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  • WEDGE Infinity
  • 2021年10月11日 10:58 (配信日時 10月11日 05:59)

中国は人質外交を自ら認めたに等しい - 岡崎研究所

9月24日、2018 年12月にバンクバーで逮捕された華為技術(ファーウェイ、Huawei)のCFO孟晩舟と米国の検察当局との間で司法取引が成立し、孟晩舟は中国に帰国した。本件について9月26日付のウォールストリート・ジャーナル紙が、中国の人質外交の勝利だとする社説を書いている。

ウォールストリート・ジャーナル紙の社説は本件は中国の人質外交の勝利だとしているが、そのように断定するにはカナダ人の人質(ビジネスマンのMichael Spavorと元外交官のMichael Kovrig)が孟晩舟との司法取引成立の裏の事情であることが立証される必要がある。

grebeshkovmaxim / Rawf8 / iStock / Getty Images Plus

司法取引への道が開けたのは今年7月のシャーマン国務副長官の中国訪問の際だともいわれているが、それが明らかになることはないであろう。しかし、今秋にはカナダの裁判所が米国への引き渡しの可否の判断を示す見込みとされ、時間が切迫する状況にあって、人質の存在が米国とカナダに圧力として働いたであろうことは容易に想像がつく。

司法取引は検察当局への協力に対する見返りであることが通例だと思うが、本件はそのような性格のものではない。司法取引の内容も薄い。有罪を認めるではなし、罰金を支払うでもなし、事実認定を違えることをしなければ2022年12月には起訴を取り下げるというが、中国に帰国すれば何とも手の施しようがない。

ウォールストリート・ジャーナルが言う「中国との外交修復努力の巻き添え」という形容は当たってはいないが、人質外交の勝利かも知れない。しかし、その対応には国内に批判があったが、カナダのトルドー首相は1000日を超える対決に良く耐えたと言うべきであろう。

もともと問題の焦点は、米国の対イラン制裁に違反するリスクを冒してイランとのビジネスに従事するSkycomとHuaweiとの関係にあった。SkycomはHuaweiの単なる取引相手なのか、それともHuaweiのイランとのビジネスを隠蔽するためのフロント企業なのかということについて、孟晩舟は13年8月の会合でHSBCに虚偽の説明をなし、その結果、HSBCがHuaweiとの顧客関係を続け、対イラン制裁に違反して少なくとも750万ドルの取引に介在したというものである。

他方、カナダ人二人が人質であったことには疑問の余地がない。中国は孟晩舟のケースとの関連を否定して来たが、昨年6月、中国外交部の報道官は「(孟晩舟の米国への引渡し拒否という)オプションは法の支配の範囲内にあり、二人のカナダ人の状態の解決のための空間を開き得よう」と述べ、取引の可能性をあからさまに示唆するに至った。

汚れた中国のイメージ

孟晩舟が中国政府差し回しのチャーター便でカナダを出発するや、中国はカナダ人二人の帰国を認めたのだから、中国の人質外交の標的とされる危険を世界に喧伝したも同然である。

「孟晩舟による(事実の)承認はこの金融詐欺の訴追における政府の申し立ての核心――孟晩舟とHuaweiの同僚はHuaweiのイランにおける活動について国際金融機関、米国政府、一般大衆を欺くための一致協力の努力に従事していた――を確認するものである」と米国司法省は述べている。しかし、この程度の自白を得るために孟晩舟の逮捕という荒業に訴える必要があったのか、対イラン制裁の実行の確保のためだという訳であるが、些か疑問が残る。

いずれにせよ、この人質取りの一件で中国のイメージが酷く汚れたことは間違いない。中国はそのことを過小評価すべきではない。

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