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「パパ活はみんなやっている!」過熱するパパ活ブームの裏側 - 中村淳彦

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理由の一つは、女性の貧困が広がる社会のなかで、都心の一部に生息し、キラキラした華やかな生活をする「港区女子」と呼ばれる女性の存在が注目されたことが大きいだろう。港区女子とは六本木、麻布、赤坂などの高級歓楽街で、高収入&ハイスペックな年上男性を求めて遊び、セレブリティな日常をSNSで発信する女性たちのことだ。

日本全体で女性の貧困や雇用の非正規化による低賃金が深刻な問題となる一方、かわいく、オシャレに着飾った拝金主義の20代前半の女性たちがおじさんやハイスペック男性から奢られ、悪意ある言い方をすると、彼らにたかっていた。そんななか、2016年にパパ活という言葉が生まれ、さまざまな人がパパ活という言葉を使うようになり、2017年以降に一般社会に浸透している。

働いても自分の生活を支えられないほどの低い賃金であったり、高額な大学の学費納入に追われる多くの一般的な若い女性たちは、男性に奢られ、華やかな日常を積極的に発信する港区女子たちに、少なからず羨望の意識があったはずだ。パパ活と港区女子的な行動には、上層の年上男性とかかわることによって、お金がもらえる、利益がある、再分配される、という共通項がある。

最近よく耳にするパパ活をすることで、少しでも自分の生活が楽になるんじゃないか、未来が明るくなるんじゃないかと思うのは、決して特別な感覚ではないだろう。

そして、女性の貧困がギリギリの状態のなかで新型コロナウイルスが蔓延した。

未曽有の感染症は女性や若者たちの生活を直撃し、仕事を失って困窮したり、時間を持て余す者が激増した。必然の結果として若い女性たちのパパ活参入に拍車がかかった。それまで経済的に困った女性の受け皿は、繁華街のガールズバー、キャバクラ、性風俗店といった夜職だったが、繁華街も感染症の大打撃を受けている。いくつかの要因が重なったことで、若い女性たちが濁流のようにパパ活になだれ込んだ。

昭和からずっと続く男女格差、そして平成からはじまった世代格差、収入格差によって、どこからも利益を得る側に立てなかった若い女性たちの意識や行動様式は大きく変化している

結婚や出産は贅沢品であり、良妻賢母など夢のまた夢という社会で、高額な学費の納入や奨学金の返済に追われれば、意識が変わらないほうがおかしい。まず大前提として、若い女性たちの経済的に厳しい状況が「パパ活はみんなやっている!」という現状に繋がっている。

パパ活女子だらけのいまの状況は、伝統的に続く男性優位と高齢者優遇の社会のなかで、社会的強者である男性中高年の勝ち組に、弱者である若い女性がたかっている、と見えなくもない。類似した現象として戦後混乱期のパンパン、社会保障が行き渡っていなかった時代の物乞いなどを連想した。これが、格差が広がり続ける衰退国家の一つの姿なのだ。

2016年に生まれた「パパ活」という言葉はまだ新しく、いまは援助交際、児童買春、売春、愛人、港区女子的な行動といったものがすべてパパ活と呼ばれている。パパ活は違法という人もいて、言葉の意味や解釈は統一されていない。

実はパパ活という言葉は、交際クラブの大手事業者がマーケティングのために生みだした造語で、事業者の思惑以上に浸透した背景がある。パパ活とは「パパを探す活動」の略、または「パトロンを探す活動」という説もあり、あらゆる面で割を喰っている若い女性たちの能動的な行動から生まれた現象だ。

本書では、若い女性たちの間で常識となっているパパ活と、パパ活女子たちの行動を通じて、日本になにが起こっているのかを探っていこうと思う。

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