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『新生銀行決選投票土壇場で考えた事』

「何で勝つのが決まっているのに止めたんですか?」とか、「北尾さん、流石に面白いタイミングで止められましたね」とかと、多くの人から様々なメールを頂きました。

新生銀行の工藤英之社長とも、御互い此の件については多くは語らない、ということで合意しており、然もそれは私が言い出したことですから余り語りはしませんが、私が此の結論を導き出した思想的背景だけ皆様に説明致しておきます。如何なる思考に基づいて今回の結論を自分で導き出したか、といったことを本ブログに認めておくということです。

一つは、「信・義・仁」という三つの漢字です。私は常に、「信…信頼を裏切るような事はないか?」「義…社会的正義に照らして正しい事か?」「仁…相手の立場になって物事を考えているか?」、これらをあらゆる判断をする場合の規矩としています。

「義」において、私は公的資金3500億円を返すことが大義であると度々申し上げてきており、之につき一点の曇りもありません。また「信」についても、「政府、新生銀の防衛策に反対検討 SBIの買収戦略を評価」ということですから、之をやって社会的信用を落とすこともありません。

では何が私を変えさせたか言えば、それは「仁」であります。あの決戦場で新生銀が完膚なきまでに仮に負けたとしたら、経営陣は兎も角どう従業員は思うか、といったことを相手の立場で今一度考え直してみたわけです。

そして、次に思い出したのが孫子の言葉、「百戦百勝は、善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」です。やはり此の孫子に従って、「善の善なる者」を追求することが上策だと思いました。

更にもう一つ最後に考えたのは、PMI(post-merger integration)です。此の統合プロセスがM&Aの成功を左右すると言われていますし、実際その通りだと思います。今回の件で間違っても、新生銀の数多の優秀な人材が進駐軍に占領されたといったふうに思ってはなりません。私が目指すは正に、新生銀行グループとSBIグループが一体となって心を一にし、そして収益力を上げ公的資金3500億円を返済するという大義を果たすこと、こそです。

それを考えると小戦に勝った負けたなどと言うよりも、寧ろ現マネジメント・工藤さんとも虚心坦懐に話をし、彼と共に此の大義のため一緒になって努力して行きたいと思いました。そうすることで、これから両グループ力を合わせてやって行くことが出来、今後生じる様々な事柄もスムーズに行くのではないかと思いました。

以上、「信・義・仁」の三文字、「善の善なる者」の追求、買収後の統合プロセス、の三点が私の頭に去来し、今回の結論に至った次第です。

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