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  • 2021年10月29日 11:42 (配信日時 10月26日 06:00)

やってきた令和の石油危機? 日本で起こる深刻な事態 - 大場紀章 (ポスト石油戦略研究所代表)

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(claffra/gettyimages)

ガソリン価格の上昇が止まらない。石油情報センターによると、10月18日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売り価格は7週連続で値上がりし、1リットルあたり164円60銭だった。エリアによっては170円を超え、ハイオクに至っては180円を突破しているところもある。2014年10月以来、7年ぶりの高水準となる(図1A)。


ガソリン価格上昇の原因は、当然のことながら原油価格の上昇である。原油のベンチマーク価格であるWTIは、10月20日の時点で1バレルあたり82ドルを超え、こちらも同じく14年10月以来となった(図1B)。

ただし、当時と現在で異なる点が二つある。それは、消費税率と為替である。

消費税率は19年10月より8%から10%になった。また、当時の為替は約108円/ドルで、現在は約114円/ドルの水準である(図1C)。もし税率と為替が当時のままだとして計算すると158円/Lとなり、つまり実際の価格との差である6円が増税と為替の効果ということになる。

特に為替は昨年末の103円を底に円安基調が続いていて、この1カ月で109円から114円の急激な円安となった(図1Cの右端)。現在のガソリン価格高騰は、原油高の影響が最も大きいが、増税と円安がなければここまでの上昇とはならなかった。

過去のツケがまわってきている状態

原油価格が高騰しているというが、昔の水準に戻りつつあると言うこともできる。読者の方はもう忘れてしまったかも知れないが、14年の10月というのは原油価格が急落する真っ只中であり、11年の2月から14年の7月までのおよそ3年半の間、原油価格はおよそ100ドル/バレルという高水準で推移していた(図1B)。

つまり、7年とちょっと前は現在よりも原油価格は高かった。この間、ガソリン価格が140~150円台と現在ほど高くなかったのは、当時の為替が80円/ドル台と超円高だったからだ(図1C)。

それでは、ガソリン価格は今後どうなるだろうか。

まずは原油価格だが、現在世界は原油にとどまらず、天然ガスや石炭の価格も高騰する「世界同時エネルギー危機」の状態にある。特に、欧州では天然ガスが不足し、中国では石炭が不足しており、冬にかけて停電を回避するために代替手段として石油火力の出力を増やしている。

あらゆるエネルギー価格が高騰している原因については諸説あるが、筆者はまず、14~16年にかけての原油価格下落により石油・ガスの上流投資が半減し十分な供給体制が維持できていないことにあると分析している。Wedge11月号特集PART5の拙記事『「バスに乗り遅れるな」は禁物 再び石油危機が起こる日』に詳細は記しているが、世界各国で石油・ガス上流開発投資がこの時期に減っている。

もう一点は、中国が政治的に石炭の生産量に上限を設けているという状況のなかで、コロナ禍から需要が回復するにつれてエネルギー供給が不足する懸念が高まっているからではないかと見ている。

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