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投票率低下は若者だけの問題ではない 選択肢なき政治が生んだ選挙離れ

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若者の投票率低下が問題視されている。前回、前々回の衆院選で20歳代の投票率は約32〜33%となり、60歳代が70%前後であることと比べると嘆きたくなる気持ちはわかる。こうした状況を受け、毎回のように「投票にいかないと高齢者が優遇される政治になる」「選挙にいかないとX円損をすることになる」といった論が展開されている。だが、政治への関心低下は若者だけの問題なのだろうか。

「選挙のつまらなさ」が投票率を下げている?

そもそも政治への関心低下はなぜ起きるのか。実際に数字を見れば、投票率は長期的に見て下落トレンドが続いている。60歳代にしても、1990年代は8割を超えていることはあった。70歳代以上も7割を超えていた時期が続いていたが、現在は下落している(※1)。高齢者もまたかつてほど政治への関心を持たなくなっているということだ。

政治学者の山本健太郎氏(北海学園大学教授)はその理由の一つに「選挙のつまらなさ」を挙げている(※2)。山本氏の主張は明確だ。2000年代に入り投票率が高かった衆院選が二つある。2005年と2009年だ。前者は小泉純一郎政権が郵政民営化の是非を問うた「郵政解散」、後者は民主党政権が誕生した政権交代選挙だ。いずれも争点が明確にあり、特に後者は現実的な政権の選択肢が存在した。つまり、争点と選択肢があれば有権者は投票に向かうのだ。

《近年の選挙はつまらない。まずもって、選挙の争点がはっきりしない。2014年衆院選は消費税の増税延期が争点とされたが、与野党とも延期で足並みが揃っており、わかりやすい対立軸にはならなかった。2017年衆院選も、「大義なき解散」と指摘されるなど、 何を投票の目安にすればよいのか、有権者を戸惑わせてきた。
政策争点がはっきりしないこと以上に選挙をつまらなくしているのは、実質的に選択肢が欠如しているという政治状況である。》(※2より引用)

要するに、政治家、政党が有権者の関心を高めることに失敗しているということだ。安倍政権下における自民党の選挙戦略の一つは、明確な争点を作らず、国民の関心を高めないことであらかじめ組織力に秀でた与党の基礎票を固めるというものだった。

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若者の票を掘り起こすことができない与野党

今回の選挙も争点は極めてわかりにくい。新型コロナ禍で打撃を受けた経済や人々の生活について、各党は総じて給付金や減税を打ち出している。細かく見て各人の価値観に基づく優劣をつけることはできるが、2014年を反復するかのようにわかりやすい対立軸にはなっていない。

政権選択の可能性はどうか。立憲民主党を中心に野党は候補者調整を推し進めたが、立憲代表の枝野幸男氏は自ら政権交代の可能性を「大谷(翔平)選手の打率(=2割5分7厘)くらい」と口にした。よく言えば非常に現実的な見解とも言えるが、士気を下げるような言葉を選ぶ必要もない。

与党からすれば投票率が低ければ低いほど組織頼みの選挙で勝てるため、わざわざ有権者の関心を高める必要もない。政治家が積極的に争点を作ることができなければ、有権者の関心が高まることはないだろう。

加えて言えば、最近の選挙は総じて、あらかじめ結果が大体わかっている。小さなサプライズがいくつか起きることはあっても、世論調査の精度も高く、情勢調査が大きく外れることもない。「つまらない」と思われる要素は揃っている。

問題は投票にいかない若者ではない。争点を作ろうとしない、あるいは争点作りに失敗する政治、若者の票を掘り起こそうとしない、あるいは掘り起こすことができない政治の問題と言えないだろうか。

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