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- 2013年02月19日 00:31
金価格はなぜ復活したのか(それは今後も続くのか)
1973年1月から2013年1月までの40年間(481か月)のロンドン金市場価格(米ドル/1トロイオンス)の月中最高値の推移をグラフにしてみました。東京市場金価格(日本円/1グラム)の月中最高値と円/米ドル為替レート(T.T.S.)の月中平均値の推移も加えてあります。東京金価格はロンドン市場価格と為替レートの両方の影響を受けて複雑に変動しますから、もっぱら米ドルベースのロンドン金市場価格の歴史的推移を見ていきます。
<データ出所:田中貴金属工業>
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第二次世界大戦後から1972年まではずっと、「35米ドルを1トロイオンスの金と交換」し(米ドルの金兌換制)、「360円の円を1米ドルと交換」する(外国為替の固定相場制)取り決めを土台にして、国際間の貿易や金融が行われていました。
ところが、1960年代からアメリカの貿易赤字が続くようになり、赤字幅も拡大してきたため、アメリカの保有する金が外国に流出し続け、いずれアメリカにはドルと交換する金がなくなる懸念が生じました。そのため、アメリカは、1972年に、米ドルの金兌換制と外国為替の固定相場制を停止することを決定しました。これは<ニクソンショック>と呼ばれています。
グラフは、<ニクソンショック>の翌年の1973年1月から今日までの月次推移全体を示しています。この40年間の推移は、明らかに「大きく異なる3つの期間」に分かれています。
①<ニクソンショック>から8年目の1980年1月に1オンス2,644ドルまで著しく急騰しました。これは1979年に始まった<第二次オイルショック>の激しいインフレに伴うものでしたが、消費者物価上昇率の沈静化に伴って、2年程度で1,000ドルくらいまで反落しました。(1973年1月から1983年2月までのほぼ10年間)
②再び反転して、1983年2月に1,591ドルをつけましたが、それ以降は2005年12月まで実に22年間もその価格を上回ることなく長い低迷が続きました。(1983年3月から2001年1月頃までのほぼ18年間)
③1999年8月に1983年以降の最安値813ドルをつけたあと、2001年頃から継続的な価格上昇が始まりました。以降現在までの12年間は、概ね年率15%複利線(グラフに書き込んであります)に沿うような強さで上昇を続けています。(2001年2月頃から現在までのほぼ12年間)
この3つの異なる期間を共通して説明できる基調的な要因をみつけることは全く不可能であると言わざるをえません。②の長い低迷はなぜ生じたのか、それがなぜ③の継続的な高率の上昇に転じたのか、そして12年続いてきた③の上昇は今後もまだ続くのか、あるいはもし終わるとしたら次は大きく暴落するのか、などの興味がわいてきます。それを予測するのは占いでしかないように思えます。
しかし、あえて個人的意見(感想)を言えば、かつては通貨(米ドル)の価値が一定の金の量に裏付けられていたのですから、通貨が変動制になったら、通貨価値が下がれば(通貨供給量を増やしてインフレになれば)その分金価格が上昇することが最も妥当であるように思われます。
③の金価格の上昇には、アメリカの通貨供給量の拡大政策がなんらかの形で影響しているのではないかという推測ができます。また、より力強い2005年以降の金価格上昇は、たとえば資産選好として金を好む中国富裕層の台頭の影響もあるかもしれません。しかし、そのような説明では、②の低迷期間がこれほど長く続いたことが全く理解できません。
さて、日本円ベースで見ると、<オイルショック>時の1980年1月の最高値1グラム6,495円には、その後の円高進行もあってまだはるかに及ばない水準にあります。当面の短期的な動きは為替の円安進行にかかっていますが、これも長期的にはどうなるか、全く予断を許さないように思われます。
<データ出所:田中貴金属工業>
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第二次世界大戦後から1972年まではずっと、「35米ドルを1トロイオンスの金と交換」し(米ドルの金兌換制)、「360円の円を1米ドルと交換」する(外国為替の固定相場制)取り決めを土台にして、国際間の貿易や金融が行われていました。
ところが、1960年代からアメリカの貿易赤字が続くようになり、赤字幅も拡大してきたため、アメリカの保有する金が外国に流出し続け、いずれアメリカにはドルと交換する金がなくなる懸念が生じました。そのため、アメリカは、1972年に、米ドルの金兌換制と外国為替の固定相場制を停止することを決定しました。これは<ニクソンショック>と呼ばれています。
グラフは、<ニクソンショック>の翌年の1973年1月から今日までの月次推移全体を示しています。この40年間の推移は、明らかに「大きく異なる3つの期間」に分かれています。
①<ニクソンショック>から8年目の1980年1月に1オンス2,644ドルまで著しく急騰しました。これは1979年に始まった<第二次オイルショック>の激しいインフレに伴うものでしたが、消費者物価上昇率の沈静化に伴って、2年程度で1,000ドルくらいまで反落しました。(1973年1月から1983年2月までのほぼ10年間)
②再び反転して、1983年2月に1,591ドルをつけましたが、それ以降は2005年12月まで実に22年間もその価格を上回ることなく長い低迷が続きました。(1983年3月から2001年1月頃までのほぼ18年間)
③1999年8月に1983年以降の最安値813ドルをつけたあと、2001年頃から継続的な価格上昇が始まりました。以降現在までの12年間は、概ね年率15%複利線(グラフに書き込んであります)に沿うような強さで上昇を続けています。(2001年2月頃から現在までのほぼ12年間)
この3つの異なる期間を共通して説明できる基調的な要因をみつけることは全く不可能であると言わざるをえません。②の長い低迷はなぜ生じたのか、それがなぜ③の継続的な高率の上昇に転じたのか、そして12年続いてきた③の上昇は今後もまだ続くのか、あるいはもし終わるとしたら次は大きく暴落するのか、などの興味がわいてきます。それを予測するのは占いでしかないように思えます。
しかし、あえて個人的意見(感想)を言えば、かつては通貨(米ドル)の価値が一定の金の量に裏付けられていたのですから、通貨が変動制になったら、通貨価値が下がれば(通貨供給量を増やしてインフレになれば)その分金価格が上昇することが最も妥当であるように思われます。
③の金価格の上昇には、アメリカの通貨供給量の拡大政策がなんらかの形で影響しているのではないかという推測ができます。また、より力強い2005年以降の金価格上昇は、たとえば資産選好として金を好む中国富裕層の台頭の影響もあるかもしれません。しかし、そのような説明では、②の低迷期間がこれほど長く続いたことが全く理解できません。
さて、日本円ベースで見ると、<オイルショック>時の1980年1月の最高値1グラム6,495円には、その後の円高進行もあってまだはるかに及ばない水準にあります。当面の短期的な動きは為替の円安進行にかかっていますが、これも長期的にはどうなるか、全く予断を許さないように思われます。