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もしも中国と台湾が戦争に陥ったとき、日本はどちらの味方をするべきなのか

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4日間で中国軍の進入機数は計149機にも及んだ

中国の台湾への軍事的威嚇が激化している。

台湾国防部の発表によると、10月4日に中国軍の戦闘機や爆撃機など合わせて56機が台湾南西部の防空識別圏(ADIZ、防空のために領空の外側に設けられた空域)に入った。これは過去最多だった10月2日の39機を大きく上回る。結局、1日から4日までの累計の進入機の数は計149機にも及んだ。

2021年10月10日、台北の総統府前で、辛亥革命を記念する「双十節」の式典に出席し、演説する台湾の蔡英文総統
写真=時事通信フォト

台湾側はスクランブル(緊急発進)によって警告対応しているが、台湾のスクランブル機と中国軍機が偶発的な衝突に至る危険性は高く、そこから火花を散らすように台中戦争へと突入する可能性も指摘されている。

なぜ中国は台湾をここまで威嚇するのか。

今回、中国軍機の進入が始まったのが10月1日。この日は中国の国慶節(建国記念日)に当たる。中国共産党機関紙「人民日報」系の「環球時報」(電子版)は「進入行動は国慶節を祝う軍事パレードである」とアピールしている。欧米では、日本やアメリカ、イギリス、オーストラリアによる共同軍事演習に対する「対抗措置」との見方も出ている。

軍事力の誇示にせよ、軍事演習に対する反発にせよ、中国の台湾に対する威嚇行動は決して許されない。

「中国は6年以内に台湾を攻撃する」と米軍司令官

アメリカのバイデン政権は中国を「軍事的にも経済的にも最大の競争相手」と認識し、トランプ前政権と同じ対決姿勢を取っている。この米中の対立は、中国の台湾への軍事的威嚇行動の激化でさらに強まることは間違いない。台湾は米中対立の象徴となっている。

アメリカが共同軍事演習や台湾への軍用機の輸出で圧力をかけても、中国はひるまない。習近平(シー・チンピン)政権が本気だからである。中国は「台湾は中国の一部で、核心的な利益だ」との主張を繰り返し、他国の批判に「内政干渉」と強く抗議する。民主派を制圧した香港と同じように、中国共産党の餌食にしたいのだ。

このまま行くと、中国は台湾に侵攻して併合を求める可能性が高い。その証拠に米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官(当時)は今年3月、「中国が6年以内に台湾を攻撃する恐れがある」と指摘している。

習近平国家主席も台湾統一に向け、こんな演説をしている。

「統一という歴史的任務は必ず実現しなければならない。実現は必ずできる。台湾には香港とマカオで取り入れた一国二制度を適用する」

習近平国家主席のこの演説は、10月9日、辛亥革命から110年を記念する式典で述べられたものだ。

中国の軍事戦略・能力でも習近平政権の本気度が分かる

中国は現在、台湾有事に備え、アメリカの軍事介入を阻止する「A2AD(接近阻止・領域拒否)」と呼ばれる軍事戦略・能力を推し進めている。A2ADとは「Anti Access(A2、接近阻止)」「Area Denial(AD、領域拒否)」を指す。

中国は日本の伊豆諸島からグアムに至るいわゆる「第2列島線」の内側でアメリカ軍の軍事行動を阻止し、南西諸島とフィリピンを結ぶ中国に近い「第1列島線」の内側へのアメリカ軍の進入を食い止める作戦を立てている。

台湾はこの第1列島線の内側に置かれる。地政学的かつ軍事戦略的な観点からの重要なポイント、つまり東・南シナ海の守りと太平洋への進出を狙っている。このために中国は台湾を支配下に組み入れたいのである。

※写真はイメージです
写真=iStock.com/Juanmonino

中国はA2AD戦略をフル活動し、台湾周辺の空域と海域へのアメリカ軍の進行を妨害し、軍事的主導権を握ろうとたくらんでいる。

たとえば、中国大陸の沿岸から1500キロ~4000キロ圏を射程に入れた「米空母キラー」、「グアム米軍基地キラー」の弾道ミサイルの配備である。さらに今後は高度に技術開発された無人機による敵機・敵艦の探知、誘導、攻撃の3つの要素がA2AD戦略の要となる。

こうした中国の軍事戦略・能力を見ても習近平政権の本気度が分かる。

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