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教員採用試験、倍率低下で「質」は大丈夫? -斎藤剛史

公立学校の教員採用試験といえば、一般的にはかなりの「難関」というイメージがあると思います。ところが教員採用試験の競争率は年々低下傾向が続いており、以前ほどの難関ではなくなっていることが、文部科学省の調査でわかりました。それ自体は保護者や子どもにとってあまり関係のない話ですが、多くの教育委員会関係者は競争率の低下により教員の質が下がることを懸念しています。

調査によると、2012(平成24)年度の公立学校教員採用者は小学校から高校、特別支援学校などすべて含めて3万930人(前年度比4.4%増)で、12年間連続して増加しました。過去20年間で教員の新規採用数が一番少なかったのは2000(平成12)年度の1万1,021人ですから、それに比べると2.8倍にも増えている計算です。教員採用者増加の最大の原因は、第2次ベビーブーム当時に大量に採用された現在の50歳代の教員層が定年退職の時期を迎え、その補充が学校現場の緊急課題になっているからです。

それに対して教員採用試験の受験者数は、世界的不況による公務員人気などで3年連続して増加していますが、基本的には横ばい傾向が続いています。教員採用者は増加しているのに、採用試験受験者はそれほど増えていないとすれば、当然、採用試験の競争率が低下していくことになります。2012(平成24)年度の教員採用試験の競争率は、小学校が4.4倍、中学校が7.7倍、高校が7.3倍で、小学校は低下傾向から横ばい、中学校と高校は低下傾向が続いています。過去20年間で教員採用試験の競争率が最も高かったのは、小学校が2000(平成12)年度の12.5倍、中学校が同年度の17.9倍、高校は2007(平成19)年度の14.2倍でした。これらの時代と比較すると、現在の教員採用試験の難易度がどれほど低くなったかがよくわかります。また、小学校、中学校、高校の3つの採用試験を合計した平均競争率の過去5年間(2008<平成20>~2012<同24>年度)の推移を見ると、6.6倍、6.2倍、6.3倍、6.1倍、5.9倍と低下傾向にあります。

もちろん、採用試験の競争率減少が教員の質の低下に直接つながるわけではありません。しかし、以前だったら絶対に試験に通らなかったような受験者が、現在では合格しているということは十分に考えられます。このため都道府県教委などは、採用試験の競争率を下げないようにするため、受験者の確保に力を入れています。たとえば東京都は、仙台市、神戸市、福岡市にも教員採用試験会場を設けたほか、地方在住の教員志願者のための「東京の学校見学バスツアー」などを実施し、受験者を増やそうと努力しています。

これ以上競争率が下がれば、次第に安易な受験者が増え、能力が低くても合格する者も増える可能性が高くなるでしょう。そうならないようにするためにも受験者の確保と同時に、適切な人材を選び出すための採用試験の方法改善などが、都道府県教委などに強く求められます。

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