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ゼロリスク、ゼロコロナ追求で失う重大な勝因

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ロサンゼルス国際空港(カリフォルニア州ロサンゼルス)の国際ターミナル内で稼働するCOVID-19検査センター(2021年12月01日) 出典:Photo by Mario Tama/Getty Images

照井資規(ジャーナリスト)

【まとめ】

・ゼロリスクを追求すると勝機を逃してしまうため、状況のうち70%程度が「読めた」段階で行動に移す。

・「わかりやすい目標」は要注意、実効的なリスク管理には努力が必要

・最大の障害は、論破と独断専行

ゼロリスクを追求すると「時間」を失う

「リスクをゼロに」「ゼロコロナ」を追求することは危機管理を正しく行えていないことの他ならぬ証左である。世の中に完全というものはないのであるから、リスクをゼロにすることはできない。戦術では最悪の事態を想定することは当然であるが、ゼロリスクを追求していては時間がかかりすぎて勝機(勝つためのチャンス)を逸してしまう。そのため状況が70%程度「見えた」段階で、致命的な損害を被らない程度に対策を講じて行動に移すことになる。

出来ないことを追求することで貴重なものを失ってしまう。その最たるものは「時間」だ。時間は戻すことができない。本来であれば、補えるリスク、補えないリスクに分けて優先度の高いものから対処していくもので、「時間」は総じて他の要素よりも優先される。

戦闘といえば、勝ち負けにこだわりがちであるが、実は時間までに任務を達成することが最も重要だ。戦争において、当面の戦闘が全てではなく、次の戦いが控えているもので、時間をかけすぎてしまえば一度の勝利など、一度の敗北で簡単に優位を失ってしまいかねない。「勝機を待つ」「待てば海路の日和あり」の言葉もあるが、それは先に獲得した余裕の中で行うものである。戦争そのものが長引けば、敵国は新型の武器を開発し、新たな兵士を訓練して送り込んでくる。何よりも経済力の負担が限界に達しては戦い続けることができない。大東亜戦争において犠牲者が急激に増加し始めたのは、早期講和の機会を失ってからであるし、コロナ禍対策においても、あと数ヶ月ワクチン接種開始が早ければ東京オリンピック・パラリンピックで相当な経済効果を得られたはずである。優秀な指揮官とは常に時間を味方にできる者である。

勝つための70%ルール

▲図 「行動し目標達成するための70%ルール」(2021年11月6日) 制作:照井資規

図「行動し目標達成するための70%ルール」にあるように、戦術では状況のうち70%程度が「読めた」段階で行動に移す。敵は行動を秘匿して攻めてくるのであるから、敵状が100%判明することはあり得ない。よくて30%程度が「見える」のであり、兆候や地形などの条件と戦術的妥当性からの推察により、見えない部分の40%は「読む」ものだ。故に、敵の指揮官の性格なども要素に入れて「敵の可能行動」と「我の行動の実行可能性」を比較検討し勝機を見つけていく。残る30%は実際に戦ってみないことにはわからない。予測が外れた場合に備えて予備戦力を確保しておき、O/C「我の行動方針」※1も敵の出方に備えて複数用意する。

準備を進めていく中で「方針」は「計画」へ、続いてそれぞれの「作戦」O-1、O-2、O-3※2へと具体的なものになる。命令1つで部隊が一斉に行動を変えられるのは、こうした周到な準備によるものだ。業務は期限までに限られた時間内でできるだけのことを逆行的に進めていく。自衛隊を含め各国の防衛組織が時間に大変厳しいのはこのためである。

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