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「メンバーシップ型日本を消去する?できる?しないと・・・」 続:身捨つるほどの祖国ありや11

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通勤風景 イメージ(2008年05月02日) 出典:Photo by Iain Masterton/Construction Photography/Avalon/Getty Images

牛島信(弁護士・小説家・元検事)

【まとめ】

・社員こそ会社のメンバーであり、株主は外部の人だという考えは、つい最近まで日本では常識だった。

・戦後の財閥解体で日本の株式会社制度は根本から変わった。日本のメンバーシップ型は歴史の一挿話に過ぎないのかもしれない。

・「失われた30年、どうする日本」。コーポレートガバナンスだけで解決は難しいだろう。なぜなら、勤労者、大衆の視点が乏しいからだ。

「世の中の圧倒的に多くの人々が、そういう実定法の思想の建前をまったく認識せず、労働者こそが会社のメンバーであり、株主こそ会社にとって外部の第三者だと思い込んでいる」(濱口桂一郎ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書2021年)

「そういう実定法の思想の建前」とは、「会社とはそのメンバーである株主の所有物であり、経営者とは株主の代理人として利潤の最大化に挺身すべきものであり、労働者とは会社の外部の第三者であって、雇用契約によって労働を提供し報酬を受け取る債権債務関係にあるに過ぎません」というものだと、濱口氏自身によって解説がされている。

濱口桂一郎氏とは、「日本的なメンバーシップ型と対になるジョブ型という言葉を造ったのは私自身です。」という方である(1頁)。

私は、その濱口氏が、現在形をつかって圧倒的に多くの人々の思い込みを説明しているという事実に、少なからざる衝撃を受けた。

会社法の世界に住む者にとっては、濱口氏のいう「建前」こそが当たり前だと考えられていると知っていたからである。

しかし、濱口氏の考えそのものは意外ではない。現実にも、私のまわりにいる多くの経営者はそう考えているのではないかと思うことがあるからだ。

つい最近、ある巨大上場株式会社の幹部レベルの方に入社年をうかがった。1989年という答えだった。そこで私は、

「では、株主のために働くぞ、と思って入社されたわけではなさそうですね?」と入社当時の思いについて質問してみた。

「考えもしませんでしたよ」という答えが返ってきた。

当然である。バブルの絶頂にあった巨大日本企業の従業員は、誰もが株主について、「外部の第三者」だと思っていたのである。従業員を社員といいかえ、その社員こそが会社のメンバーであり、株主などは外部の人だという考えは、つい最近まで日本では常識だった。

今は違う。

この本には、大塚万丈という名前が出てくる(270頁)。読者のなかにはその名をご存じのかたもあるに違いない。設立当時の経済同友会で活躍された方である。

経済同友会が1947年に『企業民主化試案』を書く際の中心人物だった。

「そこに書かれた思想は戦後日本の根本思想となりました。」と濱口氏は言う(271頁)。すぐに忘れられてしまった本ではあっても、その「イデオロギーが全ての日本人の頭の中を支配するミーム(文化的遺伝子)となった。戦後日本社会の根本思想となりました。」(同頁)

全ての日本人である。私も、読者であるあなたも含まれることになる。我々そういう文化的遺伝子を持っているということらしいのである。

濱口氏は、その直前で「戦後日本社会における企業というものが、商法の想定する資本の結合体というよりも、生産活動に向けた経営者と労働者の人的結合と意識される」という表現も使う(269頁)。

どうも日本は違うということらしいのである。

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