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思い通りにならなければ批判?企業の「毅然とした対応」を求める人々

写真AC

11月22日、大阪市の梅田ロフトで行われていた、イラストレーターrurudo氏の個展で、展示展開に配慮が欠けたところがあったとして、店が謝罪を行った。(*1)(*2)

配慮に欠けたとされる展示内容は、全裸の女性の胸や股間がリボンで隠れている内容のイラストで、性的なシーンが描かれているわけではないものの、かなりきわどい内容であった。これが入り口付近の通路から、来店客であれば誰でも見られる場所に掲示されており、適切なゾーニングがされていないとしてTwitterなどで拡散、問題視されていた。

梅田ロフト側は問題を把握し、謝罪のうえで、通路から見えないようにカーテンを掛けて展示を継続。当初の予定通りの展示日程を終えた。

梅田ロフトは「フェミに屈した」のか

さて。この問題。

きわどい内容のイラストの展示がされていたが、適切なゾーニングがされておらず、子供などにも見えてしまうように飾ってあったことから、Twitterで問題視され、それに対して店舗側が謝罪のうえでゾーニングを行った。

話としてはそれで終わっているのである。では、僕は何を気にしているのだろうか。

それは、謝罪のうえでゾーニングを行った梅田ロフト側を批判する人たちがいることを気にしているのである。その批判とはどういう内容なのだろうか。それは、「フェミに屈するな!」「文句を言っているのはノイジーマイノリティだ!」「クレーマーを優遇するのか!」「暴力団に屈したのと同じだ!」「本物のお客様の言葉にこそ、耳を傾けるべきだ!」といった批判である。

批判をした人たちは、苦情を入れたのは「フェミニスト」だと考えており、フェミニストたちが、嫌う表現を排除しようとして、梅田ロフトに苦情を入れたと思い込んでいるようである。そして彼らの認識ではフェミニストというのは、一度要求を飲んでしまえばそこにつけこんでさらに要求を繰り返してくるのだという。だから「暴力団に屈したのと同じだ!」という。そのうえで、大半のお客は文句も言っていないし、展示を楽しんだ人もいるのに、謝罪をするとは何事だというのが「本物のお客様の言葉にこそ、耳を傾けるべきだ!」という批判の意味らしい。

そして、そんな彼らの意見の中でも、特に目立った批判が「ロフトは毅然とした対応をするべきだ」という意見だった。僕としては、問題があるとするお客様の意見を聞いて、それを真剣に受け止めて謝罪をすることは、客商売をするうえでは当たり前のことだと思うのだが、どうやら彼らは「フェミニストの言うことを聞いて、対応する」という梅田ロフト側の態度が嫌だったらしい。

Getty Images

批判されたPRマンガを再掲し賛美された例も

彼らの批判を見ていくと、一方で「毅然とした対応だ!」と褒め称えられている事例があった。それは2020年に東洋水産の商品「マルちゃん正麺」が掲載したPRマンガに問題があるとして騒がれた問題である。

マンガの内容は、妻がいない昼下がりに、旦那が子供と一緒にマルちゃん正麺の豚骨ラーメンを作って食べる。子供は豚骨ラーメンと言えずに「ぽんこつラーメン」と言う。夜になり、妻が帰って来るとラーメンを食べたという話になって、旦那が「ぽんこつラーメン」と言う。妻が洗い場を見ると、洗っていない食器がそのまま残っており、妻と旦那が食器を洗うという内容だ。

つまり、「とんこつ=ぽんこつ」「食器をちゃんと洗わなかった=ぽんこつ」という言葉をかけているマンガで、ほのぼのとさせられる内容だった。ところがこれに対して、一部の人たちがSNSで「なんで旦那は食器を洗わずに、妻に洗わせるんだ!」などと吹き上がった。(*3)

これに対してマルちゃん正麺側は一時的に該当マンガを削除したうえで、意見を踏まえて、内容について精査すると発表。後日、該当マンガは再掲載されたのである。(*4)(*5)これを一部の人たちは「マルちゃん正麺はフェミのイチャモンを突っぱねた!」として賛美しているのである。

「毅然とした対応」は特定の顧客の言いなりになることではない

事実は、批判の意見を受け入れ、ゾーニングを行い謝罪した梅田ロフトと、批判の意見を受けて内容を精査したうえで、マンガを再掲載したマルちゃん正麺というだけである。ところが彼らにとって、こうした話題は「フェミのイチャモンに企業が屈するか突っぱねるか」という二元論的な話として認識されているようだ。

しかし、「毅然とした対応」というのは、決して相手の意見を無視したり、嘲笑って却下することではない。最終的な意思決定を企業が自ら明確に行うことが、企業にとっての「毅然とした対応」なのである。

僕は、今回の梅田ロフトの件も、マルちゃん正麺の件も、そのどちらもが「顧客からの批判を受け止めたうえで、企業としてハッキリした決定を行った」という点で、同じように誠実な態度であったと考えている。どっちが正しいか正しくないかではなく、どちらも決定権をもつ企業が顧客に向かい合ったうえで決めたことなのだから、僕はそれを尊重する。

企業がその責任において決断したことに対し、自分たちにとって都合のいい決定ではないからと「毅然とした対応をしろ=フェミの主張を突っぱねろ」と文句を言うのはもちろん、自分たちにとって都合のいい決定だったからと称賛することは、企業の自主性を蔑ろにした極めて傲慢な態度である。

企業は特定の顧客の言いなりになる必要はない。だからこそ、「毅然とした対応をするべきだ」という、企業に自分たちの意見を代弁させようとする文句に対しても、企業自身が自分たちの決定をもって、毅然と対応して欲しいと、僕は考えている。

*1:梅田ロフト謝罪 イラストレーターrurudo氏個展の展示方法「配慮に欠けた」「ご不快な思い」(スポニチアネックス)https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/11/22/kiji/20211122s00041000469000c.html
*2:梅田ロフト 催事についてのお詫び(株式会社ロフト)https://www.loft.co.jp/shop_list/info.php?shop_id=143&info_id=360361
*3:マルちゃん正麺のPR漫画を巡り「最後で台無し」「批判に屈しないで」と議論に 第2話は公開延期(ねとらぼ)https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2011/14/news032.html
*4:「11月11日に投稿した「親子正麺」第1話に関しまして、様々なご意見を頂戴しております。 今後の掲載につきまして現在精査しております。 ご迷惑をお掛けし大変申し訳ありませんが、 しばらくお待ちいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。」(マルちゃん正麺 Twitter)https://twitter.com/maruchanseimen_/status/1327053568239562752
*5:「この度、弊社プロモーションである「親子正麺」に対して様々なご意見を頂戴いたしました。 いただいたご意見を真摯に受け止め、次回以降の内容を精査したうえで本作品の公開を11月25日(水)に再開いたします。」(マルちゃん正麺 Twitter) https://twitter.com/maruchanseimen_/status/1328885957429391362

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