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【Amazon Fresh】、レジなしスーパーを3年後580店まで拡大?アマゾン風呂敷広げ過ぎ!



■アマゾンはレジなし技術「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)」を導入した食品スーパー「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」を3年で580店舗まで拡大する計画だった。

ビジネス・インサイダーが入手した、2021年8月に作成された内部文書と内部に詳しい人からの情報で報じた。

アマゾン・フレッシュは現在18店舗まで拡大しており、ジャスト・ウォークアウトを導入したアマゾン・フレッシュは2店舗ある。

今年6月にオープンしたシアトル郊外ベルビュー地区にあるアマゾン・フレッシュ・ファクトリア店と7月にオープンしたワシントンDCのローガン・サークル店だ。

25,000平方フィート(約700坪)のファクトリア店はジャスト・ウォークアウトとフルサービスレジのあるハイブリッド型。一方、7,302平方フィート(約200坪)のローガン・サークル店はフルサービスのレジがない、ジャスト・ウォークアウトのみとなっている。

内部文書によるとジャスト・ウォークアウトのITコストを3年で75%も圧縮できることで2021年に33店舗、2022年に280店舗、2023年末までには580店舗まで拡大できるとしている。

これは第2波となる新型コロナウイルス感染拡大を織り込んだ「悲観的なシナリオ」を反映している。

アマゾンは新規でオープンするアマゾン・フレッシュのほぼすべてにジャスト・ウォークアウトを導入したいのだ。既存店も2022年の第2四半期までには導入を済ませる計画となっている。

 キャッシャーフリーもしくはキャッシャーレスとも呼ばれるジャスト・ウォークアウトは、人工知能(AI)やコンピューターヴィジョンを駆使することで、レジでの精算なしで食品を買うことができる革新的なシステム。

お客は商品を手にとって出ていくだけで、代金は自動的にアマゾン口座(もしくは直接クレジットカード)に請求される仕組みだ。

レジ不要でレジ待ちの時間がなくなり、ストレスフリーで買い物ができる。同技術を導入した店舗ではコンタクトフリーで買い物ができ、コロナ禍で人との接触機会を減らす対策としても注目されている。

ジャスト・ウォークアウトではカメラやセンサー、低電圧ケーブル、ネットワーキングなどの店内インフラが必要となる。

現在開発中となる広い視野をもつカメラを導入することでカメラ台数を減らし60%のコストカットが実現でき、計画しているリモートスイッチでケーブル費と人件費を80%圧縮するのだ。

また物理的に近い場所に処理装置(エッジプラットフォーム)を分散配置しネットワークの端点でデータ処理を行うエッジコンピューティングに変えることでも営業費用を大幅に減少できるとみている。

2020年に392万ドル(約4.4億円)していたジャスト・ウォークアウトの費用が技術開発により2023年には144万ドル(約1.6億円)と60%以上も縮小できる。

これによりアマゾン・フレッシュの売上高に占めるIT費が2020年の8.2%から3年で2.1%に圧縮するとの予測だ。

 プロジェクトネーム「グレース(Grace)」で呼ばれる、ジャスト・ウォークアウトを導入しているアマゾン・フレッシュの拡大計画は目標通りに進んでいない。現在までにこの目標が修正されているかどうかはわからない。

計画が進んでいないのは人手不足にサプライチェーンによる品不足が影響している可能性がある。

一方で、アマゾンは出店計画で大風呂敷を広げた前科もある。ブ

ルームバーグが2018年に入手した内部文書からレジなしコンビニエンスストア「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」をアマゾンは2022年までに3,000店展開にすると計画していたのだ。

アマゾン・ゴーは昨年、ピーク時に26店舗まで拡大したものの現在は21店舗まで縮小している。

 ジャスト・ウォークアウトを導入したアマゾン・フレッシュは今後、増えることは間違いなさそうだが3年で600店近くなるのはやはり難しそうだ。

トップ画像:ジャスト・ウォークアウトを導入するアマゾン・フレッシュ・セリトス店。9月5日に撮影したものだが、10月27日時点でまだオープンしていない。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。小売業に関わる人は時間がないことから本を読む人が少ないように感じます。コロナ明けでアメリカ流通視察をする際、必ず読んでもらいたい書籍があります。2020年1月に死去されたクレイトン・クリステンセン教授の名著「イノベーションのジレンマ-―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」は、なんとか読んでもらいたいですね。

イノベーションのジレンマとは、巨大企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した理論です。イノベーションには、従来の製品やサービスの改良を進めた「持続的イノベーション」と、製品・サービスの価値を破壊して全く新しい価値を生み出す「破壊的イノベーション」があります。持続的イノベーションで必要以上に顧客ニーズを満たしている大手は最初、新興企業の(当初は劣った)破壊的イノベーションを軽視するのです。大手が無視できなくなるほど破壊的イノベーションが進化するのですが、最適化された持続的イノベーションで大手は身動きがとれないため自分たちの価値を毀損し新興企業に敗れていくのです。
⇒この理論をアマゾン・フレッシュに当てはめれば...アマゾンの食品スーパーは現在、他の大手チェーンのスーパーに比べて極めて劣った存在にあります。アマゾン・フレッシュのネットスーパー展開の店内ピッキングにより、品薄や欠品が多発しています。品揃えが劣っていれば誰も店で買い物しません。これでアマゾン・フレッシュへの集客ができていないのです。

アマゾン・フレッシュは他の食品スーパーと異なり別の価値を提供しています。破壊的イノベーションです。アマゾンで購入した商品をアマゾン・フレッシュでピックアップしたり、返品したりできるのです。アマゾン・ダッシュカートを利用することで、レジを通ることなく買い物もできます。エントリー記事にあるように既存店にダッシュカートの代りにジャスト・ウォークアウトが導入され、レジなしのアマゾン・フレッシュがオープンします。イノベーションのジレンマではハードディスクドライブや掘削機業界で起こった事例が紹介されています。これと似たことがアマゾン・フレッシュを中心に起こる可能性があるのです。

 いまだ劣った存在であるアマゾン・フレッシュが他を圧倒するような存在になるかはまだわかりません。明確なことは食品スーパーでさえイノベーションを加速しなければならないということです。

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