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「むしろ女性のほうが優秀ですごい」と持ち上げてくる男性ほど残念な人はいない

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日本に差別はないのだろうか。作家のアルテイシアさんは「日本は同質性が高い社会なだけに、特権的な立場にいる人がそのことに気づきにくい。テレビやメディアから差別や偏見を刷り込まれて育っていて、無意識の差別がはびこっている」という――。

※本稿は、アルテイシア『モヤる言葉、ヤバい人』(大和書房)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nikada

「私はアジア人に偏見がない」と言われたら

「私は同性愛に偏見がないから、ゲイの男性と友達になりたい」

数年前、女友達のこの発言を聞いてモヤった。SATCのキャリーとスタンフォードみたいな関係に憧れる女性は多いだろうし、その気持ちはわからなくもない。「これってモヤる言葉?」と首をかしげる人もいるだろう。そこで私がなぜモヤったのかを解説したい。

まず「ゲイの男性と友達になりたい」という言葉を当事者が聞いたら「あなただから」ではなく「ゲイだから」と受け取るだろう。「自分のことを1人の人間として見ず、都合のいい役割&ステレオタイプなイメージを押しつけている」と感じるんじゃないか。

また「私は同性愛に偏見がないから」には、無意識の偏見や差別意識が潜んでいる。

ドイツに住んでいた女友達が話していた。「ドイツでは女性差別を感じることはほぼなくて、そういう意味では住みやすかった。でも、人種差別を感じることはよくあった」と。たとえば「私はアジア人に偏見がないから、あなたと友達になりたいわ」と善良なドイツ人たちから言われたそうだ。

発言した側に悪気はなく、自分は差別なんてしないと思っているのだろう。でも言われた側は「あなたは私とは違う、本来は差別されるマイノリティだけど、受け入れてあげますよ」というマジョリティの上から目線&傲慢さを感じる。「自分は偏見がない」と自称する人の方がむしろ、無意識の偏見や差別意識に鈍感なんじゃないか。

ちなみに「僕は女性差別なんてしません、むしろ女性の方が優秀ですごい、男はかないませんよ!」とやたら持ち上げる男性がいるが、これも目の前の相手を対等な1人の人間として見ていないのだ。

人は自分が持つ特権に気づきにくい

前出の友人がドイツに住んでいた頃、ドイツ人の夫とレストランに行った時と日本人の友達と行った時では、店員の態度が違ったという。その話を夫にすると「気にしすぎじゃない?」「きみはちょっと敏感すぎるよ」と言われたそうだ。そうやって気にせずにいられること、鈍感でいられることが特権なのだ。そして、人は自分の持つ特権には気づきにくい。

かくいう私もかつては無知で鈍感で、過去を思い出すとグレッチで首をはねたくなる。たとえば、20代の私は職場で後輩女子に「彼氏できた?」「どんな男子が好み?」とか平気で聞いていた。世の中には多様なセクシャリティの人々がいるという認識が足らず、みんなが異性愛者で恋愛を求めているという前提で、性的マイノリティの存在を無視するような発言をしていたのだ。

そんな過去を反省しているが、今だって気づかずに誰かを踏んでいるかもしれない。そうならないために次の文章を胸に刻みたいし、なんなら写経して寺に納めたい。

アメリカで行われている特権に気づくための授業

太田啓子さん著『これからの男の子たちへ』の対談の中で、小学校教師の星野俊樹さんが次のように話している。

「特権と抑圧を実感できるアクティビティとして、簡単にできておもしろいものを紹介しますね。まず、スクール形式で机が並んでいる教室で、黒板の前に大きな段ボール箱を置きます。生徒に一枚ずつ紙を配って、その紙に名前を書いて丸めたボールを、自分の席から投げて段ボール箱に入れてもらう。そうすると、前の席の生徒は簡単に入れることができますが、後ろの席の生徒は容易に入れられない。そのうち、こんなゲームは無意味だといって投げるのをやめる生徒も出てくる。

最後に、座席から黒板までの距離が何を意味すると思うか、と生徒に投げかけます。

前方に座っている生徒は、シスジェンダーでヘテロセクシャル(異性愛者)の男性や、経済的に恵まれた家庭環境などの特権をもった人で、後ろに行くほどそうではない境遇の人ということになる。そう説明すると、多くの生徒が直感的に理解してくれるそうです。アメリカなどではこういう実践が「社会的公正教育(Socal Justice Education)」として研究され、学校でもおこなわれているんですね」

これを読んで「ワイも段ボール箱を持ち歩こかな」と思った。自分のもつ特権を自覚するために、日本の学校でもぜひ導入してほしい。

不平等は特権を持つ人が是正すべき

「このゲームのような不公平な構造を変えていくには、特権を持つ側で気づいた人が行動する必要がある。教室の前方に座っている人は、前だけ見ていれば自分が優遇されていることに気づかない。でも、後ろを振り返って、自分が特権的な立場にいることを自覚した人は、もしも行動せずに特権に留まろうとするなら、この構造の再生産に加担したことになる」

この言葉にも全力で膝パーカッションだ。一番前の席で後ろを振り返ったことのない人には、弱い立場の人やマイノリティの存在が見えない。だから「本人の努力が足りない」「自己責任だ」と主張して、社会の構造を変えようとしない。

たとえば、東大生の親の半数以上が年収950万円以上だ。親の経済格差が教育格差につながって、努力したくてもできない環境にいる人、進学という選択肢すらない人もいる。塾や習い事をする余裕などなく、家計を支えるためにバイトする子どもたちもいる。日本は7人に1人の子どもが貧困状態にあり、先進国で最低レベルだ。こうした現実を見ずに自己責任とか言う奴は、グレッチで穴掘って埋めたろかと思う。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mizoula

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