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今日のNHKクローズアップ現代は見ものです

今日のNHKクローズアップ現代は、「密着レアアース調査船~“脱中国”はできるのか~」ですが、どう報道するのかにいやがおうでも注目してしまいます。テーマがレアアースだからではありません。報道姿勢や報道の中味がどうかです。正しく報道されるのか、はたまた文科省の予算確保を正当化しようとするPR番組なのかです。

密着レアアース調査船~“脱中国”はできるか~ - NHK クローズアップ現代 :
 
レアアースに関しては、日経新聞やNHKが間違って報道してきたことを、オリンパス問題で一躍名を轟かせた雑誌FACTAの阿部編集長が、自らのブログで書かれてきました。日経はそれでその後に記事内容を修正したり、またNHKからは阿部編集長に間違いを認める電話があったそうです。以前の報道の間違いを認めた後の番組が、クローズアップ現代「密着レアアース調査船~“脱中国”はできるのか~」ですから、阿部編集長でなくとも、「はてさてどう報道するのか、ワクワク」させられます。

時間のある人、興味のある人は、なにが問題なのかを阿部編集長のブログでご確認ください。時系列を追ってリンクを張っておきます。雑誌FACTAは有料ですが、こちらは無料です。

日経のレアアース報道のお粗末
日経より悲惨なNHKのレアアース報道
日経のレアアース報道のお粗末2
27日のNHK「クローズアップ現代」はチンドン屋になるか


さて、お忙しい方のために、このブログやそれまでのFACTA記事から、かいつまんでレアアース報道のなにが問題なのかをまとめておきます。

■中国のレアアース産業が壊滅的な打撃を受けていることは事実としても、その原因は、レアアースを使わない技術開発が進んだわけでも、他の産地が稼働し始めたわけではない。いくらなんでも2~3年で鉱山の開発や技術開発ができるわけがない

■中国のレアアース産業を襲っている問題は、レアアース・バブルの崩壊で価格が急落してしまったこと

■レアアース・バブルが起こった原因は、中国政府の輸出許可証の現地での売買が投機の対象になり、そのマネーゲームによって雪だるま式に値上がりして輸出価格に転嫁されたため

■日本の磁石メーカーが、対日輸出制限を受け、レアアースを買い漁ったことがバブルをさらに加熱させ、高値で買い溜めた在庫が溜まってしまっていること。それが日本の輸入減であり、またレアアース価格を押し下げている

■中国以外からの輸入は、ほとんどが中国で産出したものが各国を迂回してきたもので、その国々で鉱山が開発されたわけではない。価格が大きく下落してしまったので、市場としての魅力を失い、もう新たに鉱山を開発する動きはなくなった

■レアアース・バブル崩壊で、経済産業省が中国リスクを煽り、それを理由にしてレアアース予算1300億円を投じたものの、その血税が水泡に帰しかねない瀬戸際になっている

つまり、レアアースは余っていて、価格も下落していること、それで中国のレアアース産業が青息吐息となってきていることや、グローバル化した現代では、中国がレアアースの対日制限を行なっても、中国がレアアース産業を潰すか、全面的な輸出禁止でも行わない限り、他の国を経由して日本にも入ってくるということです。

しかも、レアアースの対日輸出制限を受けて、レアアースを買い漁ったそれぞれの企業にも問題ががありそうです。

さて、問題はここからです。東京大学の加藤泰浩教授の研究チームが昨年6月、南鳥島周辺の海底にレアアースを豊富に含む泥が大量に眠っていることを発見したことは一時話題になっていました。深海底に眠るレアアースを採集すれば日本の救世主になれると、そこに目をつけた文部科学省が、「脱中国」を理由に予算をつけようとしていて、そのレアアースを発見した深海調査研究船「かいれい」の活動のドキュメンタリーをクローズアップ現代が取り上げるのです。しかも、文科省傘下の海洋研究開発機構が、各放送局に働きかけ、公募し審査し、NHKが選ばれた結果のものだそうです。

いやはや、食料自給率だの、レアアースだの、予算確保のためには、巧妙なトリックや情報操作としか思えない手段を使う官僚の習性には困ったものですが、それに安易に乗ってしまうメディアは、なにのために存在しているのかが問われます。

さて、クローズアップ現代は、密着レアアース調査船~“脱中国”はできるのか~」でなにを、どのように報道するのでしょうか。

多くの人の世の中の出来事の情報源は、ほとんどが新聞、テレビ、たまに週刊誌という人も多く、年齢が増すとさらにその傾向が強くなってきます。日経記事やクローズアップ現代を見ればそれを鵜呑みにしてしまうというのも無理はありません。

なかには、自らがそういったメディアしか情報を知るすべがないので、本当はどうなのかと質問される柔軟な方もいらっしゃいますが、そういう人はそう多くはありません。

以前なら専門分野で、マスコミがずいぶん間違ったことを報道しているとか、誰かが間違った情報を流して意図的になにかをしようとしていると気がつく程度でしたが、昨今はインターネットのお陰でメディアが多様化したり、それぞれの分野の専門家が別の視点を提供して、ずいぶん嘘や意図的なキャンペーンを見抜く守備範囲が広がってきています。

まだまだ日本ではマスコミ報道への信頼度が高いようですが、小さな不信の芽が生まれるとやがてそれがじわじわと大きく育ってきます。



また、複数の情報源をもとに、自分の頭で考え、判断することがひとつの文化として定着することは、この複雑さが増してきた時代を乗り越えるためには必要なことだとも感じます。

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