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雇用者増が20万人足らずに終わった米国雇用統計をどう見るか?

日本時間の今夜、米国労働省から9月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は今年2021年に入って着実にプラスを記録していたのですが、本日公表の9月統計では+194千人増にとどまっています。ただし、失業率は前月の5.2%から9月には4.8%に低下しています。まず、長くなりますが、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を最初の6パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy adds disappointing 194,000 jobs in September as schools reopen but COVID spikes linger
Hiring slowed again in September as a surge in COVID 19 cases offset the reopening of most schools and expiration of unemployment benefits, developments that were expected to coax some Americans back to work.
The economy added 194,000 jobs and the unemployment rate, which is calculated from a different survey, fell from 5.2% to 4.8%, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 488,000 jobs were added last month.
A modest consolation: Job gains for July and August revised up by a total 169,000.
So far, the U.S. has recovered 17.4 million, or 78%, of the 22.4 million jobs lost during the depths of the pandemic in the spring of 2020. That leaves the nation 5 million jobs below its pre-crisis level.
The September report likely captured a labor market still healing from a soft patch after disappointing job gains in August followed blockbuster advances the prior two months, economists said.

長くなりましたが、まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは今年2020年2月を米国景気の山と認定しています。ともかく、2020年4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたんですが、それでもまだ判りにくさが残っています。


引用した記事にもあるように、Bloombergによる市場の事前コンセンサスでは約+500千人の雇用増が予想されていましたので、+194千人増は多くのエコノミストから物足りない数字と受け止められているんではないかと私は想像しています。他方で、失業率は今年2021年年初には6%前後だったんですが、最近では5%を下回る水準までまで低下を示しています。ということで、やはり、9月統計については、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック拡大の影響で雇用改善にブレーキがかかった、というのが大方のエコノミストの見方ではないでしょうか。

特に、8月統計の雇用者数がやや上方修正されて前月差で+366万人の増加を見ていただけに、落差を大きく感じるのも事実です。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が進んでいたところに、バイデン政権の大幅な財政拡大があって、雇用改善が進んでいたわけなんですが、やはり、財政政策だけではデルタ株によるCOVID-19のパンデミックには十分ではなかった可能性があります。

引用した記事にもあるように、COVID-19パンデミックで失われた雇用が22.4百万人あり、そのうちの17.4百万人、78%しか回復できていません。失業率も9月統計では5%を下回りましたが、パンデミック前には3%台半ばだったわけですから、現状ではまだCOVID-19の影響を脱したとはいえません。

この先、金融政策の動向が焦点となります。11月2~3日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されますが、この雇用統計を横目で見て、量的緩和政策の修正、すなわち、テーパリングの開始まで踏み込んだ金融政策運営が出来るかどうか、大いに注目です。

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