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避難者の「受け入れ方」を考える ―― 日本災害復興学会分科会3

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約6万人 ―― 原発事故による広域避難者の数である。

震災から3年がたとうとしているが、いまだに多くの人々が地元を離れ「避難者」として生活している。原発事故によって汚染された故郷。復興の見通しも立たず、いつ帰宅することができるのかも分からない。そんな不安定な状況のなか、被災者は故郷ではない場所で生活することを強いられている。

2012年10月に開催された本分科会では、原発による広域避難者にスポットを当て、避難者を受け入れた自治体はどのような対応ができるのか、避難者・支援団体・研究者それぞれの立場から話し合った。

(構成/山本菜々子)

お母さんたちを孤立させないために

所澤 共同通信の所澤です。分科会のテーマは広域避難ですが、今回はとくに原発避難について扱います。今日は6人の方にご登壇して頂きます。現在なにが課題なのかを話し合い、今後の方向性について考えて行けたらと思っています。まず、福島県郡山市から山形に母子避難をしている中村さん、よろしくお願いします。

中村 福島県郡山市から山形県山形市に、昨年の8月15日から自主避難しています。「山形避難者母の会」代表の中村です。

現在、山形県内の避難者数は2012年10月現在で1万1751名おり、その内で福島県からの避難者は1万1134名と、約95%の割合を占めています。山形市からの避難者が、4379名で39.3%、米沢市が約3000名で28%、天童市が666名ということで、3つの市で山形県内の避難者数のほとんどを占めていることになります。

各地域の特徴としてあげられるのは、置賜地区でもっとも避難者数の多い米沢市の場合、雇用促進住宅が非常に多く、福島県内からの原発避難者が雇用促進住宅毎に集中していること。一方、わたしのいる村山地区・山形市は、公共の住宅にいる方が非常に少ないです。それから海側の庄内地方に関しては、南相馬や、警戒区域内の避難者が多いそうです。

また、米沢のような雇用促進住宅が集中している場所は、どこに福島の避難者がいるのかが分かりやすく、コミュニティをつくりやすいのですが、同じ米沢市内でも借り上げ住宅の方はどこに誰が住んでいるか分からず、孤立している傾向にあります。

わたしのいる山形市も同じように借上げ住宅へお住まいの方が多いので、「どこに避難ママがいるのか」というところから、わたしたちの活動はスタートしました。

新潟県中越防災安全推進機構の資料をお借りし、避難者を「戻りたい方」「戻りたくない方」「戻れない方」「戻れる方」と4つの属性に分けて考えたいと思います。「戻りたいけど、戻れない方」は避難区域内(現在は、計画的避難区域、避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰宅困難区域の4つに分類。伊達市などの特定避難勧奨地点は12月に解除となった。)からの避難者ですね。この方々は、地元に戻る意思はあっても、強制的に避難せざるを得ない状態なので戻れません。

「戻れるのに、戻りたくない」これは、自主避難者と呼ばれる方です。避難区域に指定されていなくても、さまざまな理由で避難しています。

一方、「避難しているが戻りたい方」。山形市ではこのタイプの方が多い印象です。北海道や沖縄など遠くに住む方がいる一方で、福島と行き来できる距離に住んでいる方は、故郷と繋がっていたいという思いが強い印象です。「戻りたい」と思ってはいるんですね。わたしの周りにいるお母さん方も「いつ帰るか?」と毎日悩んでゆれています。

やはり、帰るための大義名分が欲しいんです。給食の放射性物質は自分の納得いくレベルになっているだろうか。除染の状況は、健康管理の調査は……。ということを非常に気にされています。

「戻れないし、戻りたくない」。これは避難区域のなかでも、とくに線量の高い居住困難区域等に指定された方です。現在、避難命令が出ているため、いまは戻れないし、これから先のことを考えても戻りたくないと感じる方が多い。とくに30km圏の線量の高い区域の「戻れない」方は、小さい子を持つ母親でなくても避難先に定住を望まれる傾向にあります。

また、自主避難であっても家族みんなで避難している方は、中・長期的な避難や、定住を望む傾向にあります。世帯主の仕事が決まれば、そのまま定住しようと考える方が多いからです。

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では、福島県に暮らしている人に目を向けてみます。放射能を気にしないという方もいますし、放射能を気にしている方でも、その価値観は本当に人それぞれです。外に洗濯ものを干せる方、干せない方、福島県産のものを選んで食べられる方、食べられない方。これは県外へ避難されている方でも、福島に住んでいる方でも、確率的にさほど変わらないなと感じます。

わたしたちの活動は「いつかは戻りたいけど、いまは戻りたくない」という一時的に避難している人たち、「戻れるけど、戻りたくない」という、避難先に定住して生きていこうとしている人たちをとくに支援の対象にしています。

わたしどもは自主避難者・母子避難者・避難区域内の母子のための支援団体として、置賜・村山地区中心に当事者同士の自治会である「山形避難者母の会」を組織しています。「山形避難者母の会」の方は、議員さんや行政に直接声を届けたい、賠償についてお勉強したいというお母さんたちが中心になって集まっています。こちらでは、自主避難者・母子避難者・避難区域内の方のお子さんの一時預かりや、避難母子のための交流支援、子育てサロン、習い事支援等の活動を行っています。

山形避難者母の会;http://yamagatahinanhaha.jimdo.com/

このなかで、やって良かったなと思うのは、女性目線での情報の発信と周知です。たとえば、ADR申し立てなどをしたいと考えて弁護士さんとの相談会があることを知っても、「お母さん目線」でなかったらなかなか行きづらいんですね。なんとなくハードルが高いと感じてしまう。でも、賠償のことは知りたいし、情報を集めたいとは思っているんです。だったら、みんなで情報共有をしましょうと、原子力損害賠償支援機構さんと山形県弁護士会さんとの共催で、「ママのためのお話会」というのを開きました。たくさんの方がいままで聞けなかったことをみんなでシェアできて、もう少し前に進めようと考えた方もいらっしゃったようです。

また、「A・haha(あはは)」という広報誌をつくりました。この広報誌は、ひとりの母という意味と、お母さんと子どもが「あはは」と笑おうというのをコンセプトにしています。行政のホームページに載っているような、難しい内容のもの、固い文章を噛み砕いて分かりやすい内容にし、一人で解決するのではなく、皆で解決しようという方向性でこの雑誌をつくっています。

今後の課題として、避難先から福島に戻った方への支援が必要になってくると思います。2013年の4月から、山形県内から福島に帰るお母さんが多いなあ、という印象です。じゃあ、帰ったらどうするか。いままでは、同じ避難者同士だと放射能の話を、ある意味「遠慮なし」にできました。しかし、福島県内の方に話をするときには、どこまで話をしたらいいのか分かりません。福島で放射能の話を口にするのは大変重い意味を持っているんです。

このように、地元に戻ることで複雑な人間関係にさらされる可能性がある。帰ったときに、お母さんたちが孤立しないような支援が必要だと思っています。また、福島に帰るための支援も必要でしょう。帰るための材料を皆さんに知って欲しいと思います。そのために紙媒体などをつかってお母さんたちの悩みを支援していきたいです。

そして、避難先へ定住する方への自活に対する支援も必要です。ポイントはご主人の扶養の範囲内での仕事を斡旋することです。小さな子どもがいて実家や夫の助けもなく、フルタイムで働き詰めで、お母さんたちが疲れ果て、病気になったり避難生活を諦めて地元へ帰るパターンをいままでも見てきています。フルタイムではなく、「自活できればいい」といった方向でお仕事がつくり出せればよいのではと思います。

それから、これまでのように母子避難者が孤立しないような交流支援も行って行きたいです。子どもの預け先、教育環境の充実も、支援の対象に入るのではと感じています。避難生活はお金がかかるので、塾や習い事など+αの教育の補填ができなくなった方が多いからです。

最後に。女性にとって、「共感してもらう環境」というのが一番大事なんです。放射能汚染によって共感してもらえる環境が散々分断されてきました。このことにお母さんたちは傷ついています。放射能汚染を気にする・気にしない、福島産野菜を食べる・食べないということで分けるのではなく、そういうことを受け入れて丸ごと福島として共感しましょう、という、そういう対話ができる場づくりが必要になってきたと思います。

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