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「最近の子は我慢ができない」は真っ赤なウソ…実は昔より子どもの自制心が上がっている理由

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昔の子どもと比べて最近の子は我慢ができない。そう考える大人は多いですが、それが覆される研究結果が出ました。脳科学を専門にする細田千尋さんは「現代の子どもは、1960年代の子どもよりも平均して2分間、お菓子を食べるのを長く我慢できるようになっています」といいます――。

ビンからキャンディーを取り出そうとしている少年※写真はイメージです - 写真=iStock.com/MarsBars

「現代っ子は我慢できず自制心が低い」と考える人が多数派

「最近は我慢ができない子が増えている」。そんなことがまことしやかにいわれますが、本当でしょうか。

昔に比べて格段に便利で豊かになった現代社会では、欲しいものはすぐに手に入り、やりたいことにチャレンジしやすくなっています。そのため、「欲しい」と思ったものはすぐに手に入れなければ気がすまない、「したい」と思ったことは何が何でもしなくては気がすまないと感じる子どもが増えているのではないか、という指摘です。

面白いことに、この考え方は、日本に限ったものではありません。「現代っ子は我慢できなくなっている」と思っているのは、アメリカも同様で、約70%以上が「現代の子どもは、昔の子どもに比べて待てる時間が短く自制心が低い」と考えていたというウェブ調査結果もあります。

子どもの自制心は現代のほうが高い

子どもの自制心を測るテストとして有名なのが、マシュマロテストです。マシュマロ実験はスタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル氏が実施したものです。

目の前のお菓子(マシュマロ実験という名前ですが、使用されるのはマシュマロとは限らずクッキーなどお菓子一般を使っています)を、ある一定時間、食べずに我慢できたら、お菓子の量が増える(2個になる)というものです。

この研究は、食べるのを我慢できたかどうかと将来の社会的成功が関連することを明らかしたのですが、この結果については、近年議論があります。しかし、マシュマロテストで自制心を測ることができること自体は、多くの研究がサポートしています。

そこで、ミネソタ大学の研究グループが、1960年代から2000年代までに行われてきたマシュマロテストの実験結果を集めて、我慢強さについて年代ごとに比較しました。

2つのお菓子を手に入れるために15分程度間待たなければいけないテストの結果から、2000年代に実験に参加した子どもは、1960年代の子どもよりも平均して2分間長く我慢することができ、1980年代の子どもよりも1分間長く我慢することができていたことが分かりました。

現代の子どものほうが我慢強く(少なくても昔の子どものほうが我慢強い、ということはない)、「現代っ子はほんの少しのことが我慢できない」というグローバルな大人の思いは的外れなことがこの実験からわかります。

IQの上昇による効果か

2000年代の子どものほうが、なぜ昔の子どもたちよりも長く我慢することができたのか? という原因について、この研究チームではいくつか推測をしています。そのうちの一つが、現代の子どものほうが、昔の子どもに比べてIQが高いから、というものです。

実は、1984年に、ニュージーランドのオタゴ大学のジェームズ・フリン教授が、「1978年のIQは1932年に比べて13.8ポイント高くなっており、IQは、1年あたり0.3ポイント、10年ごとに3ポイント上昇している」という研究論文を発表しました。

このようなIQの増加は、ニュージーランドのこの研究だけではなく、世界のさまざまなところでその後報告されています。その為この現象は、発見した教授の名前をとって、「フリン効果」とも呼ばれています。

なぜIQが上昇したのかという理由については、まだ議論がされており結論がないのですが、急速に発達する技術進歩やグローバリゼーションなどの環境変化が原因とも考えられています。

少女と科学技術の概念※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

早期教育の効果

また、もう一つの可能性として、早期教育の充実を挙げています。

ただしここでいう早期教育とは、早期の英才教育などということではなく、幼稚園通いのような現代の日本においては、ある程度当たり前になっているような、就学前の教育のことを指します。

アメリカでは1968年に15.7%だった3~4歳という就学前に教育を受ける割合が2000年までに50%を超えるようになっていることなどから、小さいうちから自制心を育てることの重要性を学んでいるからとしています。

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