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【クローガー】、物流戦略でMFC建設と方針変更!ネットスーパーもスピードの時代へ?


■食品スーパー最大手チェーンのクローガーはネットスーパーのロボット物流展開で方針を転換する。クローガーは12日、マイクロ・フルフィルメント・センター(MFC:Micro Fulfillment Center)の新設を発表したのだ。

小型のロボット物流施設を展開することで需要が急増する時短宅配などネットスーパーのスピード化に対応する。

クローガーはイギリスのネットスーパー最大手のオカド(Ocado)と提携したネットスーパー専用倉庫「カスタマー・フルフィルメントセンター(Customer Fulfillment Center:CFC)」を拡大中だ。

クローガーのロボット物流はオハイオ州モンロー地区に3月、335,000平方フィート(約9,380坪)でオープンした。

6月にはモンローCFCよりさらに巨大な375,000平方フィート(1.05万坪)の広さとなる自動配送センターを稼働させた。

モンローCFCとグローブランドCFCは生鮮品から日用品まで数万品目の在庫を保管・処理する能力を持ち、最新の人工知能(AI)やロボティクスの技術を活用しながら24時間稼働している。

50アイテムを最短で3分でピッキングする最大1,000台以上のロボットが動いているのだ。配送準備を完了するまでに掛かる時間は5分程度。

約400台のバンやトラックで90マイル(140キロメートル)圏内にある店や利用客に届けるようになっているのもCFCの特徴だ。

なおこれらの配達車には冷凍冷蔵品などの注文用にも対応できるように保管室は温度管理がされており、最大で20件の注文を運ぶ。

クローガーでは当初、CFCを一点に集中させるという意味のセントライズド(Centralized)としていた。近隣にある複数のスーパーのネット注文を一括して受けることになるからだ。

例えばモンローCFCはオハイオ州にケンタッキー州やインディアナ州まで対応する。

一方、フロリダ州にはクローガー系列の食品スーパーは1店舗(ジャクソンビルのハリスティーター)のみ。

そこで、フロリダ州のネットスーパーでは、車輪やプロペラなどの中心部となるハブ(hub)と、車輪の中心軸と輪を繋ぐ棒のスポーク(spoke)から命名された「ハブ&スポーク方式」となる。

グローブランドCFCがハブとなり、まずは南西70マイル(約110キロメートル)のタンパ地区にスポークとなる受け取り専用拠点を設けて、グローブランドCFCから配達することになる。

またジャクソンビル地区でも、既存店のハリスティーターとは別にピックアップ専用拠点を設けてスポーク化するという。

 なおクローガーはモンローCFCとグローブランドCFCの他、ジョージア州フォレストパークの37.5万平方フィート(1.05万坪)CFC、テキサス州ダラスの35万平方フィート(9,800坪)CFC、ウィスコンシン州プレザント・プレイリーの35万平方フィート(9,800坪)CFCを建設中だ。

クローガーは昨年1月、6ヶ所目となるメリーランド州フレデリックの35万平方フィート(9,800坪)CFCを発表。他にもミシガン州ラムルスに最小となる13.5万平方フィート(3,780坪)CFC建設を明かしている。

今年1月にはアリゾナ州フェニックスに20万平方フィート(5,600坪)CFCを建てることを発表している。

 今回の発表で明らかになったのは北東部に建設するCFC、カリフォルニア州に作る中型と小型のCFC、さらにフロリダ州に2ヶ所設置する小型のCFCとなる。

それぞれの場所や着工時期の詳細は明かされていない。また小型となる物流センターの広さも示されていないものの、クローガーがこれまで手掛けていなかったMFCとなるのだ。

MFCは通常、既存の店舗に併設する形で導入されるのだが、フロリダ州には店舗が1店舗しかないため新設される物流センターはスタンドアローン型となる。

 クローガーが「ズーム(Zoom)」と呼ぶ小型の物流センターの建設を明らかにしたのは、注文から最短30分で宅配するスピード宅配を開始するからだ。

生鮮品などを注文から10~15分で超速で宅配するスタートアップがニューヨーク等を中心に拡大しているが、クローガーがこの動きを牽制した。

時短宅配の「クローガー・デリバリー・ナウ(Kroger Delivery NOW)」はオンデマンド買い物代行&宅配サービスのインスタカートと提携したサービス。

生鮮品など2.5万アイテムを対象に、クローガーや傘下のスーパーなどからスピード宅配する。その利便性から「バーチャル・コンビニエンスストア」とも呼んでいるスピード宅配はクローガーのホームページやインスタカートの「コンビニエンス・ハブ(Convenience Hub)を介して注文することになる。

主要都市に住む利用者なら1年365日、24時間対応で宅配されるという。

なおクローガーを介した注文手数料は明らかにされていないが、インスタカートのサブスクリプション「インスタカート・エクスプレス(Instacart Express)」会員なら10ドル以上の買い物で無料となっている。

インスタカートでは今年5月、クローガーやセーフウェイ、スプラウツ・ファーマーズ・マーケットの一部食品スーパーからスピード宅配サービス「プライオリティ・デリバリー(Priority Delivery)」を開始した。

注文から最短30分で宅配されるプライオリティ・デリバリーは5月のローンチ時から150%以上も成長しており、対象地域では20%近くがスピード宅配を選択されているのだ。

ニューヨーク市では電動アシスト自転車を使って食品を15分以内に配達する「フリッジ・ノー・モア(Fridge No More)」やドイツ資本で食品や日用品を10分で配達する「ゴリラス(Gorillas)」が拡大中だ。

他にもウルトラファスト宅配の「ゴーパフ(GoPuff)」「ゲッター(Getir)」「バイク(Buyk)」「ジョーカー(Jokr)」「1520(1520)」が資金調達を進めながら国内の配達所の展開を模索している。

クローガーやインスタカートはネットスーパーでも数年もしないうちに超速スピードの宅配市場が急成長すると見ているのだ。

クローガーにはまた別の目標もある。ネットスーパー展開を数年で現在から2倍の規模に拡大することを目指しているのだ。

クローガーでは昨年、コロナ禍によるステイホームの影響でネットスーパーを含むEコマース売上高が100億ドル(約1.1兆円)以上に上った。

対象世帯数が最大5,000万世帯となるクローガー・デリバリー・ナウを拡大していくことで、2023年末までにデジタル売上高を200億ドルと据えているのだ。

 CFCは着工から稼働までに最大3年は必要となり、コストも5,500万ドル(約62億円)以上と大掛かりな投資となる。

クローガーはここにきてMFCを作るのは、コロナ禍でネットスーパーばかりか時短ネットスーパーの需要まで急増したことが背景にあるのだ。

トップ画像:クローガーのネットスーパー宅配トラック。物流センターのCFCでは翌日もしくは2日後の配送となる。ウルトラファスト宅配が拡大する中では遅すぎるのだ。コロナ禍によりMFCに舵を切らざる得なかった市場の急変がある。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。巨大でコストばかりか稼働まで時間のかかるCFCを作ってきたクローガーがここにきて物流戦略で方針を転換しました。オカドグループと提携したCFC展開はコロナ前に立案されたものです。ただ100年に1度となったパンデミックでネットスーパー需要が想像以上に急増してしまったのです。

しかもフリッジ・ノー・モアやゴリラス、ゴーパフなどウルトラファスト宅配のスタートアップが次々誕生し、ニューヨークなどの都市で急拡大しています。先月発表した時短宅配の「クローガー・デリバリー・ナウ」からも分かるように、ネットスーパーの物流もスピード化が必要となったのです。明日来る、もしくは2日後に宅配されるCFCでは遅すぎるのです。しかも着工から稼働まで最大3年もかかる物流センターは、ロボットといえども明らかに時代遅れ。小型の物流センターで着工から稼働まで1年以内の物流センターを作らざる得なくなったというのが実情です。物流センターの新設にしても少なくともスピード感が必要になったのです。

 興味深いのはクローガーのMFCは店舗内もしくは隣に作るのではなくスタンドアローン型。しかも店舗のない地域でのネットスーパー展開の小型物流センターです。

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