、20年3月(90.3%)以来の高水準>前月は89.2%、20年2月は90.6%
・25~34歳 88.0%<前月は88.2%と20年3月(88.7%)以来の高水準、20年2月は89.0%
・25~34歳(白人) 89.4%、20年3月(90.4%)以来の高水準>前月は89.3%、20年2月は90.7%

チャート:働き盛りの男性、労働参加率は25~34歳の白人を除き低下

(作成:My Big Apple NY)

働き盛りの女性の労働参加率も改善したが、特に25~34歳は20年2月以来の水準へ上昇した。

・25~54歳 75.6%、20年3月(76.2%)以来の高水準>前月は75.4%、20年2月は76.8%
・25~34歳 77.2%、20年2月(78.2%)以来の高水準>前月は76.3%

65歳以上の高齢者の労働参加率は、男女でまちまちとなった。男性は23.8%と前月と変わらず、20年11月以来の高水準となった9月の24.0%を下回ったままだった。一方で、女性は15.6%と、2020年10月以来の水準を回復した。

〇縁辺労働者

縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は前月比で2.0%減の585.9万人(男性は252.3万人、女性は333.6万人)。3ヵ月ぶりに減少した背景は、男性が増加した一方で、女性が4.7%減少していたため。ただ、女性は5ヵ月連続で男性を上回った。

チャート:職を望む非労働力人口は10月に減少も、男女共にコロナ前の水準超えを維持

(作成:My Big Apple NY)

〇男女の失業率、労働参加率
男女の失業率は、そろって20年2月以来の水準へ改善した。男性は4.2%と20年3月の4.4%を下抜け、20年2月(3.5%)以来の水準となった。女性も4.3%と20年3月の4.4%を下回り、20年2月(3.4%)以来の低水準だった。

男女別の労働参加は、そろって改善し20年3月以来の水準を回復した。男性が67.8%と20年3月(68.5%)以来の高水準となったほか、女性は前月の56.0%から56.2%へ上昇し、8月に続き20年3月(57.1%)以来の高水準を回復した。

男女で失業率や労働参加率が改善したとはいえ、就業者数を20年2月比では、女性の回復ペースが男性より鈍い状況に変わりはない。ただ今回、男女ともにヒスパニック系で改善が著しく、ヒスパニック系女性は10月に比べ11月は白人より下げ幅を縮小ヒスパニック系男性に至っては、今回初めて20年2月比で増加に転じた。

チャート:男女・人種別の就業者数、20年2月との比較

(作成:My Big Apple NY)

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