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老後の資金は不安だらけ?俳優・松重豊と前田哲監督のお金にまつわる本音トーク 映画『老後の資金がありません!』

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誰もが不安を抱える「老後資金」がテーマのベストセラー小説を映画化

40万部を突破した垣谷美雨によるベストセラー小説『老後の資金がありません』(2015年/中公文庫)。親の葬式、子どもの派手婚、夫のリストラなどお金の災難に振り回される主婦・後藤篤子の奮闘を描いた物語を、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018)などで知られる前田哲監督がコメディ・エンターテイメント作品として映画化した『老後の資金がありません!』が10月30日より全国ロードショーとなる。

金融庁の金融審議会が2019年に公表し、世間の注目を集めた「老後2000万円問題」など、誰もが不安を抱える老後資金の話。本作で、天海祐希が演じる主人公・後藤篤子の夫役である後藤章を演じた松重豊さんと前田哲監督にお金にまつわる話や制作現場での様子について話を聞いた。(撮影:Inouwye Yuta)

映画をきっかけに「老後資金」問題を考え始めた前田監督と「お金の管理」にシビアな松重さん

―映画のテーマにもなっている「老後資金」問題についてお二人はどのように受け止めていらっしゃいますか?

前田:僕はこの映画に取り掛かるまで、老後資金について全く考えていなかったんです。だから、今回の作品をきっかけに「ちゃんと考えないといけないな」と思うようになったので、すごく良い機会になりました。

この問題について調べていくと、老後に必要な資金は2000万円どころではないことがわかります。特に、フリーランスの人は普通の会社員よりもさらに多くの資金が必要だと知って愕然としました。本作を撮りながら、今後どうしていくのかということを学ぶことができたので、ぜひ若い人にも観て欲しいです。

松重:僕は貧乏な時代が長かったので、どうやって生計を立てていくのかということをお芝居以上にずっと考えてきました。「ファイナンシャルプランナー」という言葉が出てくるよりも前からそういうことばっかり考えていたんですよ。蓄財、運用、それから年金、保険…。そういうものをどういう風に組み合わせていくかという、そういうのをポートフォリオっていうんですけど。

前田:すごいね(笑)。

松重:きちんと組み立てておかないと大変なことになるぞって思っていたんです。僕らの業界っていうのは、ファイナンシャルプランなどの情報が流れてこないんですよ。それぞれ考えてやっている人もいるけど、やっていない人もいる。そういうのが不公平なので是正したいなと考えていて。だから僕が“業界のファイナンシャルプランナー第一号”として名乗り出ようかと思っていたんですよ。結局やらなかったんですけどね。
今回の映画が世に出ることで、お金に対する意識が高まってくれればと思います。

前田:ずっとそういうことを考えられていたんですね。一緒にソフトボールをしている頃から(※後述)。

松重:あの頃が一番貧乏でどん底でしたからね。家族はなんとかしなきゃいけないし。

前田:のほほんとしている感じでしたけど。

松重:そういう風にみせていかないと。目の色が「お金!」になっていたら仕事が来なくなりますから。何も考えていないですよ、という風にみせるのが俳優のテクニックだと思っているのでね。ただもう、裏ではそろばんをピャーっと弾いて。

前田:えー!?そうなんですか。

貧乏時代の松重さん。コインロッカーの硬貨返却口を覗いた日も?

―松重さんはお金の管理に関してプロ顔負けともいえる徹底ぶりですね。普段から老後資金について考えていらっしゃるのですか?

松重:普段からというよりも、生きるためにはお金が必要ですから。愛だとかそういうのじゃなくて、一番大事なのはお金!
とはいえ、『老後の資金がありません!』はそういう映画じゃないですよ。「お金よりも大事なものがある」という物語。でも本当のことをいうとお金はやっぱり大事。そうですよね?

前田:えっ(笑)。いやぁ、僕は日々のほほんと生きていて。公衆電話をかけるのに10円さえないときもありましたけど、なぜかそういうときに助けてくれる人がいて。「なんとかなるやろ」って生きてきましたね。

松重:僕はね、助けてくれる人がいないので「10円がないな」ってなったら、使用後に100円が戻ってくるコインロッカーでお金の取り忘れがないか隅から隅まで探すんです。そうすると必ず2か所ぐらい取り忘れがあるんですよ。それで食いつなぐっていう生活をしていましたね。

前田:自動販売機の下は探したことがありますよ。

松重:あれは絵面が良くない!コインロッカーはね、「自分のロッカーどこだっけ」って言いながら返却口のお金を探すんですよ。

前田:なるほど、ちゃんとスタイルがあるわけですね。

松重:スタイルはありますね。そりゃあ、見てくれの商売ですから。

前田:すごい勉強になるわ。

―松重さんは何歳の頃からお金の問題について考え始めたのですか?何かきっかけなどはあったのでしょうか。

松重:僕、ものすごく貧乏人なんですよ。「お金がない」というところから始まっている人生なので、お金の重要さというのはよく分かっていましたし、体に染みついたものです。いやでも落とせない貧乏性というか。それはもうしょうがないですね。

ソフトボール仲間だった前田監督と松重さん。念願の初タッグへ

―『老後の資金がありません!』で前田監督と松重さんは初タッグとなりますが、先ほどお話にも出ていたようにお二人はソフトボール仲間だったのですか?

松重:役者と監督のソフトボールチームがあって、一時期参加していたんですよ。どちらも暇な職業なので、仕事がないときは何をするでもなく。ソフトで時間を潰さなきゃいけないというときに前田監督と一緒にやっていたんです。まあそんなに真剣にはやっていなかったんですけど。交流戦とかやると審判に「マナーがなっていない」と怒られていましたね。大きな声でヤジとか飛ばすから。

前田:そうですね。その頃にお会いしていて。いつかはお仕事でご一緒できればなという思いがありました。これまでも松重さんに演じて欲しい役はあったのですが、なかなかタイミングが合わないという状況がありまして。僕がそれなりにキャスティングについて意見ができるようになってきたこのタイミングで、今回ご一緒できたことはとても嬉しかったです。

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