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分配の財源や野党協力などで論戦 党首討論会

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■ 各党が掲げる大規模な経済対策の財源とは。

コロナ禍で深刻な影響を受けている経済の回復のため、各党が現金給付や税負担の軽減などの大規模な財政出動を謳う中、その財源についての考え方についても各党首が意見を交わした。

コロナ禍で痛んだ経済と消費の回復のために、時限的な消費減税を掲げている立憲民主党枝野代表は、その財源を法人税ではなく国債とすることを明言し、経済の回復のために必要な国債は、積極的に発行する考えを強調した。

また消費税廃止を含む「徹底した積極財政」を掲げるれいわ新撰組山本代表は、財務省が「自国通貨立て国債のデフォルトは考えられない、ハイパーインフレの懸念はゼロに等しい」としていることに触れながら、こちらも積極的な国債発行によって、大胆な財政政策を進めていく姿勢を改めて強調した。

これに対して自民党岸田総裁は、「非常時において、人の命や暮らしがかかっている政策に対しては国債を思い切って使うべき」と述べたものの、「国債は国の信頼の礎」であり、その信頼を長期的に維持することも国の重要な役割だとして、財政規律の健全化にも一定の配慮をにじませた。

分配政策の財源をめぐる質問は、党首同士の討論の後に設けられた日本記者クラブ企画員からの代表質問でも上がった。ここでは特に、巨額の経済対策を打ち出している共産党志位委員長や国民民主党玉木代表、立憲民主党枝野代表に対して、それぞれの政策の財源の詳細や、先日報道された財務次官による「バラマキ合戦」との批判をどう捉えるかなどが問われた。

まず共産党志位委員長は、「コロナという大災害から命と暮らしを守るための緊急の支出は、国債でやるのが当たり前だ」と主張し、件の財務次官の言うバラマキとの批判は当たらないとの見解を示した。その上で、消費減税などの恒久的な政策については、富裕層への優遇税制の見直しなどの具体的な財源案を用意していることも強調した。

また、傷ついた経済とデフレギャップの正常化のために、50兆円規模の緊急経済対策を打ち出している国民民主党玉木代表は、その「財源の全額を国債で賄う」考えであることを明言した。玉木氏はさらに、賃金が上昇すれば所得税や法人税の負担にも耐えられるとして、「賃金上昇率が3~4%になるまで、金融緩和と財政出動を続けていく」という考えを示し、かねてより主張する「人づくり」への投資などにも力を入れることを強調した。

続いて立憲民主党の枝野代表は、冒頭で「財政規律は大変重要」という認識を示した上で、それでもなお、コロナという危機を乗り切るための「臨時措置は国債でやるしかない」と述べ、国債発行による大規模な緊急経済対策の必要性を改めて主張した。さらに、金融所得課税について「早ければ来年度にも25%に引き上げたい」と述べるなど、富裕層への法人税や所得税の引き上げについても積極的に進めていく考えを強調した。

一方自民党岸田総裁も、財政健全化にどう取り組んでいくのかを問われ、緊急事態において命を守ること、経済を再生させることをまず優先した上で、財政健全化に取り組んでいくという考えを示した。ただここでも岸田氏は、長期的な道筋を示しながら税制などの改革に取り組んでいくことを主張し、速やかな税制改革を掲げる野党との違いが鮮明になった。

■ 選挙協力進める野党、思い描く政権運営の形とは。

「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)との政策合意を結び、各選挙区での野党候補の一本化などの選挙協力を進める立憲民主、共産、社民、れいわの野党四党に対し、自民党岸田総裁や公明党山口代表からは、政権担当能力を疑問視する意見や、政権運営がどのように行われるかを問う声が上がった。

▲写真 共産党 志井和夫委員長 出典:日本記者クラブ 動画:9党党首討論会よりキャプチャ

まず野党連合の政権運営の形に疑問を呈したのは、公明党の山口代表だ。山口氏は、閣外協力を明言している共産党などが、どのような形で政権運営に関わるのかを立憲民主党枝野代表に問うた。

これに対し枝野氏は、市民連合及び共産、社民、れいわの三党との連携は、既に合意している「20項目の政策に限定している」ことを強調した。その上で枝野氏は、この共通政策には共産党などと見解を異にする外交安全保障や天皇制などは含まれていないことに触れ、「基本的には単独政権を担わせていただく」との考えを明かにした。

続いて日本維新の会松井代表が、日米同盟の破棄や自衛隊は違憲であることを主張する共産党と立憲民主党は、外交安全保障の多くの部分で政策が一致していないことを指摘し、その選挙協力を批判した。

▲写真 日本維新の会 松井一郎代表 出典:日本記者クラブ 動画:9党党首討論会よりキャプチャ

これに対し枝野氏は、「共産党とは20項目の政策について連携協力するということで合意をし、その限りで閣外において協力をいただく」ことを再度強調し、外交安全保障政策の不一致は政権運営上の問題にはならないとの見解を示した。その上で、まずは25年間続く経済不況からの脱出や国としての所得の再分配を目指して、他の3党及び市民連合と協力しながら新しい政権を作っていくことが必要であると強く訴えた。

また自民党岸田総裁も、立憲民主党と共産党の間には安全保障についての基本的な認識に大きな齟齬があることを指摘した上で、野党連合政権が成立した場合の有事対応能力に疑問を呈した。

枝野氏はこれに対し、党として市民連合や連携する3党と協議をすることはあっても、「政権としてその3党のみなさんと事前に何か協議をしなければものを進められないという運営をするつもりはない」と断言し、災害や国際紛争といった有事においても、枝野内閣として毅然とした対応を取ることができることを強調した。

また記者クラブ企画員からの代表質問では、「限定的な閣外協力」を明言している共産党志位委員長に対して、それが具体的にどのようなものであるかを問う質問も上がった。

これを受け志位氏は、共産党の掲げる「限定的な閣外協力」は、法案の事前審査をするなど全面的に政権に共同責任を負うものではなく、枝野氏が述べたように、あくまで4野党が合意した20項目の共通政策の実現を目指すものに止まるものであると説明し、立憲民主党が出した法案に共産党が反対することもありうると断言した。その上で、合意した20項目には、安保法制の見直しや核兵器禁止条約の批准を目指すことなど、「自公政権の歪みをチェンジする要になるものがある」として、その実現に向けた野党共闘には大きな価値があることを改めて強調した。

さらにこの後、立憲、共産両党と共に選挙協力を進めるれいわ新撰組の山本代表、社民党の福島党首にも、野党4党の協力体制のあり方や、想定されている政権運営のあり方に対しての見解が問われた。

▲写真 れいわ新撰組 山本太郎党首 出典:日本記者クラブ 動画:9党党首討論会よりキャプチャ

まず山本氏はこれに対し、合意した政策については実現のために協力することと、きちんと履行されるかどうかを監視していく必要があると述べ、選挙後も責任を持って取り組む姿勢を強調した。

福島氏は、今回協定が結ばれた政策は「自民党には絶対にできない」ものであると強調し、それが「豊かな未来へのパッケージ」であると述べた上で、その実現に意欲を見せた。

(了)

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