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プレミアム戦略が裏目に出た…同業他社との協業が進まないスターフライヤーに残された道

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北九州を拠点とする航空会社スターフライヤーが窮地に立たされている。生き残りをかけて航空会社間では提携が進んでいるが、「プレミアム戦略」を採ってきたため、孤立を強いられているのだ。同社の白水政治社長に生き残り策を聞いた――。(取材・構成=航空ジャーナリスト・北島幸司)

北九州空港の滑走路を走行するエアバスA320型機 北九州空港を離陸するエアバスA320型機 - 筆者撮影

提携先が見つからない「スターフライヤー」

新型コロナの感染拡大で利用客が激減した航空業界は、生き残りをかけて大手との系列以外でも企業間の提携が進んでいる。

利用客を奪い合うのではなく、エアライン同士が助け合ってチケットを販売し、共同でプロモーションをする枠組みが出来上がりつつある。最大手のANAやJALを基軸にした企業グループが生まれていると言える。

だが一つだけ例外がある。北九州市に本社を置く「スターフライヤー」(SFJ)だ。

同社は2002年12月に誕生した中堅エアラインだ。2021年3月期決算(単体)では、前期比54.7%減の182億9500万円、最終損益の赤字額は100億6700万円だった。赤字額、売上高ともに11年の上場以降で最悪で、旅客数が前期比72.6%減の約45.7万人に落ち込んだ。

文字通り経営危機に直面し、他社との提携は生き残るうえで欠かせない。しかし、スターフライヤーには、コロナ前から続くANAとの共同運航以外に提携先を見つけられていない。

独自路線をいくスカイマークは別として、なぜスターフライヤーだけが「仲間はずれ」にされているのか。長期化するコロナ禍を孤軍で生き残ることができるのか。同社の白水政治(しろうずまさはる)社長へのインタビューを踏まえ、考察したい。

スターフライヤーの置かれた立場

スターフライヤーは創業以来、独自の「豪華すぎないプチプレミアム」路線で順調に業績を伸ばしてきた。

1996年に誕生したスカイマークや、北海道が拠点のエア・ドゥも含めたエアライン各社は、多客高頻度の輸送で収益を上げるモデルを採用しているが、この流れに真逆を行く戦略を採ったことになる。

スカイマークは(後に全国展開するが)当初は羽田―福岡、エア・ドゥは羽田―新千歳という、高い収益が見込める高需要路線でスタートしている。それに対し、スターフライヤーは福岡県、第二の都市である北九州市を拠点に出発した点も異色だ。

スターフライヤーのプレミアム戦略の要諦は快適な機内環境にある。エアバスA320は6座席×25列で150人が搭乗できる。同型機を使うピーチやジェットスター・ジャパンは6座席×30列だ。つまり、スターフライヤーはシートピッチが34~35インチ(約86~89cm)ほど確保され、先述2社よりも最大10cmほど広い。

また、全席でタッチパネル式の液晶モニターがあり、ニュース番組、ドラマや音楽などが楽しめる。国内線で完備されているのも同社だけだ。黒塗りの機体塗装や、全席黒の革張りシートも高級感を演出している。

機内で提供されるコーヒーとチョコレート 機内で提供されるコーヒーとチョコレート - 筆者撮影

ブランディングも黒を基調に洗練されたもので、女性のファンも多い。

プレミアム戦略は、米国で失敗例が多く航空業界のタブーとされていたが、スターフライヤーは多くのユーザーから支持を集めることに成功した。

ところが事態は一転した。コロナ禍の生き残りの懸けた「企業の提携」という局面では、この戦略が足かせになってしまったというのが筆者の見方だ。

同業他社は続々と提携を図るが……

最大の問題は「提携先が見当たらない」という点だ。

スターフライヤーのエアバスA320型機 スターフライヤーのエアバスA320型機 - 筆者撮影

規模はスターフライヤーより上の中堅エアライン2社(エア・ドゥ、ソラシドエア)は2021年5月に共同持株会社の設立で合意している。

フジドリームエアラインズ、アイベックスエアラインズ、ANAウイングス、J-AIRの地域航空4社は2020年12月、「リージョナル航空協議会」を立ち上げ、連携強化を図った。

2021年9月には、「地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合(EAS LLP)」のANA、JAL、天草エアライン、オリエンタルエアブリッジ、日本エアコミューターの計5社による共同プロモーションが開始した。

コロナ禍の長期化を懸念するエアライン同士が助け合って販売するスキームであり、最大手のANAとJALが、部分的に手を組む関係も生まれている。

図表1は、日系の主要エアラインを、輸送量を示す有償旅客キロ(RPK)でランク付けしたものだ。ANA系(青)、JAL系(赤)で系列を示している。どのランクのエアラインがどう提携しているのか、この表から読み取って頂きたい。

図表=筆者作成

業界3位のスカイマークはANAからの出資はあるものの独自路線を進んでいるが、ピーチ、ジェットスター、スプリングのLCC3社は、それぞれコロナ禍明けのレジャー客を取り込むべくANA、JALとの協力関係をより強固にしている。

このように中堅エアラインでは、各社がこぞってANAとJALの最大手以外にも提携先を見つけ、協力体制を強化しようと動いている。

スターフライヤーはどうだろうか。就航開始したのは2006年3月、そして翌年6月には早々にANAとの共同運航を始めた。現在ではANAの共同運航枠は全席の5~7割に達し、まさにANA頼みの経営を続けている。一方、スターフライヤーは中堅エアラインから見事に仲間外れにされている。

それは何故か? スターフライヤーがプレミアム戦略を取っているため、提携した場合にサービスのバランスが取れなくなり、提携相手のメリットが乏しいからだと言える。

提携の基本は共同運航だ。この場合どの時間帯にも同じ機材が飛べばいいが、シートピッチが広いスターフライヤーの便に予約が偏ってしまえば、提携するもう一社は面白くない。同ランクの提携が進まなかったゆえんである。スターフライヤーはANA以外で提携できるエアラインが無いということを示している。

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