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立憲民主党は代表が交代しても共産党との「共闘」を検討すべきだ〜田原総一朗インタビュー

共同通信社

野党第一党の立憲民主党の代表が交代した。枝野幸男前代表が今秋の衆議院選挙で議席数を減らした責任を取って辞任。11月30日に代表選が実施され、決選投票の末に泉健太氏が新しい代表に選ばれた。今後は来年の参議院選挙に向けて、党の立て直しが求められる。新生・立憲民主党はどのように戦っていくべきか。田原総一朗さんに聞いた。【田野幸伸・亀松太郎】

立憲が負けたのは「共産との共闘」のせいなのか

岸田内閣が誕生して初めての国政選挙となった10月の衆議院選挙は、事前の世論調査では、立憲民主党が議席を伸ばし、自民党は議席を大きく減らすだろうと見られていた。

僕は投開票日の前日に、日本を代表する新聞とテレビの超ベテラン記者から選挙情勢を聞いたが、いずれも「明日の選挙で自民党はおそらく議席を40以上減らします」と口にしていた。

なぜなら、岸田内閣は安倍内閣と菅内閣の「負の遺産」をそのまま引き継いでいる印象が強く、国民の不満が相当に大きいからで、自民党は劣勢になるだろうということだった。

一方、立憲民主党は、野党共闘、特に共産党との共闘が功を奏して、議席を大幅に増やす見込みが高い。そのように、日本を代表するマスメディアの重鎮の記者が推測していた。

ところが、結果は全く逆だった。自民党は議席数を15減らしたものの、261議席を獲得し、絶対安定多数を確保した。岸田内閣は今回の選挙に勝利したと言ってよい。

それに対して、議席をかなり増やすと見られた立憲民主党はむしろ逆に議席を減らした。その責任を取って、枝野代表と福山幹事長が辞任する事態になった。

なぜ、立憲民主党は敗北したのか。

選挙の後、マスメディアや政治評論家の多くは「共産党との共闘が失敗の原因だ」と指摘した。

立憲と共産の基本政策は、外交や安保政策などで大きく異なっている。それにもかかわらず、選挙に勝とうして強引に共闘を進めたのが間違っていたのだ、という主張である。

さらに保守の論客は、もし立憲民主党と共産党の共闘が成功して政権を奪取した場合、共産党の影響力が政策に大きく反映されるのが問題だと批判していた。

選挙前に、立憲の枝野代表と共産の志位委員長は、政権奪取した場合の共産党の立場について「限定的な閣外からの協力」にとどまると述べていたが、保守の論客たちは「共産党がそんなふうに言うことを聞くはずがない。国民の多くもそう考えたから、立憲民主党は負けたのだ」と指摘していた。

野党がバラバラだと政権交代の可能性はほとんどない

共同通信社

だが、僕は立憲・共産の「共闘」が間違いだったとは思わない。

たしかに、立憲民主党の内部にも、共産党との共闘に批判的な議員は数多くいた。特に、連合の下部組織である労働組合の支持を受けている議員はその傾向が強かった。なぜなら、連合は「アンチ共産党」だからだ。

特に、総選挙直前に新たな連合会長に就任した芳野友子氏は反共産の色彩が強い。そのような不満がくすぶる中での共闘だったことは事実である。

しかし、それでも野党が本気で政権を奪取しようと考えるのならば、選挙での共闘は前向きに検討すべきだ。

現在の議席数からすると、立憲民主党が単独で選挙を戦っても自民党には遠く及ばない。むしろ共産党と競い合うことによって、リベラル層の支持を食い合って、お互いに足を引っ張りあう弊害が生じる。

野党がバラバラだったら、政権を奪取できる可能性は限りなくゼロに近い。

アメリカやイギリスと異なり、日本の政界は、野党がバラバラだから自民党の政権が長く続いている。そして、野党がバラバラだから、与党の神経がゆるんでスキャンダルが連発することになる。

政権交代の可能性を高めるためには、野党の共闘は必要なのだ。

今回の衆院選で立憲民主党が敗北した原因は、共産党との共闘それ自体にあるのではなく、共闘の目的や内容についての説明が不十分だったことにある。

来年の参院選でも野党共闘を進めつつ、国民に対してもっと丁寧に説明していくべきである。

ところが、今回の立憲民主党の代表選で誕生した泉代表は、共産党との共闘に慎重な姿勢を見せている。衆院選前に共産党との間で結んだ合意についても「現時点では存在しない」と述べている。

僕も、泉代表の「自民党を批判しているだけではダメだ」という主張には賛成だ。立憲民主党は自らの具体的な政策をもっと提示すべきだと思う。

しかし、政権奪取のためには野党が力を合わせることも必要だ。

来年の参議院選挙では「憲法改正」が大きなテーマになると予想されるが、この論点については、野党である日本維新の会が自民党と協調する可能性が大きい。

そのようなことも考えると、国民の意見を政治にできるだけ反映させるという意味で、立憲民主党と共産党の共闘は、今後も前向きに検討すべきである。

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