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男女平等世界一のノルウェーでも「女性の40%はパート勤務」という不都合な真実

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世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」でノルウェーは2008年に1位となり、2009年以降は常にトップ3に入り続けている。同国のジャーナリスト、リン・スタルスベルグさんは「『世界一男女平等な国』と言われることもあるが、ノルウェーの労働市場をみると男女平等とはいえない」という――。

※本稿は、リン・スタルスベルグ『私はいま自由なの?』(枇谷玲子訳、柏書房)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです
写真=iStock.com/stock_colors

「世界一男女平等な国」はノルウェー国民の総意だが…

ノルウェーに暮らす私たち女性は、どこまでも前進できる。キャリアを積み、重要な職に就き、子どもも配偶者も持てる。

もちろん、自分で稼ぐことだってできる。母親になった後でも、国会議員を目指せるし(ノルウェーの国会議員は、育児休暇を取ることもできるのだから)、スキー・レースやマラソンにだって出られる。

ノルウェーでは、保育料はほぼ無料で、学童保育が充実している。

育児休暇の取得率も、父、母ともに世界トップ。高齢の両親がいる場合、老人ホームが毎日、責任をもって面倒をみてくれる。

多くの男性が長年手にしてきたものを、私たちもようやく手に入れたのだ。この国は男女平等だ。自分の人生を選択できる。私たちは自由だ。この国が追い求めてきた理想が、ようやく実現したのだ。

政治家たちは、ことあるごとに、ひけらかす。

「ノルウェーは、世界一男女平等な国です!」と。

さらに彼らは言う。

「男性も女性も、仕事と家庭を両立できますよ」

実際にそうするよう、国民に期待する。

それはフェミニズムの戦利品かつ男女平等の成果物で、大多数の人の望みでもあった。

現在、大半の家庭がフルタイム勤務や、なかば義務教育化した保育制度に順応し、子どもたちも健やかな学童生活を送っている。

特異な歴史を経て実現された今日の福祉制度により、過去のどの世代も経験してこなかったようなチャンスに私たちが恵まれているのは、まぎれもない事実だ。

女性の40%がパートタイムで働いている

憂える理由はどこにもない。

ところが、私たちを混乱に陥れるグレーゾーンが少なからず存在する。

男女平等世界一の国で、仕事と家庭の両立が容易いのなら、一体なぜ幼い子を持つ約半数もの親がパートタイムで働いているのだろう?

3歳~6歳の子を持つ既婚女性または事実婚をしている女性のうち、フルタイムで働いているのは26%。40%はパートタイム勤務で、14%は一時的に労働から離れている。残りの20%は失業中または労働力をもたない。

家庭内の家事の担い手は依然として女性

この2世代で、男女ともにライフスタイルが大きく変化した。とはいえ、変化の度合いはおそらく女性の方が大きい。

世の矛盾の大半は、生活様式の変化に起因する。女性が働いていたとしても、パートタイム勤務である場合が多い。収入は男性に及ばない。

現代の男性は歴史上、最も家事をしているが、それでも家庭内での主な家事の担い手は依然、女性である。

私たちは性別を判断材料に、役割を選ぶ。

女性の方が男性より頻繁に病気で欠勤する。新聞で仕事と家庭を両立する難しさについて書くのが、大方、女性なのは偶然ではないだろう。家族に子どもが加わった際、子育ての優先度の高さは男性と女性でしばしば異なる。ここで男女平等の真価が試される。

2005年のスウェーデンの調査で、家庭、仕事への貢献度に男女差があることが明らかになった。幼い子を持つ親は、様々な業界で働いているが、母親の40%は、子どもが小さいうちは労働時間を抑えたいと望んでいた。一方、男性で同じことを望む人はわずか15%だった。

「今の私の職場では、仕事と家庭の両立は無理」

仕事と家庭がどちらも順調な家族がいたとしても、余裕などほとんどないし、ほんのわずかに余裕があったとしても、ふとしたはずみで、失われてしまう。

子どもの保育所生活に急にトラブルが発生するかもしれないし、上司から高過ぎる要求を突き付けられるかもしれない。

※写真はイメージです
写真=iStock.com/Jay Yuno

ある30歳のエンジニアの女性は、自らの人生を次のように語った。

「私たちは完全に平等だと刷り込まれ、低賃金労働や退屈な単純労働に就かないよう口をすっぱくして言われてきました。

大学で著しく優秀な成績を収めれば、追加の単位が与えられ、NTH(ノルウェー技術大学、現NTNUノルウェー科学技術大学)がいかに素晴らしいか無料で見て回るツアーに参加できます。

ところが卒業後は、考え方や価値観が合わない労働市場に出て行かなくてはならないと、あらかじめ教えてくれる人はいませんでした。

私たちはキャリアというメリーゴーランドや、仕事と家庭の両立という大海原に、強制的に投げ出されます。ほかの選択をしていれば、仕事以外で自己実現できたかもしれないのに。前へ倣えするみたいに世間と同じであるために私は今、毎日遅くまでPCの前に座っています。

私には分からないんです。子どもを持つ女性が、どうしてやっていけているのか。少なくとも今の私の職場では、仕事と家庭の両立は無理なんです」

男女平等が足りないことを示すデータ

女性は仕事と家庭の大半をいまだ担い続ける一方で、家の外で働くよう強く期待されている。

ノルウェーは男女平等である、という暗示に私たちはかかってしまってはいないか?

ノルウェーは男女平等というより、「やや男女平等」と言った方が正しいのではないか?

ノルウェーの女性の社会進出率は高いが、主な稼ぎ手は相変わらず男性で、女性の労働者の大半がパートタイム勤務もしくは低賃金労働をしている。

2010年にノルウェーの統計局が作成したパンフレット『カーリとオーラ』に、男女平等を示す――いや、むしろ、男女平等が足りないことを示す――数字が見られる。

これによると、女性の労働力人口の70%近くが賃労働をしている。

1980年なかば以降、大学進学率は女子が男子を上回り、2004年以降、学位取得者も女子の割合が男子よりも多くなった。にもかかわらず、職業をもつ女性のうちフルタイム労働者はわずか60%程度しかいない。

謎と矛盾に満ちた事実に違いないが、私たちがさして驚かないのは、パートタイムで働く高学歴女性が知り合いにいたり、そのような選択が満ち足りた生活を送る上で理に適っているのを実感していたりするからだろう。

男女平等を選択したからといって、個人も社会全体も、全てうまくいくとは限らない。

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