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「これから中国の"失われた10年"が始まる」経済成長に浮かれた習近平政権の最大の盲点

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中国は「市場の出口」を整備できているか

中国の不動産大手、恒大集団の社債償還問題が世界の株式市場や金融市場を脅かしている。恒大は負債が33兆円にも上る巨大企業であるだけに、目先の償還資金を手当てできるかどうかはもちろん、景気や金融市場に与える悪影響も重要な問題だが、中国が華々しい成長を続けてきた陰で、見落としがちな落とし穴がある。「市場の出口」に関する問題である。

中国の習近平国家主席(中国・北京=2021年10月9日) 中国の習近平国家主席(中国・北京=2021年10月9日) - 写真=AFP/時事通信フォト

中国は市場主義経済を取り入れた国としては、あまりに若い。国内外の証券市場の制度問題に詳しい学者は「中国が日本の金融商品取引法のような法律を整備し始めて、せいぜい20年ほどしか経っていない」と指摘する。この指摘は「資本市場を高度に発展させてきた中国が、その出口の整備までは手が回っていないのではないか」という懸念に通じる。

どういう意味か。

言うまでもなく日本の「失われた10年」は不良債権問題との格闘に費やした歳月を意味するが、これを別の視点から言い換えると「市場の出口を整備するための10年」ということになるだろう。役割を終えた企業を、市場や経済活動から円滑に退出させる出口である。

経営が傾いた企業の後始末はそう簡単ではない

会社更生法の改正や民事再生法の施行といった倒産法の整備に加えて、社債の登録機関(現在は振替機関が引き継いでいる)の立ち上げ、経営再建に必要な資金を貸し出すための仕組みづくりや、企業再建に必要なノウハウの蓄積、不良債権の受け皿づくりや資産担保証券の市場整備、債券格付けの信頼回復――など、時間をかけてじっくり取り組まなければならない課題は多岐にわたった。

経済が右肩上がりで成長を続けている間は、上場企業の経営破綻やデフォルトは少なく、問題になりにくい。株式市場や資本市場の「入り口」を整備したり、間口を広げたりして使い勝手を良くしていればよく、市場の「出口」を整える必要に迫られることはない。経済成長の過程では盲点になりやすいのだ。

しかし経済成長が止まったり、経営環境が激変するなどして、倒産したり借金を返済できなくなる企業が増えたとき、秩序だった退出を促す仕組みとこれを処理する法制度ができていなければ、さらなる混乱を招きかねない。

出口が整っていないとどうなるか、不良債権問題に苦しんでいた四半世紀ほど前の日本から例を引こう。

戦後初めて債務不履行を起こしたヤオハンの奇策

山一証券や北海道拓殖銀行が自主廃業や経営破綻に追い込まれ、深刻な金融不安を引き起こしたのは97年11月だった。実はその2カ月ほど前に、公募社債として戦後初めて債務不履行を起こして資本市場の混乱を招いたのは、ヤオハンジャパンが発行した転換社債だった。

ヤオハンの倒産直後から管財人弁護士たちが頭を抱えたのは、転換社債の社債権者が日本中のどこに散らばり、彼ら一人ひとりがいくらの社債を保有しているのか、さっぱりつかめないことだった。現在のように社債の振替機関がなかったためである。

しかも会社法が施行されるより10年近く前のことであり、当時は社債権者を把握して社債権者集会の開催を通知し、一定の社債権者が集まらなければ法的には集会が成立したとは認められず、ヤオハンは再建の緒に就くことさえ難しくなる恐れが生じた。

この時は管財人がスポンサー企業に転換社債を買い取ってもらうという奇策をひねり出し、これが思わぬ効果を生んだことで事なきを得た。しかし奇策は奇策である。次も同じ手が通じるわけではない。

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