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ユーロ危機のくすぶり

 イタリアの総選挙は財政再建の前途は厳しいぞというような結果となった。 国民の多くは痛みを伴ってでも財政再建を成し遂げようという方向にあるのだろうが、それに反対する選挙民の声も無視できない。 将来の幸せよりも、目先の利益を求める声に押されがちになりやすいのも、民主主義政治の微妙なところである。

 ともあれ、ユーロ圏で第3位の経済規模を誇るイタリアで政策のかじ取りが相当に難しくなるだろうという読みで、ユーロはドルや円に対して大きく売られた。 米国の株価も午前中は戻り高値を更新していたものの、午後から大きく下げた。 今日の日本株も、それなりの影響を受けることになるのだろう。

 これは、ちょうど良いスピード調整となるだろうし、長期の上昇相場で欠かせない振るい落しとなる。 1日か2日ぐらいの大幅下げの後、米国や日本の株価が急反発に入れば、イタリア情勢はユーロ内のそれもイタリアの問題とローカル化される。 逆に、しばらく調整局面を迎えるとなると、そこで長期投資家の腹のすわり具合が試される。

 考えるまでもないことだが、ユーロ問題といっても世界的な金融バブル崩壊の後始末に関しては、当事者の問題と割り切ってよいはず。 たとえ、ヨーロッパや米国の銀行が証券化商品などで巨額の不良債権を抱え込んだとしても、ギリシヤやスペインなどで財政問題が浮上してきても、それらが果たしてどこまで世界経済に悪影響を及ぼすだろうか。

 リーマンショック直後は、さすがに世界中を巻き込むほどの信用不安が襲うのではないかといった懸念も広がった。 しかし、それから5年近くたった現在、世界全体の受け取り方がずいぶんと落ち着いてきた。 別に、それで世界経済が吹き飛んでしまうわけでもないだろうといった判断が、新興国や企業ビジネスの間で広がってきている。

 好例が米国だろう。 ユーロ危機や住宅不況にいつまでもとらわれてはいないぞといった雰囲気が、米国経済の立ち直り基調にもはっきり表れてきている。 3億人を超す米国の人々の日々の生活をベースとした企業活動が、いつまでも低迷に喘いでいるはずもない。 それが、個々の企業の収益動向を上向かせているのだ。

 金融バブル崩壊がらみの問題と、地球上70億余の人々の生活を支える企業活動とは、もうそろそろ切り離していいんじゃないかといった判断ができよう。 それが長期投資家の思考回路であり、先読みの行動となっていく。

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