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廣瀬爽彩さんの重大事態:旭川市教育委員会からヒアリングを行っての決意

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1.はじめに

2021年9月21日、旭川市教育委員会を訪問してきました。目的は、廣瀬爽彩さんが亡くなった重大事態についてのヒアリングです。第三者委員会の調査が一向に進んでいない原因や今後の方針について、教育長らから話を伺いました。

最初に爽彩さんの死を知ったのは、報道を通じてでした。なぜ死に追い込まれる前に支援の手が差し伸べられなかったのか、どうすれば爽彩さんの死を防げたのか、国や社会はどう変わっていかなくてはならないのか、本当に多くのことを考えさせられました。

報道を追っていくうちに爽彩さんが亡くなった事案について、学校や教育委員会そして第三者委員会の対応に大きな問題があると感じるようになりました。特に、せっかく制定された自殺防止対策推進法が全く機能していないことに危機感を覚えました。そこで、同法を所管する文部科学省からの聴き取り等を重ね、きちんと法の趣旨が全うされるために旭川市教育委員会等へ指導や助言、援助を行うよう要請しました。それを受けて文部科学省は、担当課長を旭川に派遣する等の対応をとってくれましたが、残念ながらそれでも事態は好転しませんでした。

そんな中、8月30日に旭川市教育委員会が記者会見を行い、より丁寧に遺族に対応するとの方針を示しましたが、それから2週間たっても、一向に調査は進みませんでした。

そこで、この事案に対する問題意識を同じくする鈴木貴子議員より菅原範明旭川市議を紹介してもらい、旭川市教育委員会からヒアリングを行う場を設定いただき、なぜ調査が一向に進んでいないのかを確認するため旭川に向かいました。

2.旭川市教育委員会からのヒアリング内容

冒頭、黒蕨教育長より、「亡くなれた爽彩さんのご遺族の意向を汲んで調査をしていきたい。具体的な活動には至っておらずご批判はあるが、しっかりと対応を進める。」との話がありました。

その後、限られた時間でしたので、私から重要なポイントについて質問を行い、それに対する回答を受けるという形式でヒアリングを行いました。私からの質問と旭川市教育委員会からの回答の概要は以下のとおりです。

Q1
旭川市教育委員会は、爽彩さんへのいじめがあったと認定しているのか。

A1
爽彩さんへのいじめがあったとは認定していない。
2019年に爽彩さんが川に飛び込んだ事件については、市教育委員会として対応しており、市議会にも報告しているが、いじめという認定は行っていない。
学校においていじめと認定していないということだったので、市教育委員会もそのように考えていた。
いじめがあったとの認定をしていないことの当否については、今回の第三者委員会において学校と市教育委員会の対応についても調査することになっており、お答えするのが困難。
※ 第三者委員会では、いじめの有無も含めて調査している。

Q2
2019年に爽彩さんが川に飛び込んだ事件は、学校外での事案であったためにいじめと認定していないのか。
※ 法律上、学校外において行われた行為であっても「いじめ」にあたる(法2条1項)

A2
そうではない。
2019年当時から、学校の内外を問わず「いじめ」にあたることは知っていた。
爽彩さんとかかわった児童との関係、警察からの情報を総合的に判断して、いじめとは認定しなかった。

Q3
爽彩さんについて「重大事態」(法28条)との認定を行ったのはいつか。

A3
今年(2021年)4月22日に開催された、旭川市総合教育会議において重大事態に当たるとされたので、それを受けて認定を行った。
2019年に爽彩さんが川に飛び込んだ事件について対応した際は、重大事態との認定を行っていない。

Q4
今年(2021年)4月に爽彩さんについて重大事態との認定を行ったことを受け、2019年時点で既に重大事態であったとの遡っての判断はなされているのか。

A4
そのような判断はしていない。

Q5
第三者委員会の公平性・中立性は確保できているのか、遺族推薦のメンバーは入っているのか。

A5
第三者委員会のメンバーは各団体からの推薦に基づいて選定している。
当初の推薦では利害関係者が2人いたため、辞退してもらっている。
遺族推薦のメンバーはいない。
しかし、遺族から弁護士の委員を増やしてほしいとの意向があったので、それには応じている。

Q6
第三者委員会の活動に関して日程調整や会場確保、資料作成等の庶務を行う「事務局」の公平性・中立性は確保できているのか。

A6
旭川弁護士会から、日弁連ガイドラインにおいて、事務局は「第三者委員会の公平性・中立性の確保の観点から、なるべく教育行政・教育業務に関与していない部署の職員を担当者とするなどの配慮が求められます。」とされているとの申し入れがあった。
これを受けて、事務局については、学校運営の指導助言に関することや児童生徒の事故報告に関することを所管する市教委の「教育指導課」から、市教委の総務等を所管する「教育行政課」に移した。

Q7
予算がない、専門的な人員がいない、そういった理由で調査が進んでいないということはあるのか。

A7
そういうことではない。
ただし、専門委員への報酬は条例で日給7700円と定められており、それが弁護士等の専門家への報酬として低いことは認識している。
また、市内だけで専門的な人員をそろえるのが難しいといったことはある。

Q8
重大事態については、速やかに、第三者委員会において、「質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行う」(法28条1項)こととなっているが、今まで具体的にどのような調査が行われたのか。

A8
まだ具体的な調査は行われていない。
アンケートも行われていない。
教職員への聞き取りも行われていない。
児童生徒への聞き取りも行われていない。

Q9
なぜ調査が一向にすすんでいないのか。

A9
爽彩さんのご遺族から文書で聞き取りを行ったうえで、アンケートと聞き取りを行う予定であるが、ご遺族からそのための陳述書の提出がないためと聞いている。

Q10
第三者委員会の最初の会合があった5月21日から4か月も経つが、何をしてきたのか。

A10
第二回の第三者委員会の際に、市教委から第三者委員会に大量の資料をお渡ししているので、その確認に時間がかかっている。
また、どのような段取りで調査を進めるのかの検討にも時間がかかっている。

Q11
いつまでに第三者委員会の報告がなされるのか。

A11
市教委としては11月末を目安としたいと考えていた。
しかし、6月4日の第2回の第三者委員会の会議で、委員長から11月末という目安は白紙にするように言われている。
具体的にいつまで報告がなされるかは第三者委員会に任せている。

Q12
爽彩さんのご遺族から文書で聞き取りを行った上でアンケート等を進めるとのことだが、学校や市教委、第三者委員会からの十分な情報提供がなければ、遺族側において陳述書を作成するのは無理ではないか。遺族側への情報提供は行っているのか。

A12
爽彩さんが2019年6月に川に入ったことを学校と教育委員会が把握した際、関係児童生徒からいろいろと聞き取りをして、事実関係の把握をした。その把握した事実については、その都度、保護者に口頭で情報提供している。
ただし、学校が調べた資料について爽彩さんの保護者から弁護士会照会で開示の要求があったことについては、開示の目的に「損害賠償請求のため」とあったので、学校側が拒絶していると聞いている。

Q13
遺族と第三者委員会の信頼関係が破壊されてしまっており、このまま調査が進まないのではないか。

A13
遺族と第三者委員会がうまくいっていないとは認識していない。

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