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親野先生に聞いた!子どもが本を読むようになるヒントとは

毎年10月27日は「読書の日」、その後2週間は読書週間です。この時期は特に学校をはじめ、さまざまな場所で「もっと読書をしましょう」「子どもに本を読ませましょう」というメッセージを見かけますが、「読みなさいと言って読むなら苦労しないんだけど…」と思うおうちのかたも多いよう。子どもに本を読ませる、いいアイディアは? そもそも本を読むと何がいいの? 教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。


この記事のポイント

  • 読書の効果は一石何鳥?
  • こうすれば子どもが本を読むようになる
  • 子どもに合わせた本の選び方

読書の効果は一石何鳥?

「たくさん本を読んだ方がいい」「本を読むと賢くなる」と思う人は多いのですが、その理由は意外と漠然としている場合があります。実際、読書には、学力を上げ、人生を豊かにする要素が詰まっています。まず、その重要性を考えてみましょう。

第一に、本を読むと漢字を覚えます。本には、教科書に出てくる漢字も、それ以外の漢字も使われています。それを繰り返し見るうちに、漢字を覚えていくのです。大人はすでにひと通りの漢字が読めるためあまり意識しないのですが、子どもの場合は読める漢字の数が限られています。読めない漢字ばかりの本は当然理解できません。反対に、漢字が読めれば正しく理解でき、より多くの本から知識を得ることができます。

また、本を読むと言葉が増え、多くの表現や考えにふれることで、自分にもそれを使う力がついていきます。読み取る力、伝える力、考える力が伸びていくのです。さらに、多種多様な見方、考え方を知ることができるので、ひとつの意見に流されることなく、自分で考えて答えを出したり行動したりできるようになります。

本は、情報を増やすだけのものではありません。技術を磨いたり、憧れを育てたり、癒しや勇気を与えてくれることもあります。興味が広がり、探究心が刺激され、それによって工夫したり発想を転換したりする力も育ちます。そうして自分の世界を深め、自分で成長していくことができます。

こうした効果は、すぐに学力に結びつくとは限りません。でも、今勉強が苦手だったり成績がよくないとしても、本を読む子はどこかのタイミングでぐんと伸びます。それは読み続けることで得た知識や思考の積み重ねが学習の理解や伝える力につながるからです。

こうすれば子どもが本を読むようになる

最近の子どもはテレビや動画など、ほかに楽しいことはたくさんあるので、積極的に本を読もうという気持ちになりにくい環境にあります。そんな子どもには「たまには本も読みなさい」と言っても、「自分だけ、なんで?」と反抗されてしまうことも。そこで、子どもが本に親しむきっかけとして、ぜひおすすめしたいのが「家族の読書タイム」をつくることです。

朝食前や⼣⾷後、寝る前など、10分程度の短い時間でかまいません。なるべく家族が全員そろって、難しければできるだけ多くの人が参加して、同じ時間帯に読書をします。すると本を読むのが当たり前という雰囲気ができて、気が散る要素もなくなります。そのうち続きが気になってちょっとした時間に本を開くようになったり、自分から次に読む本を探したりするようになれば大成功です。

本を読み慣れていないときは、スポーツやアニメなどの好きなジャンルから与えてみるといいでしょう。マンガでもOK。アニメの絵本やノベライズもOK。おうちのかたの希望で決めず、子どもの興味がもてることを優先的に。読解力がつけば、自然と他の本のハードルも下がります。

学習マンガも子どもには強い味方です。学ぶべきことをわかりやすく、共感しやすく、丁寧に物語にしてくれています。セリフや絵で見ると教科書や資料集よりも理解しやすく、楽しめますから、授業の進度に合わせたものを選んでみてもいいでしょう。

毎日続けることは、おうちのかたにとっても大変な面があるかもしれません。でも、本を読んで成長したり世界が広がっていくのは大人でも同じ。おうちのかたも自分のための時間として付き合えば、得るものが多いはずです。家族それぞれに、自分のために「読みたい」と思える一冊を選ぶことを楽しんでください。

子どもに合わせた本の選び方

読書が習慣になって、もっと新しい本が読みたい、自分にぴったりの本を探したいときは、インターネットなどで他の人の感想やおすすめを頼るのも体験を広げる方法です。好きな有名人がおすすめしている本や友だちのお気に入りの本を読んでみるのも楽しいでしょう。また、一緒に図書館などに出かけて、幅広い本の中から読んでみたい本を探す経験は、子どもの世界を広げ、自分自身の好みや興味を知るきっかけになります。

「〇学年向け」などの情報も目安になりますが、こだわる必要はありません。本を読みなれていないと話の構成が理解できず面白みがわからないようなものもあるので、単純なストーリーなど子どもの楽しめるレベルを見つけておくといいですね。複雑でわかりにくい物語などは、大人が同じ本を読んで理解を補足してあげてもいいでしょう。

自分と共通点のある登場人物の物語を探してみるのもおすすめです。サッカーをしている子の話、年の離れたきょうだいがいる子の話、初めてメガネをかけた子の話など、状況が似ている子どもの話は興味深く読めることが多いのです。登場人物に共感したり、本の中の世界を客観的に見つめたりすることから、自分の感情やとりまく状況を見つめる視点をもてるようにもなります。

さて、おうちのかたが一緒に探したり、おすすめしたりしするのは、子どもの選択肢を増やすうえでとてもよいことです。ただ、強制はしないようにしてください。子どもが選んだ本を「そんな本を読むの?」などと否定するのもいけません。自分で興味をもった本を自由に楽しむことで、「本が好き」という気持ちが育つのです。

まとめ & 実践 TIPS

本を読むと漢字を覚え、言葉を覚え、思考力や表現力が養われます。そして本は、大人になっても、多くの知識や情報、新しい発見や刺激を与えてくれます。だから、本を読む習慣がつけば、一生成長し続けることができるのです。読書の価値を見直し、ぜひ親子で読書を「楽しむ」習慣をつくってみてください。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。長年の教師経験をもとに勉強法や家庭教育について具体的に提案。TwitterやYouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」などで発信中。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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