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稀代のヒットメーカー秋元康の思考法「企画は“あるある話”をすることに似ている」

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美空ひばり、とんねるず、おニャン子クラブ、AKB48グループ、坂道グループと数えだしたらキリがないほど日本のエンタメ界に多大な影響を与えている秋元康。作詞家、放送作家、プロデューサーと仕事によって肩書は変わっても、その根底にあるのは“企画力”です。今回の記事では、そんなヒットメーカー秋元康の企画を生み出す思考法に迫ります。

放送作家の深田憲作です。
今回は「テレビ史において最も大きな成功をおさめた放送作家」について書いてみたいと思います。

YouTubeで人気の「本の要約チャンネル」を“テレビマンの本でやってみるコラム”第8弾は、秋元康さんの『秋元康の仕事学』という本をご紹介します。

秋元康の仕事学   Kindle版

秋元さんを「テレビマンの本」というくくりで取り上げることに違和感があるかもしれませんが、秋元さんのキャリアのスタートは放送作家。今でもAKB48や乃木坂46など、AKB48・坂道グループの番組をはじめ、様々なバラエティ番組に関わっているため、僕の中で秋元さんは現役のテレビマンです。

今期は民放の連ドラを3本も手掛けていますし、63歳にして現役バリバリといったところです。

「エンドロールで名前は出ているけどほとんど何もやってないんでしょ?」と思う方もいるかもしれません。僕は何度か秋元さんが監修で入っていたバラエティ番組を担当したことがあるのですが、仕事をする前は「番組の立ち上げ時にアイデアを出すだけでその後はオンエアすら見ないのだろうな」と思っていました。

しかしいざ仕事をしてみると、ディレクターや放送作家が集う制作会議には出席しないものの、総合演出やプロデューサーとの個別会議を定期的に行い、番組内容も細かくチェックしてアイデアを出されていました。なんならほとんどのスタッフが見てもいないようなネット配信限定の動画までチェックして意見するほどだったのです。

面白い企画を思いつくための日常の過ごし方


秋元さんはこれまでに数多くの書籍を出版されていますが、その中でも『秋元康の仕事学』はNHKが秋元さんに密着した番組の派生で作られたもので、「秋元康の企画の考え方」にスポットを当てた内容。

エンタメに関わる人はもちろん、それ以外の人にとっても仕事のヒントが詰まっていると思い、今回取り上げさせていただきました。

まずは、秋元さんが推奨する「面白い企画を思いつくための日常の過ごし方」からご紹介していきます。

秋元さんは「企画とは自分の居場所を作ること」と述べています。企画とはどんな仕事をしている人でもできるもので、その場所で「この人がいないとダメだ」と周りに認められるための手段であると。

秋元さんが講演会で企画について話しているとOLの方からこんなことを言われたことがあるそうです。

「私は会社でお茶汲みばかりで企画のできる部署にいないんです」。

これに対して秋元さんは「お茶を出す時にこの人は胃が弱いとか、この人は昨日徹夜で目が真っ赤とか、それぞれの体調に合わせて効くと言われるハーブティーを出したらそれは企画力のあるお茶汲みになると思います」と答えたそうです。

そして、「企画の入り口は気づくことから始まる」とも述べています。これは幸せにも置き換えられるもので、日常に存在する幸せに数多く気づけるか、それとも何も面白いことがないと思うかで差が生まれるものだと。“企画”とはクリエイターなどの一部の人のためだけのものではなく、「気づく」ことができれば誰もが企画屋になることができるということです。

秋元さんは「企画はあるある話をすることに似ている」と述べているのですが、僕も放送作家をしていて企画の多くはあるあるから生まれていると実感しています。優秀な企画者ほど些細なあるあるに気づいてそれを言語化できているという印象です。

例えば、秋元さんが挙げているあるあるに「本屋で雑誌を買う時、読んだらすぐに捨てるのに一番上ではなく真ん中の方の人に触れられていない雑誌を取ってしまう」というのがあります。このあるあるは多くの人が共感できるでしょう。

しかし、潜在的に思っていても顕在的にこのあるあるに気づいていたという人は少ないはずです。僕が最近、番組の会議で「そのあるある、自分は気づけていなかったな~」と思ったのは「トイレに行ったらなぜかほぼ毎回便器にツバを吐いちゃうんですよね~」というもの。これには女性は共感できないかもしれませんが、会議に出席していた男性の多くが共感して笑っていました。

僕は企業に勤めたことはありませんが、もしも自分が採用面接でその人の企画力を見極めようとするなら「色々なシチュエーションでのあるあるを言ってみてください」と質問するでしょう。気づく力は企画力に直結していると考えているからです。

秋元さんはそんな日常の中で気づいたネタを「リュックサックにどんどん入れて、取り出す時にどれだけ想像力を働かせて拡大できるかが重要」と述べています。秋元さんは以前、新聞で「年末になると上野駅の構内の男性トイレに古い革靴がたくさん捨ててある」というコラムを読んだそうです。

ここから秋元さんが想像したのは「もしかしたら地方から出稼ぎに来た人たちが正月、帰省する時に身をキレイにしようと思ってトイレで新しい靴に履き替えているのではないか?」これがドラマのネタとして使えるなと考えたそうです。

同じ記事を読んでも「ふ~ん、トイレで靴が捨てられているんだ」で終わる人と、想像力を働かせられる人では企画者として大きな差が生まれますね。

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