- 2021年11月08日 17:50
自民党に高まる派閥再編の機運:「安倍1強」後の主導権争い本格化
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トップが決まらぬ竹下派、「幹事長の恩恵」が亀裂を隠してきた二階派、人数減が止まらない石破派、大将落選の石原派……。新たな党内秩序を求めて合従連衡を望む声が漏れてくる。
自民党は10月31日投開票の衆院選で、公示前の276議席より減らしたものの、追加公認を含めて単独で絶対安定多数(261議席)を確保した。国会運営の主導権を得て、岸田文雄首相(党総裁)はとりあえず合格点をクリアした形だが、党内では来夏に控える次期参院選を視野に主導権争いの火種が残る。
特に各派閥の中には、領袖が今回落選したり、1カ月以上会長不在が続いていたりするケースがあり、不安定化が目立ってきた。自民党が旧民主党から政権を奪還して来年で丸10年。安倍1強と呼ばれた「政権奪還ハネムーン期」は終焉を迎え、党内主流・非主流派の激しい権力闘争の勃発も予想される中、派閥再編が加速する可能性がある。
人望なき茂木氏に募る不満、竹下派は参院勢力の動向が焦点に
緊迫しつつあるのが竹下派(約50人)だ。会長の竹下亘氏が在任中の9月に亡くなり、いまもトップ空席だ。理由は、会長代行を務める茂木敏充党幹事長(衆院議員)に対する、竹下派内の参院議員による不信感だとされる。
本来、会長不在になれば、代行が会長に昇格するのは自然な選択肢だが、そうなっていない訳だ。複数の党関係者によると、引退後も参院竹下派に大きな影響力を持つ「参院のドン」こと青木幹雄元官房長官が茂木氏に対して不満を募らせていることが大きい。
茂木氏が、派内の有力議員でありライバル関係にある小渕優子元経済産業相と総裁選対応や選挙での公認問題を巡って軋轢を起こすなどしたためという。
参院側は2018年、当時の派閥会長だった額賀福志郎元財務相に退任を要求し、竹下氏に交代させた経緯がある。その際、茂木氏の本音は額賀氏続投だったとみられ、禍根は根深いとされる。
小渕氏は、青木氏が官房長官として仕えた故小渕恵三元首相を父親に持つ。恵三氏は首相在任時、同派を率いる領袖だった。
いつかは娘の小渕氏を宰相にと願う青木氏にとって、旧日本新党出身の茂木氏の行動は「派閥乗っ取り」と映るのかもしれない。衆院側には茂木氏の派閥会長就任を支持する声がある。
一方、党内では茂木氏について「若手に対して高圧的な態度を取る」「短気で怒りっぽい」といった声がある。こうした人望に欠けるとの評判が「茂木派」への衣替えの推進力を鈍らせている一因と言えそうだ。
複数の関係筋によると、参院側では現在、会長に船田元・元経済企画庁長官、事務総長に小渕氏といった案が取り沙汰されており、茂木氏による派閥継承は断固容認しない構えだ。
派閥関係者には「参院側には積もり積もった茂木氏への不満がたまっている。このまま平行線をたどれば一触即発となりかねない」との見方があり、参院側が竹下派を離脱する懸念が出ている。
茂木氏が幹事長ポストを手にしたのは、岸田政権発足に伴い党幹事長に就任したばかりの甘利明氏(麻生派)が衆院選小選挙区で敗北して比例復活となり、引責辞任したのが理由。予期せぬ事態で外相だった茂木氏に幹事長が転がり込んできた訳だ。
このため人事でのポスト獲得や来年の参院選をにらんだ選挙資金配分での優遇などを念頭に「幹事長派閥としてのうまみを期待し、参院側も一時休戦して様子を見るのではないか」と見る向きもある。
ただ現在、融和の兆しは感じられない。
仮に竹下派を参院側が離脱しようとする場合、課題になるのが「合流相手探し」だ。参院竹下派は約20人の勢力にとどまる上、単独で派閥化すれば、参院議員だけという変則的な形となる。
人事でのポスト獲得などでの影響力発揮は限定的となり、メリットはほとんどない。このため他派閥、グループとの合併などを同時に行い、勢力拡大を図らないと、じり貧になるだけに終わりかねない。
「数は力」の永田町。逆に言うと、竹下派が内紛で割れた場合、その片方と組むことで勢力拡大を図ろうとする動きが党内で起きても不思議ではない。



